ジェームズという男

ジェームズとの出会い

「ヘイ、リク!」

名前を呼ばれる。

「ああ、わかったすぐ行くからまってろエド」


飛行場のスタッフと話していたのを切り上げ、

愛機の屠龍に向かい駆ける。

「リク、武装だが、前面の二〇粍を四〇粍に換装する代わりに下面の二〇粍を外すが、それでいいか?」

「ああ、やってくれ、あと空気の取り入れ口だがもう少し改良はできないのか?」

「ああもちろんできるぞ、その代わり飛べるまで時間がかかるがそれでいいか?」

「いくらでも時間はかけていい、しっかりやってくれ」

「了解だリク」

そしてエドはまた屠龍に飛びつく。

「さて、買い出しにでも行くか」

エドが屠龍をいじっている間に陸は都心部へ行き、弾薬、携行食、生活用品を買いに出かけました。

まずは弾薬を求め、旅人御用達の銃砲店に入る。

「40ミリ砲弾て置いてある?」

「なんの40ミリだ?」

予想もしてない質問に陸は素っ頓狂な声を上げる。

「なんのって、なんだったかな」

なんとなく形は思い出せるが、それを伝える術がない。

「その砲を見たらわかるが、あいにくこのように店内が旅人で、てんやわんやだからな見に行けないんだ」

「しょうがない、また後で来る」

「あいよ」

そして陸は仕方がなく店を出ると、日用品を買いに市場へと足を運ぶ。

「さて、なんだったかなと」

メモを元に日用品を買い求め奥に奥に歩いていく。

露店もまばらになった場所に入ると、陸は腰に手を回した。

「おい、さっきからついてきてるお前、誰だ?」

そして、陸が目を向けた所から無精髭の生えたおじさんが手を上げて出てくる。

「まって、その物騒なものから手をどけてくれる?」

驚いているような、楽しんでいるような声だ。

「貴様は誰だと聞いている」

「自分?ああ自分は、ジェームズ」

「ジェームズ、私になんの用だ?」

「見るにあんた、旅人だね?見ない顔だ」

「ああ、そうだが?」

別に隠す必要もないので肯定する。

「銃砲店でまともに弾も買えない旅人がいるとは」

クックックと面白そうに笑う。

「.........」

「君が求めていた弾は、あの3段目の左から4つ目だよ、惜しかったねぇ手を伸ばした隣だったのに」

「っ...なんで!わかるんだ!」

「そりゃあね、旅人が来るたび見にいくんだよ、見るにあの機体、屠龍四型戊屠龍四型戊とりゅうしがたつちのえだね」

「なんでわかる!?」

「そりゃあ、古代戦争の後方支援だったから機体を特定するくらい朝飯前よ」

ようやく腰から手を引くと、距離を取りながらもジェームズの話を聞く。

「どうせならさっきの銃砲店に行ってもいいぞ」

「.........」

「どうした?今ならお代無しでついて行くんだ安いもんだろ?滅多にないけど、こういう時は金を取るんだがな、あんたに興味が湧いたよ」

「.......ジェームズ、一緒にきてくれ」

「あいよ」

その通りを出ると、さっきの銃砲店に向かう。

「お客さん、わかりましたか?」

「ああ、この弾を1000発頼む」

「まいど!!」

弾薬箱を抱えて店から出る。

少し歩いたところで別れようとする。

「ジェームズありがとうな」

そのまま歩き出そうとする。

「.........あの」

「なんだ?まだ用か?」

足を止めて振り返る。

「いやあ、自分も一緒に旅に連れてって欲しいなって」

「............」

「ダメすか?」

「...............」

「いやぁ、ダメなら良いんですよ?」

「.........」

「ダメかね」

ジェームズがダメ押しする。

「君、家は?」

「ありませんよ?」

「家族や友人は?」

「そんなもんとっくの昔にこの国から出ましたよ」

少し沈黙した後に陸が口を開く。

「よし着いて来い、明日の朝に飛行場に来い」

「はい!!!」

陸は飛行場に急いで帰ると、エドに一人増えると伝えました。

「ほんとに!?」

エド困惑です。

「ああ、ほんとだ!機関砲の装填手にする!」

「それならまあ、少し削れば入れるな」

「よし、すぐにやってくれ」

そして、屠龍にエドが乗り込むと陸は荷物の搬入を始めました。

その晩、陸だけ宿に泊まりエドは夜通し作業とチェックをします。

翌朝、まだ薄暗い時間帯に起き出し、ジェームズを待ちつつ最終の点検に入る。

そして早朝の3時50分、エンジンを回し始めて暖気運転を始めた頃に来ました。

「陸さん、こんにちはよろしくお願いします」

「ああジェームズよろしく、そしてこっちがエドだ、整備士兼後方機銃担当だ」

「エドさん、よろしくお願いします」

「ああ、よろしくジェームズ、では機体に乗り込んでもらって」

そしてさまざまななことをエドが教えている間に陸は荷物の整理整頓をします。

それも終わると、陸が操縦席に乗り込む。

「よし、いいぞ外してくれ」

飛行場のスタッフが車輪止めを外す。

そして滑走路に出ると、端の方で一度止まり、次の時には勢いよく滑り出した。

爆音正しくエンジンとプロペラが回る。

しばらく機体が安定するまで飛行を続け、3人が水の入った容器を持つ。

「では、新しい仲間に乾杯」

そして、次の街を目指して進む。

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