第48話:砦防衛戦Ⅳ
大男の騎士を討ち取ったことで、城門を破られたことで落ちていた士気は回復していた。
だが、城門が破られたという事実は変わらず、続々と農民兵が入り込んでくる。
城門もそこまで広い通路なわけではないため、2人ぐらいが並んで通れる程度ではある。
クルトが鉄壁の守りで、延々と吐き出される敵の農民兵を切り伏せていく。
彼らの表情は悲惨なものだ。死ぬと分かっていながらも、後ろから押され前に出てしまうのだ。そして後ろは後ろで、騎士が睨みを聞かせ子羊を駆り立てるかのように追い詰める。
城門の入り口には既に多くの死体が積み重なっている。
やつらは、あの大男以降は騎士を投入してきていない。
思ったよりクルトが強かったからビビったのか? いや、違うな…農民兵を絶え間なく送り込むことで消耗させようという事か。
「クルト。交代しよう休憩するんだ」
体力を回復させるために予備隊と他の騎士を投入しようかと思っていたが、クルトは聞こえていないのか、下がる素振りが見られない。
アドレナリンが出て、周りが見えていないのか?
だが、このままクルトを放置しておくわけにはいかない。
「クルトを援護しろ」
「はっ!」
家臣の騎士と予備隊はクルトのすぐそばに展開し、援護に入る。
城門の方はとりあえず、大丈夫だろう…。
俺は城壁に戻り、辺りを見渡すとエーリッヒが農民兵に剣を突き刺し城壁の下へと蹴落とすところだった。
「大丈夫か?」
「えぇ。今のところは……」
エーリッヒは魔法も駆使しながら、指揮も取っており疲労の色が見て取れる。
「ですが、間に合ったようですね」
エーリッヒは遠くを見据えており、俺もその視線の先を追いかける。
平原の向こうからうちの家紋を掲げた別動隊が現れた。
敵も気づいたようで、別動隊の方に兵を向け始めるが、陣形が整う前に別動隊が突撃を開始した。
「お前ら
先陣を突き進むのは、ヴェルナーだ。
陣形が整う前に突撃されたため、陣形はぐちゃぐちゃになりつつある。
敵は抑え込むのが難しいと判断したのか、敵本陣がこちらへと近づいてくる。
確かに、俺を討ち取ればやつらの勝ちではある。
城門を破った今となっては、どっちが先に大将を討ち取るかの戦いに移行しつつある。
より攻撃は激しくなるだろうが、ここは1つ士気を高めておかねば。
「援軍が来たぞ! 勝利は目前だ! 諸君。奮戦せよ!」
俺の言葉に兵は声を上げ、士気を高める。
あとは耐えきれるかどうかだな……。
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