トラック5 入江で海あそび(静かな波音)

//SE 静かな波の音


//遠くに聞こえる少女の声

「おーい、にーちゃーん、見てろよ-!」


//SE 間を置いて、遠くで勢いよく海に飛び込む音

//SE 人が泳いで近づいて来る音


「はー、ここに来たら一回はこれやんねーとな。にーちゃんもやるか? 崖からの飛び込み」


(お兄さん、全力で拒否)


「怖いからやだ? ……まああぶねーしな」


「……それにしても、にーちゃんが水着買ってきたーって言ったのはびっくりしたぜ。嬉しい誤算、ってやつだな」


「にーちゃんも、少しはこの島の楽しみ方がわかってきたみたいだな。浮き輪持ってきたのはちょっと面白かったけど、まあ、たまにはいっか」


「まあ、にーちゃんも早く入ろうぜ。今日は眩しいくらい晴れてるからな! つめたくてきもちいいぜ!」


「ここは入り江になってるから、波もあんまり強くなくて泳ぎやすいんだぜ。それに静かでいい場所だろ。あんまり外から来た人も来ない穴場なんだぜ」


「……っと、その前に、にーちゃん、準備体操とストレッチはちゃんとしたか?」


//咎めるように

「……準備体操だけ軽くやった? だめだぞ、ちゃんとやんねーといざってときに溺れちまうんだから。しっかりやらねーと」


「あたし? あたしは飛び込む前にちゃんとやったに決まってるだろ。当たり前じゃん」


「ほら、あたしが手伝ってやるから、ちゃんとやれよ。座って足開いて、後ろから背中押してやるからな」


//SE 地面に座る音

//SE 肌に触れて押す音


//耳元で小声で

「これしか曲がらないのか? にーちゃん、身体硬いなー。ほら、しっかり伸ばせよー」


「じゃあ次は身体を横にのばすぞ。身体を起こして、片手挙げろよー。あたしが押さえてやるから。いちに、いちに……」


「反対側もな。じゅー、きゅー、はち、なな、ろく、ごー、よん……ちょっと数え方、長かったな。こんなもんでいいだろ。じゃあ早く入ろうぜ!」


//SE 少女が砂浜を駆け足で走り海に入る音


「ほら、はやく浮き輪持ってこいよー」


//SE お兄さんも海に入る音


「じゃあ、にーちゃんをちょっと奥まで連れてってやるよ。足が着く場所じゃつまんねーしな」


//SE バタ足の音

//SE 十数秒後、バタ足の音止まる

//SE 波の音のみ


//少女が浮き輪掴んでいる状態なので、近くで

「このへんでいいかな。にーちゃん、ゴーグルつけて、海の中見てみろよ。ほら、せーのっ」


//SE 水に入る音

//SE 水に頭が入っているときの音、五秒程度


「見えたか? いろんな色の魚がたくさんいて、すげーだろ。入り江で奥まってるからだっけ……とにかく、これが見せたくてさ」


「それはそれとして、しばらくはここで浮かんでるのも悪くないよな」


//少し間を置いて

「はー。浮いてるだけでも落ち着くよなー。この波で揺れる感じとか、波の音とか……メンドーなこと全部忘れられるって気がして、けっこー好きなんだ」


「浮き輪は使わねーけど、一人で来るときはこーして浮かんでたりするんだ。今日はしばらくこうしていようぜ」


「……あっちこっち行かなくていいのかって? いーんだよ。たまにはこういう日があっても」


「というか、あたしだって少しは色々考えてるんだからな。この後に行く場所だって……そう、とびっきりの場所なんだぜ。楽しみにしててくれよな」


//SE 波の音、フェードアウト

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