第8話 季節の変わり目

アパートのロビーには、季節の変わり目を祝うための装飾が施されることになった。住人たちは、秋の深まりとともに暖かい雰囲気を作り上げるために集まった。高橋もこの活動に参加することになり、初めての装飾作業に少し緊張していた。


「さあ、皆さん!今日はアパートを秋らしく装飾しましょう!」美咲がエプロンをつけて意気込みを見せる。住人たちはそれぞれ役割を分担し、高橋は壁に秋のリースを取り付けることになった。


「このリース、ちゃんと取り付けられるかな…」と不安になりながらも、高橋は手を伸ばして作業を始めた。しかし、リースがずれてしまい、取り付けたフックが外れそうになる。「あれ?これ、うまくいかないなぁ…」


「大丈夫、高橋さん!私たちも手伝いますから!」鈴木が微笑みながら言い、他の住人たちも手伝いに来た。美咲がフックを調整し、田辺が釘を打つ役を担う。アパート内は和気藹々とした雰囲気で、みんなで協力して作業を進めていた。


その最中、高橋が誤ってリースを持ち上げた際に、装飾用のカボチャの置物が落ちてしまい、カボチャが割れてしまった。「あっ!ごめんなさい、カボチャが…」と高橋が焦って謝ると、住人たちが「まあ、これも味だよね!」と笑顔で応じた。


「カボチャの破片は掃除しないとね。」美咲が冗談交じりに言い、みんなで掃除に取り掛かる。高橋はその後、リースの取り付けを再度試み、今度はしっかりと取り付けることができた。


「よし、これで完成だね!」中村が確認し、全員が満足そうに頷いた。「でも、最後にもう一つだけ…」と田辺がニヤリとしながら言うと、突然、装飾用の秋の葉っぱが風で舞い上がり、リースが少しずれてしまった。「ああ!またか!」と高橋が驚きながら、みんなで笑い合った。


装飾作業が終了し、アパートのロビーは見事に秋らしくなった。カラフルなリースや、落ち葉を模した装飾が、温かみのある雰囲気を作り上げていた。


「これで、みんなが秋を感じられるね。」美咲がにっこりと微笑み、住人たちも一緒に笑いながら部屋に戻った。


その夜、高橋が自分の部屋でくつろいでいると、窓の外に風に揺れる秋の葉っぱが見えた。「そういえば、今日の装飾でカボチャが割れたの、面白かったな…」と呟きながら、再び笑いが込み上げてきた。

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