第2話 絡み合い

「よろしくお願いします… 」

 俺はものすごく緊張していた。女子と話すのもあまりないため何をどう話したらいいのか分からないからだ。陰キャの俺からしたら百合さんなんてまさに純白に輝く綺麗な百合にみえる。

 

「そんなに緊張しなくていいよ。同い年だし君とも仲良くなりたいからタメでいいんだよ」

「そ、そうですか」

 

「さては君。女子とあんまり話したことない感じかなぁ?」

「ギグ」

「図星だね」

 (核心を突いてくるなんて怖い怖い)

 

「そういえば君の名前を聞いてなかったね」

「君の名前はなんて言うのかな?」

「……フジ」

「藤くんか。よろしくね藤くん」

「よ、よろしくお願いします…」

 

「改めて私の名前は黒崎百合って名前だから気軽にはなしかけてね。あだ名とかは自由にしていいから」

そういい百合さんは顔を斜めにし。ピースをした

 

 (本当に可愛い。こんな可愛いこと話してるだけで心が癒される。それと同時にこんな美女相手にうまく会話ができない自分に対して情け無く思ってしまう。)

 

 いろいろ会話したいと心の中では思っているが、嫌われたりしたらどうしようなど不安の方が大きい。今後百合さんとやっていけるのか。そんな不安が自分を襲う


 


「お前まさかあんな美女が隣だなんて。運がいいなぁ。

しかももうクラスメイトと早々打ち解けてたし。黒崎さんすげぇーわ。しかも見た目も綺麗で優しそう。完璧じゃないか!本当にお前が羨ましいよ。」

 

 レンが羨ましそうに言った。彼も百合さんのことが気になってるらしい。それもそうだあんな美女が来たのなら仕方のないことだ。

 

「ら正直これからが不安だよ。美人でみんなに対しても優しい。しかも百合さんの笑顔はものすごい可愛いんだよ。そんなこと一緒にいたらほかの男から嫉妬心で命が狙われるよ。」


実は昔いじめを受けていた。ちょうど中学2年生のとき、クラスメイトの好きな女子と仲がよかった。仮にA子ちゃんとしよう。クラスメイトをBくんとしよう。BくんはA子ちゃんのことが好きだった。俺もそのことは知っていてB君に協力をしてた。しかしB君がA子ちゃんに告白してから関係はガラリとかわった。BくんはA子ちゃんに告白をした。しかしA子ちゃんはその告白を断った。A子ちゃんは俺のことが少し好きだったみたい。それを知った時は少し嬉しかった。けれどもB君からはたまったものじゃない。好きだったA子ちゃんを協力関係にあった人に奪われた、つまり裏切られたと言っても過言ではない。そのせいでかB君との関係は悪化。いつのまにか学年中にデマが広がり、A子ちゃんとも話さなくなった。もちろんA子ちゃんにもきらわれた。男子の奴らからは報復をされるようになった。裏切り者のレッテルを貼られた俺はB君からはよく暴言を吐かれ、暴力は当たり前、ひどい時にはサンドバッグにされてたよ。女子からは蔑んだ目で見られるようになり、もはや味方なんていないかと確信していた。そんな過去があるため女子と仲良くするのは控えていた。嫉妬心というのは人を狂わせる。自分を守るためにも異性とは必要最低限の会話しかしてこなかった。

 

そんなことを考えてると気がつけば視界がぼやけていた。ぽつりぽつりと水滴が顔から流れ落ちていく。

 

「そうかお前には辛い過去があったな。よく頑張って来れたよ。悪かったな…」

レンは俺の顔を見てから気遣ってくれた。そんな親友に気を遣える親友が俺は好きだ。

 

「あ、俺はこっちだから。じゃあな!」

レンとは別れを告げ、俺は自分の家についた。




 

 ぁぁぁぁ

 私は悩んでいる。そうそれは隣の席の子と会話が上手く行かないからだ。私は隣になった子とは必ず仲良くなる主義なため、グイグイ会話していた。けれどもそれが裏目に出ることもあるため、引かれたらどうしようという不安もある。

 

「転校初日にやらかしたかなぁ」

 そんな不安が私を襲う。

そんな時、突如部屋の扉が開く音がした。音のするほうを見ると泣いている姉がいる。姉は涙もろい。感動した映画やドラマアニメなどを見るとすぐうるっとし泣いてしまう。

 

「ゆりちゃんよおぉぉぉ」

「なに?」

 私は泣いている姉を蔑んだ目でみる。

「そんな目で見なく立っていいじゃなのー酷いなー。」

「いいでしょ別に。で?用事は何?」

 

「あーそうそう実は見てたアニメが終わっちゃって」

 私は受け流すように適当に返事をする。

「ふーん。そんで?」

 

「それでその終わり方がロマンチックだったんだよ!幼なじみだった2人が疎遠になっちゃうけれどあーしてこーして再開するの!」

 

「説明雑だな」

「だってネタバレになっちゃうし。それにゆりちゃんにもこういう展開ありそうだし。」

 

「余計なお世話ですぅー。そしてね!その後に女の子は恋に落ちてしまって…。」

 SNSを見ながら姉の話を半分聞き適当に返事をする。

「へぇー」

「いやー私にもこんなロマンチックな恋が実ればいいけれど。しかもね!そのアニメの男の子が」

 

「種を育てれば花が咲く。けれども育て方を間違えれば当然実らない。恋も同じだ!みたいなことをイケボ言ってて本当に最高だったよ。しかも戦闘シーンもカッコ良くてさ〜」

 

 そんな話を10分くらい聞いてた。正直聞く気もなかったので適当にうながした。

 

「それで話は変わるけれども百合ちゃんは学校どうたの?みんなと仲良くなれた?」

 そこで私は姉に不安の種をぶつけてみることにした。

「実は隣になった席のことうまくやってけるのかなって思ってさー。会話があまり続かないんだよねぇ〜。」

「そうなの?」

「うん。」

 

「隣の席のことは仲良くなりたいし。」

「そっかぁ。ならまずは好きなものとか聞いてみれば?そこから何かしら会話が続くかもよ。共通の話題があれば話しやすいし。」

 

「確かに。」

「なんなら、私の見てるアニメのはなs。」

「やめておきます!」

「だったらB((」

「やめておきます!」

「ならゆ((」

「やめておきます!」

 

「なんでよーもう。」

「伝わらないじゃん〜それに嫌いな人もいそうだし。いきなりそんな話をするのは野蛮でしょ。」

「確かに。」

 (いや納得するんだ)

 

「いきなり距離を近づけても相手からしたらびびっちゃうでしょ?徐々に近づければいいのよ。」

「そっかたしかに。」

 

「しかもゆりちゃんはわたしと違ってめっちゃ可愛いからすぐにうまくいけるよ!」

「そっかありがとうねえね。」

 私はそれが裏目に出ないことを祈りつつ就寝するのであった。

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花が咲きかえる頃に 金時Aya @KintokiAya

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