第57話
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恋春がパイロットに復帰してから週明けの月曜日。
放課後になると、俺は生徒会室に向かっていた。
ドアを三回ノックすると、中から入室を促す力強い声が返ってくる。
「失礼します」
生徒会室に入ると、そこには執務机に座る美少女の姿があった。
「よく来てくれたな、待っていたぞアサトシ」
椅子から立ち上がった彼女の第一印象は、デカイだった。
ひとつ上の二年生とはいえ、女子にもかかわらず男子の俺とまったく同じ目線の長身。
そしてボリューム溢れる赤のロングヘアー。
制服の上からでも鍛えこんでいることが一目でわかる堅牢な佇まい。
そして何よりも、制服のブレザーが閉まらず、開襟部分から乳袋状態になったブラウスが丸出しになっている、特大の爆乳。
大玉メロンどころか、完全にスイカ大と言って差し支えなかった。
――デケェ……心愛や恋春、日葵姉よりも、アメリナと同じぐらいか……。
ぎょっとする俺の視線に気づいたのか、生徒会長は快活ににやりと笑い、褐色の両手で、自らの爆乳を下からわしづかんだ。
「おっ、気になるか♪ いいぞ、好きなだけ見ろ♪ ほれほれぇ♪」
「い、いや、いいです! すいません!」
俺が視線を逸らすと、生徒会長はつまらなさそうに唇を尖らせた。
「なんだよつまんねぇなぁ。気にしなくていいんだぞ? 慣れているし」
「慣れないでください……」
「まっ、いいや。それじゃあ初めましてだな。あたしはアイシャ・アラビアーナ。このエリジオン学園の生徒会長をしている!」
机を外側から回り込み、俺の前に立つと握手を求めてくる。
名前と褐色の肌からわかるが、大和皇国民ではない。
人類の盾であるエリジオン学園生徒会長として国内外に知られる彼女は南米からの留学生らしい。
「どうも。俺は一年二組、東雲朝俊です」
生徒会長のさわやかなスポーツマンスマイルから、向こうは軽く握っているつもりだろう。
けれど、俺の手に指が食い込む力強さから、彼女の練度が伝わって来る。
流石にエリジオン学園生徒会長だけあり、どうやら実力は折り紙付きらしい。
「それで生徒会長、俺に用ってなんですか?」
「ははは、敬語も敬称もいらねぇよ。タメ語でアイシャって呼んでくれ。それに、大した用じゃねぇよ。ただ、お前は最近話題のヒーローだからな。一度会いたいと思っていたんだ」
「俺は何もしてねぇぞ?」
肩をすくめる俺に、アイシャは不敵に笑った。
「そうだな。ドレイタスを倒したのはアメリナ、ドラゴンワイトを倒したのは月城姉妹、ミンミンマンを倒したのはリリカ、ニーズヘッグを倒したのはリコリス。だけどその場の全てに居合わせたのはお前さんだ」
大人びた美貌がぐいっと迫り、黒い瞳が俺の目を覗き込んできた。
「お前さん、スパイかい?」
あまりの迫力に、俺は返答に悩みながら答えた。
「何が言いたいんだ?」
「ようするにだ、本当は人類の敵で、お前さんが敵を手引きしているんじゃないのかってことだよ」
なるほど、はたから見ればそう思われて仕方ないだろう。
それぐらい、最近の俺はトラブル続きだった。
けれど、偶然ですと言って、信じてもらえるのか。
俺がうまい言い訳を考えると、アイシャは噴き出した。
「アハハ♪ なーんてな。本当にそうならうちの生徒たちが無事なわけねぇよな。むしろあたしは、お前さんこそが勝利の立役者なんじゃないのかと思っているんだぜ?」
悪巧みでもするような顔で、アイシャは生徒会室でステップを踏み、爆乳を揺らしながら饒舌に語り始めた。
「元次学部主席のアメリナはともかく、中堅程度の月城姉妹まで活躍している。本当は全部お前さんのおかげで、他人に手柄を譲っているんじゃないか。その証拠に、手柄をなすり付けられる相手がいなかった飛行機ハイジャック事件はお前さんが解決したことになっている」
「いや」
あれは逆に、リコリスの手柄を俺になすりつけられた側だ。
「まぁいい。本題は別だ」
やはり、ただ俺に会いたかった、わけではないらしい。
アイシャは目元を戦士のソレに変えると、真剣な声音で告げてきた。
「魔王軍が侵攻してきている」
その一言で、俺は多くを察した。
「防衛線が破られたのか?」
「まだだ、だけどその時は近いだろうね」
アイシャが近くの空間を指でタップすると、彼女の前にMR画面が開いた。
「お前さんも知っていると思うが、いま、大和皇国は南ルートを中心に、魔王軍と交戦中だ」
MR画面に表示されたのは、極東の島国こと我らが大和皇国と、その周辺を映した地図だ。
南方の島々を瞬く間に占拠した魔王軍は北上。
世界中からの支援に支えられた大和軍と一進一退の攻防を繰り広げながら、島をひとつずつ占拠し、じわりじわりと本土に迫ってきている。
「普段は防衛線で徹していたけどね、今回はこちらから大規模に打って出る。そこで足りない戦力をうちの上位ランカーで補おうって腹だ。あたしは反対だけどね」
吐き捨てるようにアイシャは言った。
「上層部はこれを機に学生を利用する気だ。戦況がかんばしくないのはわかるが、未熟な学生を戦地引っ張っても犠牲が増えるだけ、あたしは生徒会長として、うちの生徒を捨て駒に使おうって作戦には反対だよ」
「生徒想いなんだな」
「ダテに去年の一年生から生徒会長はやっていないよ。ただまぁ、今回の戦場には勇者も来るって言うし、戦力はそれなりだ。あたしとしては勇者と二人で戦場を無双しつつ勇者に手柄を渡して生徒はいらないって方向に持っていきたいところだ」
勇者、リコリスの存在に、俺は心動くものがあった。
――あいつ、元気かな。
「お前さん、もしも腕っぷしが立つけど名声に興味がないタイプなら、一緒に来てくれるかい?」
「上の要求は上位ランカーじゃないのか?」
「お前さん、この前のワイトキング事件で序列が1000位から800位に上がっているだろ? 16000人中の800位なら十分だ」
「なら参加させてもらうぜ」
リコリスとは不思議な縁がありつつも、ちゃんと話したことはない。
これを機に、ちゃんとお礼を言いたいと思う。
「OKだ。けどな、こっちから誘っておいてなんだけど、お前さんの実力を見たい。聞いたところによるあと、お前さんも素手なんだろ?」
アイシャが右の拳をスパァンと左手に当てると、俺もちょっと気分が乗った。
「いいぞ。ちょっと殴り合ってみるか?」
俺らは笑みを交わし合い、訓練場に移動した。
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●今日の雑学
おっぱいの語源は諸説あるが おう美味い 説がある。
つまり口で味わうものと昔の人も思っていた?
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