第47話

 放課後。

 俺と恋夏は、学園の講堂で報道陣の取材を受けていた。


「入学式に魔王軍幹部ヤルゴットを倒しハイジャック事件を解決。のみならず授業初日からドレイタスを討伐。地下ダンジョンではドラゴンワイトを駆除、続くワイトキングの杖強奪事件を勇者リコリスと共に解決した東雲朝俊さんですが、今後はギュノスパイロットに転向ですか?」


 俺らが帰投すると、舞花姉妹の乳揺れ目当てで集まった男子たちが俺の存在に驚愕、情報はすぐさまネット上にリークされてしまったようだ。


 俺はつとめて冷静に否定した。


「いや、今回は舞花恋春さんの体調不良によるピンチヒッターだよ。パイロットは本業じゃない。できればこれきりにして欲しいな」

「え~♪ もったいないよぉ♪」


 なのに、恋夏は俺の腕に抱き着き、カメラの前で、豊満過ぎる爆乳で挟み込んできた。


 今はスーツ姿でなく制服姿だけれど、その程度で封印できるほど、恋夏の爆乳はちょろくない。


 二の腕から肘にかけて、弾力あふれる柔和な快感に支配されてしまった。

 少しでも気を抜くと、カメラの前で醜態をさらして、ネット上にデジタルタトゥーを刻んでしまいそうになる。


「お、おい……」

「だってあさとしくん、パイロットの才能すっごくあるもぉん♪ これからは恋春お姉ちゃんも含めた三人でローテーションしよぅよぉ♪」


 恋夏が俺にくっつくと、報道陣の熱量が倍増。前時代的なカメラのフラッシュがこれでもかというぐらい焚かれた。


「えへへ、逃がさないよ、あさとしきゅん♪」


 小悪魔と無邪気の両方を内包した糖度たっぷりの笑顔と甘え声に、俺は乱暴に振りほどけなくなってしまった。

 だけど同時に、合法的に恋春を助ける方法にも気が付いてしまった。


   ◆


 朝俊と恋夏のニュースを、恋春は自室のベッドの上で眺めていた。

 その体は脱力しきり、四肢は無造作に投げられている。


 自分がいなくても問題なく戦い、むしろ今まで以上の戦果を挙げた妹に、恋春はうつろな眼差しで見つめていた。


「……なんだ、やっぱり、わたしなんていなくてもいいんだ」


 重責からの解放感と、そして喪失感を胸に、恋春はゆっくりと目を閉じた。


   ◆


「ぱんぱかーん♪ 弟君おつかれさまー♪」


 日葵姉と暮らす部屋に着くなり、MRクラッカーの映像とデジタル音声が俺の視覚と聴覚に浴びせられた。


 玄関には、日葵姉と心愛、それに萌花が立っていた。


「どうしたんだよ急に?」

「どうしたもなにも、街を救った弟君をねぎらっているんだよ?」


 言いながら、日葵姉は俺を抱き寄せほおずりいいこいいこ。

すべすべの頬の感触と、やさしい手に頭皮を刺激される触感が心地よかった。


「ねぇアサトシ、ニュースで恋夏に抱き着かれたのって、右腕だよね?」

「え? そうだけど?」

「じゃあ左腕出して」


 わけがわからないまま、俺が左腕を差し出すと、萌花は不意に心愛を突き飛ばした。


「わわっ!?」

「おわっ!?」


 心愛が俺の左腕に抱き着いて、乳量たっぷりのバストが俺の左腕をやさしく包み込んでくれた。


「なんだよ急に、危ないだろ?」

「いや、バランスを取っておこうかと」

「なんのだよ?」


 昔から、萌花はこうしてよくわからないことをすることがある。

 それに巻き込まれて、心愛も恥ずかしそうに頬を染めている。どうしていいかわからず、俺に体重を預けたまま、動けない様子だ。


「あんまり姉をおもちゃにするなよ」

「お姉ちゃんのことはいくらおもちゃにしてくれてもいいんだよぉ♪」

「全力で返品します」


 胸を突きだしながら、ぴょんこぴょんこと跳ねながらゆっさゆっさとカラダの一部を上下させる姉から目を離した。


 そこへ、インターホンが鳴る。

 誰だろうと俺がドアを開けると、そこには舞花姉妹が立っていた。


「どーもー♪ みんな大好きコナツさんだよー♪」


 右手を斜め上に伸ばしながらニッコリとご挨拶。恋春のそのうしろで、しおらしく立っていた。


「恋夏に恋春じゃないか。どうした?」


「今日のお礼だよぉ♪ こんな爆乳美少女が二人もいたら嬉しくない? なんて、おっぱいグルメなあさとしくんにはいまさらかな?」

恋夏の視線が、心愛、萌花、日葵姉のバストを転々とした。

ちなみに、日葵姉と萌花、それに舞花姉妹が特盛爆乳過ぎて、Gカップの心愛がむしろ普通に見えるというマジックが起きている。

そして心愛がみんなのおっぱいを見て、安堵の表情を浮かべていた。


 ――悩めるお年頃だなぁ。


「邪推するなよ。でもちょうどいいや、俺も恋春に伝えたいことがあったんだ」

「ふぇ……?」


 何かを言いたそうにもじもじしていた恋春が、意表をつかれたように顔を上げた。

 肩を恐縮させて小さくなる彼女に、俺は言った。


「しばらく恋夏のサブパイロットは俺がやるから、恋春はしばらく休んでいいぞ」

「え?」


 恋春の顔がきょとんと瞬きをすると、恋夏がテンションを上げた。


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賢者の孫漫画35話の谷間率がいつもより高く感じるのは私だけかな?

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