トラック6 ひみつきち(タオルドライ、波音、寝息)

//SE 森の音

//SE 歩く音


「いやー、やっぱ海で泳ぐのは最高だったな。次に案内するのは……あたしの秘密基地だぜ」


「あたしっていうか、元々あたし達、なんだけどさ。でも今使ってるやつは他にいないから、実質あたしのものってこと」


「……到着! 見ての通り、森の中の秘密基地だ。すげーだろ? 渾身の力作、ってやつなんだぜ」


「ほら、木の板で屋根も作ってるから、昨日雨降ってたのにぬれてねーだろ? かーちゃんたちがいらないって言ってたもんとか、海に流れてたもんとか、色々使って作ったんだよ」


「入り江から離れてない場所だから、ここで泳いだ後によく集まってたんだ。風も気持ちいいし、虫も案外来ないし、過ごしやすさは保証するぜ」


「ほら、座れよ。海に入ってて疲れただろ? 水ん中入ってるときは、気づいてないうちに汗掻いてるってセンセーが言ってたぞ」


//SE 座る音


「そーだ、確かこの辺に……あったあった。にーちゃん、これ、使ってやるから」


「じゃーん、水を使わないシャンプー。泳いだ後、そのまんま帰ってたらかーちゃんにこれでも使えーって渡されてたんだ」


「いまのにーちゃんも、泳いだ後、タオルで拭いて乾かしてそのまんまだろ? だったら使わない手はないなって」


「あたしは使ったことないからわかんねーけど、使って悪いもんでもないだろ? ほら、早く頭出してくれよ」


(お兄さん、言われるがまま背を向けて無防備な状態になる)


//少女の声、頭上から聞こえる形に

//探り探りの声で

「ええと……まず、髪にスプレーをかけて……こんなぐらいでいいかな」


//SE 7プッシュぐらい出される音


「そんで、次は手で揉み込むのか……こうかな?」


「うり……うり……海に入った後だから、髪が絡んでてやりにくいなー。でもしっかりやってやるからな……うりうりうり……」


//SE 頭皮のマッサージ音


「人の頭触るの、けっこう楽しいな。美容師さん? みたいな感じでさ。お痒いところはないですかー、なんてな」


//SE 頭皮のマッサージ音終了


「よし、じゃあ最後にタオルで拭くからなー。わしゃわしゃ、わしゃわしゃわしゃーっ」


//SE タオルで頭を拭く音


「昔はあたしもかーちゃんに頭洗われたり、こうして髪を拭いて貰ったこと、あるけどさ……やっぱり、楽しいからやってたのかな? うん、絶対にそうだ」


「人にされるのも、気持ちいいよなー。にーちゃんは幸運だなー。大人になってもして貰えるんだから。あたしに感謝しろよー?」


//SE タオルで頭を拭く音終了


「こんなもんか。うーん……やる前と比べたら、確かに心なしよくなってる気がするな……そだ、耳も拭かないとか。ちょっと砂ついてるし。そのまま動くなよー」


//SE タオルで両耳をぐりぐりと拭く音


「よし、できあがりっと。やー、我ながらいい仕事したなーって気分だな」


(お兄さん、少女はやらなくていいのか尋ねる)


「あたし? あたしはいーの。いつも使ってないし、それに今日はあたしがにーちゃんをもてなす側なんだから。それじゃあ……お次は、こうだ」


//SE 少女が横になる音


「ほら、アタシの隣で、同じ感じで横になってくれよ。少し昼寝しようぜ。気持ちいいんだぜ」


//SE お兄さんが横になる音


「へへ、思ったよりも寝心地、悪くねーだろ? あ、タオルを枕にしたら寝やすいんだぜ」


//少女、小声で耳元で

「なあ、耳、少し澄ませてみろよ」


//SE 遠くに波の音が聞こえてくる


//リラックスした声で

「ここ、海が近いからさ、静かにしてたら聞こえてくるんだ」


「こうしてで横になって寝ると、なんだか海の中で眠っているみたいで、気持ちいいんだぜ」


「あっち行ったりこっち行ったりするのも楽しいけどさ、こういう時間も、たまにはいいよな」


「にーちゃんは、いつもちゃんと休んでるか?」


(お兄さん、休んでないと返答)


「……休んでないのか? だめだぞー。何事もメリハリが大事なんだぜ」


「まあ、休みに島に来たなら、丁度いいよな。今日はここでゆっくり休んでいけよなー」


「あたしも、横になったらちょっと眠くなってきたし……つーか、そろそろ限界かも……」


//少女の寝息

「……すう、すう」


//SE 波の音、フェードアウト

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