第9話 はじめての相手

 国元麻衣子


俺のはじめての彼女。


高校3年生の夏に、国元に告白された。

高1の時からずっと俺のことを好きだったのだと。

その頃の俺は、中野先輩を忘れられない想いと、大学で剣道を続けてやる意味があるのかって、だいぶ気持ちが揺れている時だった。

俺は、国元の告白をうけて、つきあうことにした。

俺を好きだと言うこの子とつきあってみれば、先輩のことを忘れられるかもしれない。

すごく軽い気持ちだった。


はじめての彼女、そしてはじめての相手だ。


夏休み、両親は仕事でいないってゆう国元の家に行った。

ま、一緒に勉強しようって、ベタなやつ。

でも、勉強はしなかった。

キスして、胸をもんで、Tシャツを脱がして、舐めまくった。

真っ昼間の、セミの鳴き声がうるさい 明るい部屋で、国元がすげーエロい顔をしていたのを覚えている。


夏休み中だけでも、何回ヤッただろう。

彼女 イコール ヤラせてくれる女 って、思っていた。


そんなつきあいはクリスマス前には終わっていた。

国元に別れを告げられたから。

つきあってみたら、思ってたのと全然違った、そうだ。

あっ、そう!!

としか思わなかった。 

高1から好きだったって言っといて、なんだよ?

エッチの時も イイ イイ って、言ってたくせに、別れようって?

どうでもいいよ!勝手にしろよ!と思った。

俺だって、国元とつきあっても、中野先輩のことを忘れられないし、なんなら、エッチする時、先輩を思い浮かべてエッチしてたし。



その、国元麻衣子が俺と連絡を取りたがっているって?


まさかと思うけど、俺のことを忘れられないってゆうんじゃないよな?


国元と会っても、いいことはない。


警察官の俺はそう思う。


連絡なんか、取らない方がいい。

絶対そうだろう。



だけど、もしも、俺を忘れられないって言うのなら、その忘れられないって気持ちを知りたいとも思う。

なんで忘れられないのか?

とっくに終わっているのに?

どうしたら、忘れられるのかを……

知りたいと思ってしまった。

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