お通夜

 最近さいきんではだいたい、セレモニーホールで葬儀そうぎおこなわれるものだ。


 めずらしいとおもった。


 むかし故人宅こじんたくでお通夜つや、そこへ電柱でんちゅうがみ矢印やじるしみちびいていたものだ。それがまえにある。


 ふとになった。


 普通ふつう「●●」と矢印とともにあるはずなのに、それがないのだ。


 たどってみた。

 なんとなく。


 あれ?


 おれいえ


 オイオイ、何の冗談じょうだんだよ。


 家にはいってみると、暗い。

 電気でんきいていないとかではなく、雰囲気ふんいきが。

 空気くうきがどんよりとしずんでいる。


 なにしているんだ?


 女房にょうぼうこえをかけたが、いのるようにうなだれてつたわっていない。


 不審ふしんおもい、またこえをかけようとしたときだった。


 女房がにしていたスマホがった。


「う、うそ……」


 ああ、そうだ。


 俺は事故じこで……。

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