第21話 女ごころ

 国元と電話していて、家に着いたのは8時半過ぎだった。


「ただいま」


「おかえり~!遅かったね。

7時に帰って来るって言ってたから、食べないで待ってたんだけど、奏がお腹すいたってゆうから、さっき先に食べたよ」


「あ、ごめん。仕事終わりで、同僚に呼び止められて、喋ってたらこんな時間になっちゃった」


「うん、それはいいんだけど。

でも、電話くれたら ありがたいかも」


「そうだよね。ごめん。気をつけるよ」



柚希の実家から野菜が宅急便で届く。

お義父さんとお義母さんが家庭菜園をしていて、食べきれないくらい採れるのだと。

この季節は、頻繁に夏野菜が届く。

それを柚希は、飽きないようにいろいろなメニューで出してくれる。

ナスを丸ごと一本、ホイル焼きにしたやつを出された。

上にとろけるチーズをのせて、上からポン酢をかけた。

めちゃうまい!!

冷製パスタの上には、トマト、キュウリ、オクラ、青じそ、大根おろしがのっている、野菜たっぷりの和風パスタだ。

ピーマンをたくさん使って、チンジャオロースー。

コンソメスープも具だくさんだ。

インゲン、カボチャ、チンゲン菜とソーセージが入っていた。

それと、サラダ。

野菜たっぷりの献立。


それを食べながら、俺はとんでもない過ちをおかしてしまったと思った。

俺は、柚希のことが好きで好きで仕方ないのに、なぜ こんなことになってしまったのか?

心に隙があったのか?

警察官の俺が、いとも簡単に、睡眠薬をもられて一晩明かしてしまうなんて……


なんてゆうのか、興味があった。

女ごころが知りたかった、というのかな……


柚希が、初恋の人を忘れられないってゆうのと、国元の想いは、似たようなものなのか?と思った。

なぜ、忘れられないのか。

どうすれば、忘れられるのか。

国元の想いを聞いたら、柚希の想いが理解できるようになるのかもしれない、と思った。


だけど、国元の想いは、柚希の純粋な想いとは全然違った。

国元は、手段を選ばずに、奪いにくる女。

俺を好きだと言うが、俺に対する愛情は全く感じられない。

それよりも、柚希に対する嫉妬心の方が強いのだろう。

柚希から俺を奪うことが目的のように感じた。



「お風呂 先に入っちゃうけど、いい?」


「あぁ、いいよ」


俺も一緒に入る!って、言いたかった。

だけど、国元のことだ、体のどこかにキスマークとか、歯形とか、爪あととか、なにかしら残しているかもしれないな。

風呂は1人で入って、体中 観察しないといけないなと思った。

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