第5話もっと

ザァー。

外のゲリラ豪雨は続いていた。

30代の男が、

「オジサン、面白い話しだったね。他に話しを知りませんか?」

と、言う。


「もしもし、パパだよ!……また、寝たのか?早くママを起なさい。こっちは、明日早いんだよ?……うん、うん、だから、早く迎えに来てくれよ!ちょっと待って!……オジサン、面白い話しを知ってるね。もっと、聞かせてくれよ!……ん?お前には関係ない。じゃ、切るね」

と、サラリーマンが言う。


「まぁ、兄ちゃん、この酒飲みながら、もっと話してくれよ!」

ホームレスは中年男性に酒を渡そうとする。

「アルコールで、私の会話に破綻が起きてはいきません。ですから、お酒は結構です」

「何だ、つめてぇな」


30代の男がバンドマンに、

「もっと、話し聞きたいよね?」

「はい」

「ちょっと、不気味だけど話し聞こうか?」

「オレは、この手の話し好きなんすよ!」

「なら、決まりだね?」

「はい」

バンドマンはタバコに火をつけた。

「僕も吸おうかな?」

と、30代の男もポケットからタバコを取り出した。

「じゃ、オレも」

と、サラリーマンは電子タバコをセットし始めた。


2人のカップルは手を繋ぎ、結婚式場のパンフレットを持ちながら、中年男性の会話に耳を傾けた。


ホームレスは、1人ワンカップを飲んでいる。口にしているのは、アタリメだろう。


「皆さん、まだ知りたい話しがあるのですか?」

と、中年男性は構内の真ん中に立ち、ベンチに座る大人に言った。


ザァー。

「はいっ、当分雨は止まないそうなので、もう一話お願いします」

と、30代の男は言った。

「皆さん、愛煙家のようで何より」

すると、中年男性のサングラスをした、肥満体型の男はそう言って喋り始めた。

この男は、薄ら笑いを浮かべながら話し出す。

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