第5話 調査隊
「来たわ」
「おぉ、見れるか?」
「これよ」
ダンジョン内ならどこでも映し出せるという便利な機能によって調査隊の様子を伺う。
人数は5人、服装は統一されていて全員が軽装ではあるがしっかりとした作りの鎧を着込んでおり胸の辺りに紋章が刻まれている。
「近くの街の騎士団か」
「そうなの? 前に言ってた冒険者ギルドとかじゃなくて?」
「服装が統一されてるし、マップにあった紋章が胸元にあるだろ?」
「あ、本当ね、あなたってなかなか変なところに目をつけるのね」
「そうか?」
「普通は人間は人間としてしか見ないもの特徴なんて見てないわ」
人の形をしていてもダンジョンコアだからなのか考え方は少し独特だった。
前にあった3人組もニンゲンはダンジョンの餌くらいにしか思っていなさそうだったからな、コアはそういう考えなのかもしれない。
「服装や立ち振る舞いで相手のことが分かったりするんだ、今後は見てみるといいかもな」
「機会があれば気にしておくわ」
話を本筋に戻して、今は調査隊の様子見である、
音声も聞こうと思えば聞けるらしいので少し盗み聞きといこうか。
「おいおい、領主様に急いで報告してこい!」
「わ、私が行ってまいります!」
「これで、もしかするとこの領地をあのクズに取られずに済むかもしれない!!」
何やら大いに喜んでいるようだ。
5人のうち1人が急いでダンジョンの外へと駆けて行き、残りの4人で探索を再開するようだ。
気になる発言はいくつかあったがとりあえず喜んでいるということは共生に1歩近づけたのでは無いだろうか。
「アルグル隊長、一通り探索が終わりました!」
「各自報告を頼む」
流石に初心者ダンジョンでは騎士団相手に脅威にならないらしく各自単独行を開始し1階層を1時間ほどで探索しきってしまった。
「薬草や魔草に外壁にはいくつか鉄鉱石があり、2階層への階段は封鎖されていると」
「間違いありません!」
「どれもこれも我が領地には足りていなかった物ばかりだ……」
「最近は冒険者もてっきり見なくなってしまいましたしね」
「この領地は不毛の大地に面しているから仕方あるまい、しかしダンジョンに変化が見え始めたのだ希望はあるかもしれんな」
不毛の大地というのはこの街から少し離れたところにある木が一つもない大地のことだろうか?
街からかなり離れているしダンジョンとは街を挟んで向かい側なので気にも止めていなかったがそんな呼び名があるとは
「かなりDPが美味しいしもう一泊してくれないだろうか」
「私のお菓子」
あれからちょくちょく日本のお菓子を出してシーナを餌付けしているとめちゃくちゃにどハマりしてしまい1度残りのDP全てをお菓子につぎ込もうとする暴挙に出るほどだった。
「やった! 泊まるみたい!」
「ラッキーだな」
「……」
「50までならいいぞ」
「100」
「60」
「100」
「はぁ、一気に食べ尽くすなよ」
「うん!」
お菓子でここまで満面の笑みになるのはいい事だがまだマスターの俺が仲良くなれていないので何故かお菓子に負けた気分になるのはおかしいのだろうか。
「しかし、他にDPを稼ぐ方法はないのか?」
「私は知らないわ、あるんじゃないの? 知らないけど」
「学園って俺一人でも行けるんだよな?」
「まあ、行けるけど……また変なのに絡まれるわよ?」
「それはまあ、何とかするよ」
学園の図書館で何かを探してみるしかないな。
冒険者が来てDPの収入が安定したところで初心者から得られるDPは少量で何か別で手段を見つけたい。
「とりあえず、俺は眠いから寝るよ……もう限界」
召喚されてから何かとバタバタしていてもうずっと寝ていなかった。
気を抜いた瞬間に眠気に襲われて俺は地面に倒れ込んだ。
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ユウキ<<<<お菓子
ユウキがシーナに好かれる日は果たしてくるのか……
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