第49話
朝俊の代わりに恋春がギュノスに乗り込み発進。
地上へリフトオフした直後、コックピットに緊急通信が入ってきた。
『各機に連絡! 重装機を20機確認! これまでとは規模が違います! 作戦を一度廃棄。各機、重装機の排除を最優先にしてください!』
「だってさ、どうする恋夏ちゃん?」
「決まっているよ、コナツさんたちはいつだって正面突破。電光石火の早業でちょちょいのちょいだよ」
「なら、狙いは敵陣中央?」
「当たり前田のクラッカー♪」
恋夏が前傾姿勢になりながらハンドルを握ると、ギュノスは短距離走選手のように駆け出した。
そのまま桜色のギュノスは単騎突出。
敵機の弾幕に晒された。
けれど、ギュノスはまるで競技ダンスの選手のように華麗かつ鋭いステップで全ての砲弾を回避。
彼女が通り抜けた後は生々しい爆撃の痕跡が残るも、桜色の装甲にはスス汚れひとつついていない。
そして、彼女たちがいのいちばんに重装機と接敵した。
「えいやっ!」
両手で握ったヒート高周波ブレードを閃かせると、紅蓮の切っ先に全質量と運動エネルギーを乗せた突進突きを見舞った。
重装敵機の分厚い胸板を貫き、熔解。
素早く引き抜く動作と同時に、刀身をもう一つの姿である蛇腹剣に分解した。
恋夏は背後の恋春の視界も借りながら、360度全方位の敵に睨みを利かせる。
左斜めうしろから敵がりゅう弾砲を撃ってきた。
刀身を引き抜いた重装敵機をそちらに蹴とばし盾代わりにすると、爆煙を目くらましにして移動。
黒煙の中から踊り出した舞花姉妹に、重装敵機は反応が遅れて蛇腹剣の餌食になった。
弧を描く斬撃軌道が重装敵機の首を刎ね飛ばし視界カメラを奪う。
続く二撃目を回避する余裕など望むべくもなく、灼熱の刃が重装敵機のミサイルパーツを直撃。
誘爆した自身の兵装で、重装敵機は撃墜された。
続く三機、四機目も、いまの舞花姉妹の敵ではなかった。
一機の重装敵機が、ガトリング砲で弾幕を張って来る。
素早くバックステップを踏むことで回避しながら、ギュノスの背中がとあるビルにぶつかった。
逃げ場を失った舞花姉妹に、別の重装敵機が切りかかった。
だけどそれが好機だった。
舞花姉妹はその重装敵機を蛇腹剣で拘束すると抱え上げ、盾にしてガトリング重装敵機へ突貫。
暴力的に押し倒すと、灼熱の高周波ブレードを力任せに引き抜いた。
二機の重装敵機はなます切りにされて沈黙した。
もはや、この戦場に恋春と恋夏の勢いを止められる者は、どこにもいなかった。
◆
「これは、嬉しい想定外だねぇ」
眼鏡の奥でニヤリと笑いながら、銀さんは爆乳の上に乗せたカップから、ストローでコーヒーをすすった。便利な胸である。
「シンクロ率51パーセント、こんなの、世界のトップランカー級のシンクロ率じゃあないかね」
「俺の時は49パーセント。これでお役御免ですね」
コックピットを下りた俺は、銀さんと一緒に指令室で、スクリーンに映る戦場を見守っていた。
「いやいや、パイロットは他にもたくさんいるし、緊急用の予備パイロットとしての需要はまだまだあるさ」
「できれば勘弁してもらいたいですね。まぁその話は置いといて、よかったですよ、恋春が元気になって」
「あぁ、まったくだよ」
銀さんは俺と一緒にスクリーンを見上げ、保護者のように優しい笑みを見せた。
◆
戦闘終了後。
俺は、格納庫と指令室の間の通路で舞花たちを待っていた。
通路の奥では、毎回恒例なのだろう、パイロットたちが男子たちに手を振りながらこちらに向かってくるのが見える。
その中には、いつも通りノリノリな恋夏と、その隣で一緒に笑顔で手を振る恋春の姿が見えた。
その表情はどこか誇らしげで、不安は微塵も感じさせなかった。
「あさとしくん♪」
男子達にファンサービスをし終えると、恋春は明るい笑顔で俺に駆け寄ってきた。
「っっ」
パイロットスーツで走られると、恋春の大玉メロン並みの爆乳が縦横無尽に暴れ回って、目のやり場に困、いや、逆に困らず一点を見てしまう。
「ありがとう、あさとしくん♪」
目の前に来る直前、視線を上げると、恋春はにっこりと微笑んでくれた。
さっきまでの悲しそうな顔を見ていただけに、喜びもひとしおだった。同時に、数秒でも彼女の胸に意識を囚われた自分を殺したくなった。
「別に、俺は何もしていないだろ?」
「ううん、そんなことないよ。全部あさとしくんのおかげだよ。あさとしくんのおかげでわたし、やっと恋夏ちゃんとわかりあえた気がする♪」
「コナツさんも、ありがとうだよ♪」
恋春に追いついてきた恋夏も、同じように明るい笑みを俺にくれた。
「ごめんねお姉ちゃん、今までお姉ちゃんの苦しみに気づいてあげられなくて」
「いいの、だって恋夏ちゃんにはやりたいことをやってほしいし、恋夏ちゃんと一緒に何かをできるのが、いまはうれしいから♪」
姉妹仲良く笑顔で見つめ合う。
あまりに美しい光景と同時に、双子だけあり、互いに明るい笑顔になられると見分けがつきにくいなとか失礼なことを想った。
「でもぉ、お姉ちゃんてば本当にお姉ちゃんだよねぇ」
「え?」
意味深な言葉に、恋春はきょとんとした。
「だってぇ、あんなに勢いよくあさとしくんに走っておきながら目の前で止まってお礼だなんて、こういう時はこうやってぇ♪」
恋夏は俺に飛びつくと、自慢の爆乳を脇腹と胸板にぶにゅりん、と押し当ててきた。
――おぐぁっ……。
「抱き着いてちゅーのひとつもしないとぉ♪」
「はわわ、そんなことできるわけないじゃない!」
「えぇ~、お姉ちゃんてばほんとにざんねぇん。でも今回は本当にありがとうね、あさとしくん。あさとしくんのおかげで、コナツさんたち本当の姉妹になれた気がするよ。お礼に今夜、姉妹丼しちゃうぅ?」
「だめぇ! それに早く離れてぇ!」
「え~なんでぇ? コナツさんが誰にくっつこうが自由でしょ?」
体をくねらせ、俺の脇腹と胸板にたぷん、とぷんと魅惑の肉クッションが甘えてくる。
「ッ~~!」
理性がごりごりと削られ、意識を持っていかれる。
これぞまさしく人をダメにするクッションである。
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アニメ 転生したら第七皇子だったので気ままに魔術を極めます が全体的に巨乳シーンが多くていいですね。
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