第23話:宗教
王太子派パーティーは年明けの雪解けしたタイミングということもあって、まだ余裕があるため公爵領へと戻っていた。
雪解けしたタイミングで公爵家の領都で合流し、その後王都へと向かうことになる。
まだ雪解けに向けて例年通りなら、3か月ほど待つことになる。
雪もちらつき始める中、俺は領都の街並みを走っていた。
目的の建物に着き、ドアをノックする。
一人の男が、扉を開く。エーリッヒと共にするりと建物の中に入る。
「公爵様。外は寒かったでしょう?」
「えぇ。雪がちらついていますからね」
「ささ。こちらでお茶を用意しておりますのでどうぞ」
「ではお言葉に甘えて。感謝しますハイネマン司教」
ハイネマン司教は、ここバルティア公爵家の領都で教会の管理をしている。
宗教は民衆の生活と密接に関わり、民衆はよく教会にお悩み相談や祈りにきたりなど、民衆の実情を知れるため。定期的に訪問している。
俺は一室に案内され、俺が席に着くと、横にはエーリッヒが。正面にはハイネマン司教が着席した。
「先ほど沸かしたばかりなので温まると思います」
俺は司教からティーカップを受け取り、一口飲む。
「良い茶葉ですね」
俺が褒めると、ハイネマン司教も人の好さそうな笑みを浮かべる。
「最近はいい茶葉も手に入るようになりました。それもこれも公爵様の治世のおかげでございます」
「いえいえ。私の治世が安定しているのは、ハイネマン司教が民衆に寄り添うことで領民も安心していたからですよ」
「民の一助になったのなら幸いです」
俺はティーカップを机に置き、彼に向き直る。
「領民たちの最近の様子はいかかですか?」
「そうですね…治安も改善され、民衆の顔色も良くなったと思います。ですが、やはりまだまだ足りないものは多いです」
「例えば?」
ハイネマン司教は懐から一冊のメモ帳を取り出す。
「食糧は現状なんとかなっています。今重要な問題は、家の修理ですね」
そう言って司教は小さなステンドグラスの向こう側を見つめる。
「この厳しい冬で家が壊れた状態だと凍死者も出るでしょう」
「なるほど…そういうことですか。金羊商会に物資の調達を依頼しておきます。今年の冬は間に合わなくても、来年までには」
戦火に見舞われた領内では略奪された村もそれなりに存在している。
そういった村では隠している物資がないか手あたり次第破壊しながら確認するのはよくあることだった。
「えぇ。是非とも。私は凍死者が減るように祈りをささげます」
「少ないですが、これを」
そう言って俺はポケットから金貨数枚を取り出す。
「いつもありがとうございます公爵様。神のご加護があらんことを」
「今日もあの部屋をお借りしてもいいですか?」
司教は笑顔でどうぞ。と言われたので、俺は司教に挨拶し部屋を退出する。
俺は何度か来た場所なので目的の部屋へたどり着く。
図書室だ。
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