第7話 連絡先

 だいぶ酒が進んだ頃、佐知香がトイレに立った。

佐知香の背中を見送りながら、室堂が身を乗り出して俺に4つ折りの紙を手渡した。


広げて見ると、携帯番号が書かれていた。


「これ、室堂の?」


「いや、国元の」

と、小さな声で言った。


くにもと の?


「は?なんで?」


「前に、同級生数人で、地元で飲んだんだけどな。

国元が倉田と連絡取りたがってたからさ」


「どうゆう意味?」


「どうゆーって、そりゃ、」


佐知香がトイレから戻ってきて、室堂は話を止めた。


国元が俺と連絡取りたがってる?

 

とりあえず、メモ紙をポケットにしまった。




飲み会がお開きになり、店の前で佐久間先輩と室堂と別れた。

2人で、もう1軒行くって。

ってか、俺、佐久間先輩と最初と最後に挨拶しただけだったな。


松井田先輩と佐知香、俺と柚希で歩いて駅へ行き、電車に乗って、松井田先輩のマンションへ帰ってきたのは、11時半頃。

佐知香のお母さんにお礼を言って、寝ている奏を抱っこして、峻を連れて静かにマンションを出た。

出てすぐにタクシーを拾った。

なんか、飲み会でも全然柚希と話してないから、いろいろ聞きたかった。

タクシーの中で話したかったけど、眠そうに峻は起きてるし。

まぁ家に帰ってから話すかな、と思った。



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