第24話 墓場まで……
「なぁ!バカじゃん!!
そんなん最初からヤバそうな感じじゃん!!
なんでホイホイついてくんかなーー!?」
「はい……」
それは、わかってる……
そもそもだ。
なんで、国元に連絡なんかして、会ってしまったんだ……
「ってかさ~、今その名前聞いて思い出したよ。
国元麻衣子、だっけ?
俺、めっちゃしつこく告白されたと思うんだけど、今の話、つまり、俺のことを好きなわけじゃなくて、ゆきから俺を奪い取るのが目的だったってこと?
怖っ!!断ってて正解だったってことかよ。
怖っ!!」
「今回のも、俺を好きってより、ゆきが嫌いで、ゆきから俺を奪いたいんだと思います」
ふ~~~~ん、と言って矢沢は黙り込んだ。
「でもさ、ほんとーに、根本的な根源は、高校の頃にキミが国元麻衣子をゆきの身代わりとしてつきあっていたってところだろうな。
それで、だいぶ変な感じに、こじらせちゃったって感じかな。
で、キミとゆきが結婚してるのを知って、また再燃しちゃったってことだろ?」
「はい……そうだと思います」
「これさ、睡眠薬も検出されてて証拠もあるわけじゃん?
被害届け出して、立件してもらったらいいんじゃねーの?
って、警察官に言うことでもないけどさ」
「はい……それは、そうなんですけど……
それだと、完全にゆきにバレるんで……」
ん~~~~~~、と矢沢はうなった。
「俺、なんでゆきと別れたか知ってるんだっけ?」
「はい。大学進学で遠距離になって、あなたが東京で別の女と同棲、でしたっけ?
で、ケジメとして、あなたの方から、ゆきに別れを告げたんですよね?」
「うん、ま、そう!!
あってる!あってる!!
俺さ、ずっと、ずっと後悔してた。
自分がゆきを裏切った事実は決っして消えない。
だけど、誠心誠意 謝って、どうにか復縁できないかって考えた。
だけど、考えれば考えるほど、絶対無理だって思ってしまった。
ゆきは、絶対に俺を許しはしないって」
どうだっただろう?
矢沢弘人との別れは、一方的な別れで、柚希は身も心もぼろぼろだった。
誰に対しても、心を閉ざした。
見た目は特に変わらなかった。
須藤桂吾に合わせて、チャラい感じになるわけでも、ケバい感じになるわけでもなく、柚希は柚希らしい清純な感じだった。
だけど、心の中はだいぶ病んでいた。
矢沢弘人との別れから、柚希の恋愛はたいぶ こじらせていたと思う。
誰も愛せないし、誰からも愛されないって。
ゆきは、絶対に許しはしない、 か……
「ゆきは、鏡だって、前にも言ったけど。
与えられた愛情はしっかり受けとめて、それ以上に照らし返してくれる。
裏切ったら、もう照らしてはくれない。
ゆきを裏切り他の女に手を出した。
俺とキミは同じようで全然違う。
キミは、結婚していて、子どももいるんだから、別れるってことにはならないと思うよ。
だけど、落胆するだろうな。
自分を責めるかもな。
なぁ!!ゆきには、バレないように隠し通せよ!!
1回だけの過ち、墓場まで持ってけよ!!」
墓場まで……
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