あさきて、いつもどおかおあらおうと洗面台せんめんだいへ。


 かがみうつった自分じぶんかおおおきなあざがあることに気付きづいた。


 なんだ、これ?


 いや、そうだ、これは、あれだ……。


 ネットでうわさの『かなら幽霊ゆうれいられる』との廃駅はいえきってみた。

 トイレのかがみうつるらしい。

 ところが鏡は撤去てっきょされていた。

 噂が大きくなりすぎひとせたのだろう。ごみは散乱さんらん破壊はかいあとまである。これはたまらんと管理者かんりしゃはずしたのだろう。


「つまんねえ」


 つぶやき、きびすかえした。


 だったら、見せてやる!


 顔が半分はんぶんくずれたおとこがそこにっていた。


 気絶きぜつしていたのか、気付いたら朝だった。


 いえにはどうやってかえいたのか。


 ノイローゼになった。


 鏡を見るたび、あざが、あの男がにらみつけてくるから。

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