アパートの四季

第9話 不思議な新人

アパートの住人たちに、新しい仲間が増えることになった。

その名も佐藤康二、45歳。

彼が引っ越してきたのは、アパートの最上階の空き部屋だった。

住人たちは彼の到着を歓迎するために、ちょっとした歓迎会を開くことに決めた。

「こんにちは、新しい住人さん！私は美咲です。よろしくお願いします。」

美咲が笑顔で手を差し出すと、佐藤はにっこりと微笑み返した。

「こんにちは、佐藤康二です。どうぞよろしく。」

高橋も歓迎会に参加し、佐藤と会話を交わす中で彼の独特な生活スタイルを垣間見ることになった。

佐藤は普段からハイテンションで、時折テンションが異常に高くなることがある。そして、彼の部屋からはいつも謎の音楽が流れてくる。

「佐藤さん、どんな音楽を聴いているんですか？」

高橋が尋ねると、佐藤は大きな声で「これが僕の最新のトレンド音楽だよ！最高でしょ！」と答えた。

高橋はその音楽が高音質のサウンドシステムで流されていることに驚いた。

「ちょっと、音量が…」と美咲が眉をひそめたが、佐藤は「音楽は心の栄養だよ！もっと楽しんで！」と意気込む。

翌日、アパートの共用エリアに佐藤が現れ、ちょっとした奇妙な行動を始めた。彼は空き缶を集めて「アート作品」を作ると言い、アパートの廊下に大きなキャンバスを置いて、自分の作品を制作し始めた。

「これって…一体？」と高橋が驚きながら尋ねると、佐藤は「アートは自由だよ！感性を大切にしてるんだ！」と説明する。住人たちはその奇抜な作品に驚きながらも、佐藤のエネルギーと創造力に圧倒されていた。

ある日、佐藤が共用エリアで大きなポップコーンの山を作り始めた。

「これが僕の「ポップコーン祭り」だよ！みんなで楽しんで！」と声高に叫ぶと、住人たちは一瞬びっくりしたが、その後、ポップコーンの楽しさに巻き込まれてしまった。

「なんだか不思議な感じだけど、楽しいかも。」と高橋が言うと、他の住人たちも笑いながらポップコーンをつまみ、佐藤の奇妙な習慣に自然に馴染んでいった。

その夜、高橋が自分の部屋に戻ると、佐藤の部屋から流れる音楽が少し抑えめになっていた。「こうしてみんなが協力して楽しい雰囲気を作っているのはいいな。」と高橋は微笑みながら、自分のリラックスした時間を楽しんだ。