第50話

「ッ~~!」


 理性がごりごりと削られ、意識を持っていかれる。

 これぞまさしく人をダメにするクッションである。


「だって、ほら、その……恋夏ちゃんとお姉ちゃんは一卵性の双子なんだから……」


 顔の赤みをどんどん濃くしながら、意味不明の言葉を口走る。


 ――双子だと、何か関係あるのか?


「わた、わたしの感触までバレちゃう!」

「あ……」


 俺の口から漏れ出た言葉に、恋春は目を丸く固めて、失言とばかりに両手を口に当てた。


 反対に、恋夏は敵の弱点を見つけた悪の軍師を彷彿とさせる邪悪な笑みを浮かべた。


「そうそう、そうなんだよねあさとしくん♪ 前にお風呂で確認したんだけどねぇ、コナツさんと恋春お姉ちゃん、本当に頭のてっぺんからつま先までぜぇんぶ同じなんだからぁ♪ ココもぉ、アソコもぉ、すみずみまで見た目から触り心地、それにぃ、性感帯もね♪」

「ッ!?」


 最後の一言だけはひそめるような声で、妙なエロさがあった。


「あれれ、想像しちゃった? スレンダー爆乳爆尻双子美少女の桃色バスタイム想像しちゃった? あさとしくんならいいよ、想像しても。それにほらほらぁ、コナツさんの、もといお姉ちゃんのおっぱい感じちゃう?」


 恋夏が体をゆすって、これでもかと爆乳を俺に押し付けてきて、彼女の柔らかい柔肉を胴体いっぱいに堪能してしまい、俺はますます理性が怪しくなってきた。


「やめてぇっ、あさとしくんがわたしの感触を覚えちゃう!」

「もぉ、お姉ちゃんてば自分のことばっかりぃ。そんなこと言ったらコナツさんだって、お姉ちゃんがあさとしくんに裸を見られちゃったってことは、コナツさんの裸だってあさとしくんにバレちゃったってことなんだよ?」


「あぅ!」


 恋春が怯んだのを見計らい、恋夏はさらに俺に体重を預けてきた。


「だからお返しにぃ、コナツさんはあさとしくんにお姉ちゃんのおっぱいの感触を教えちゃうのだぁ♪ ほらほらあさとしく、これがお姉ちゃんのIカップバストの感触だよぉ♪」


「う、ぐ……」


「そそ、そんなこと言うならわたしはあさとしくんにお尻をさわらせるんだからっ。あさとしくんにお尻の感触を知られたくなかったらすぐに離れてっ」


 ――ふぐっ!


 俺の理性に痛恨の一撃が決まった。

 恋春のせいいぱいの反撃という名の強がりに、恋夏は目を光らせた。


「じゃあコナツさんはあさとしくんにお姉ちゃんのおっぱいの吸い心地をバラしちゃおうかなぁ」


 ――げふぅっ!


 俺の理性に会心の一撃が決まった。


「じゃあわたしはあさとしくんに、恋夏ちゃんのちゅーの味を教えるんだから!」

「じゃあコナツさんはあさとしくんにお姉ちゃんの大切な部分の味を舌で味わってもらおうかな」

「舌で!?」


 恋春ぼふんと赤面して一瞬白目を剥いて体が傾いた。

 それからなんとか踏みとどまり、恋春は涙目で必死に、恋夏は明るく楽しそうに舌戦を続けた。


「じゃ、じゃあわたしはあさとしくんに――」

「じゃあコナツさんはあさとしくんにぃ~~」

「だったらわたしなんてあさとしくんに――」

「それならコナツさんはあさとしくんにぃ~~」


 売り言葉に買い言葉でふたりの口から、美少女が口にしてはいけない言葉が次々飛び出した。


 けど気づいていますか?

 それ、互いに自爆しているだけですからね?


「とにかくだめぇ! わたし、あさとしくんには裸見られちゃったけど、まださわられたことはないんだから! あさとしくんがわたしの感触を覚える前に離れてぇ!」

「あの、恋春、そこまでにしとけ、な、でないと……」


 俺が指をさしたほうを振り返り、恋春はびぐんと固まった。

 背後には、大勢のパイロット仲間たちがずらりと佇んでいた。


 みんな、それぞれが思い思いの表情で、恋春の痴態を眺めていた。

 そこから、恋春は自分が口走った言葉の数々を思い出しているのだろう。

 今度こそ白目を剥いて卒倒。


 意識を失った。


「おっとと」


 彼女の体を抱き留めると、必然、恋春の爆乳も俺の胸板に飛び込んできた。

 ダブル爆乳で、もう俺の胴体は全部埋め尽くされてしまう。


 双子だけあり、恋夏の言う通り、感触はまったく同じで幸せな気分が止まらなかった。


 こうして結局、恋春は自ら感触をバラしてしまうのだった。


 ピコン

 という通知音と同時に、俺らの視界にニュースワイプが滑り込んできた。


 それは、いまの戦闘に関するニュース速報だった。


 生々しい破壊の爪痕が残る現場では、早くも瓦礫の撤去作業と、ドローンや3Dプリンタによる復興工事が始まっていた。


 昔は数か月がかりの工事も、数日でビルが建つ現代では手慣れたものだ。

 すると、逃げ遅れた人々が搬送される映像が流れていく。


「ちょっと、起きなよ恋春」


 仲間の一人に呼ばれて、恋春は目を覚ました。


「今回の怪我人、13名だって。あんた戦わなかったら、この人たちも助からなかったかもね」


 仲間からの言葉に、恋春は顔をほころばせた。

 俺も、フォローする。


「そうだな。すぐには無理かもしれないけどよ、恋春には、助けられなかった責任よりも、助けられたことにやりがいを感じて欲しいな」


「あさとしくん……」

「攻撃してきているのは帝国であって恋春じゃない。恋春が戦わなければ病院の栗の人はお寺行きだったかもしれないし、無事だった人も病院送りだったかもしれない。胸を張れよ、これはお前と恋夏の共同作業の結果だ」

「……うん♪」


 そう言って、恋春は明るく笑ってくれた。

 けれど次の瞬間、その笑顔が凍り付いた。


「え?」


 とあるビルから、小さな子供が救急ヘリに乗せられ、運ばれる映像が流れると、恋春は声を震わせた。


「ね、ねぇ、恋夏ちゃん……このビル……」

「同下のお姉ちゃん」

「わたしたちがぶつかった、ビルだよね?」


 その場の全員が、目を凝らした。

 少女が運び出されるビル。


 それは確かに、ガトリング砲の弾幕から逃げた恋春たちが背中をぶつけた、あのビルだった。

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転校先の清楚可憐な美少女が、昔男子と思って一緒に遊んだ幼馴染だった件 漫画29話 水着回がわりとセクシーでした。

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