第33話 エロス33パーセント! ざまぁタイム!

★16記念爆速更新!

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「なっ、がっ!?」


 背後のコンテナに後頭部をぶつけた芦山田は、信じられないものを見る目で俺に視点を合わせてきた。


 渾身の一撃に、芦山田は左頬が陥没して、口と鼻からとめどなく血を流し続けた。

 そして、俺の右腕もへし折れていた。

 前腕の骨が皮膚を貫き露出している。


 けれど、まるでゆっくりと時間を巻き戻すようにして、腕は治っていく。

 骨が腕の中に身を沈め、腕がまっすぐ伸びて、本来の姿を取り戻した。


「やれやれ、お前のせいで一か月分の再生力を使っちまったよ」

「な、なん……それ……」


 理解が追い付いていない雑魚に、俺は怒りを叩きつけるように声を荒らげた。


「俺がストックできるのは体力だけじゃない、細胞の再生力もだ。それに、体が壊れるの度外視すれば40倍までいけるんだよ! そのかわり痛みは据え置き。骨が折れるのすげぇ痛くてやりたくねぇけど、心愛はこの何倍も痛い想いをしたんだぞ。テメェのせいでなぁ!」


 破壊衝動のままに芦山田との距離を踏み潰し、俺は会心の左ボディブロウを芦山田のみぞおちに抉り込ませた。


「げぼぁっ、はぁっ!」


 芦山田は血を吐くも、俺の殺意は収まらず、感情のおもむくままに殴り続けた。

頭を、顔面を、首を、胸板を、腹を、脇腹を、容赦なく、徹底的に、何度も何度も執拗に。


「心愛はなぁ、本来争いとかできるタイプじゃないんだよ! テメェと違って凄く優しいんだよ! クラスの男子にいじめられて泣いちまうくらい臆病なんだよ!」


 一発殴るごとに、俺の腕の骨は折れ、拳の骨は砕け、肘の軟骨が潰れた。


 痛い。

 だけど、それ以上にこいつに、心愛の痛みを半分でもいいから刻みつけてやりたかった。


「なのに見ず知らずの苦しんでいる人たちを助けたいって魔術の練習をして、エリジオンに入って、俺と練習して合成魔術を実力で使えるようになって、俺を守るために女の子が自分の肌を犠牲にして守ってくれたんだぞ! テメェそれがどういうことかわかってんのかぁ!?」


「知らねぇよ、ダボが」


 芦山田の酷薄な言葉で気が付いた。

 俺の拳が砕けるも、芦山田のアバラを砕く感触がしない。


 ――それに、この拳に感じる鉱物のような硬度は。


「がっ!?」


 腹に衝撃と激痛が走り、俺の体は背後に投げ出された。

 背中を床に打ち付けてから跳ね起きると、芦山田の威容が目に留まった。


 俺が散々殴り倒したにも拘わらず、足と背筋は延び、直立している。

 そして、脇腹を中心に輝く石がみるみる全身へ広がり、鎧のように覆っていく。


「再生がテメェの専売特許だとでも思ったか? それにオレの体をテメェの骨より硬くしちまえば、どれだけ強く殴ってもただの自爆だよなぁ? 全身を伝説の金属アダマントの鉱石で覆う俺を傷つけるすべはねぇよ!」


 芦山田が杖を振るうと、ダイヤモンドが混じっているように輝く岩、アダマント鉱石のつぶてが無数に放たれ、俺の全身を穿った。


「ぐぁああああああああ!」


 衝撃に抗えず、俺は床を転がり膝を折った。


「テメェはそこでニーズヘッグ降臨を黙って見ていろ!」


 芦山田が杖を掲げると、頭上に、黒い光の魔法陣が描かれた。

 その魔法陣を中心に、空間に漆黒の亀裂が広がっていく。


「ははは、もうニーズヘッグ召喚は誰にも止められない! これで世界は終わりだ!」


 ――ッッ。


 立ち上がろうとして、俺は転んだ。

 体は再生を始めるも、心がついていかなかった。


 芦山田の言う通りだ。

 俺に、アダマント鉱石を破壊するような技は無い。


 そして奴がその気になれば、心愛を傷つけたあの爆炎を、何度でも放てるだろう。

 対抗手段は、無い。


 ――くそ、負けるって言うのか。心愛を苦しめたこいつに……。


 心愛は、俺の大切な女の子だ。


 幼い頃から明るくて、健気で、頑張り屋で、いつも俺を気遣ってくれる、誰よりも幸せになってほしい女の子。


 そんな子を無慈悲に痛めつけた男に屈するしかないのか。

 心愛への想いが溢れて、彼女との思い出がよみがえる。


 この前のデートで、女子学生なのに脈動流水道を欲しがりすねた心愛。

 俺からのプレゼントを喜んでくれた笑顔の心愛。

 そして家に帰り、脈動流水道の洗浄力を自慢げに見せつけてくる子供っぽい心愛。


 そこでふと、彼女の言葉を思い出した。


 ――そういえば、脈動流って……。


 とある閃きに、俺は不敵な笑みがこぼれた。


 ――心愛、やっぱお前、最高の女だよ。


 俺は立ち上がると、右手を前に突き出した。

 手の平に生まれる水弾を、芦山田は鼻で笑った。


「何をするかと思えば水魔術かよ? ウォーターバレットやウォーターストリームで、アダマント鉱石の鎧を砕けるとでも?」


 俺の手から勢いよく水流が迸ると、芦山田は両手を左右に広げた。


「避ける価値も防ぐ価値もね――」


 ダダダダダダッ!

 と、まるでマシンガンがコンクリートを穿つような削岩音が俺の鼓膜を連打した。


 巌の鎧は砕け、芦山田は血を吐きながら背後にコンテナに背中から叩きつけられた。


「げぼっ、ぁぁ、な、なん……この、いりょく、は……」


 水流は着弾時が最も威力があり、以降はただ押し付ける力になる。


 だけど、僅かに隙間のある無数の水弾の集合である脈動流は、一秒間に数百回もの水弾を叩きつける超高速連打攻撃。


 その威力は折り紙付きだ。


 まして、10メートルの高さから落ちた時の水の硬さはコンクリート、という話があるように、水の強度は衝突速度に比例する。


 超高速の水撃連打の削岩力なら、アダマント鉱石もただでは済まない。


「た、たすけ……げぼッ、ころさ、ない、で……」


 肋骨が砕けたのか、芦山田は呼吸のたびに血を吐いた。


 本当に余裕が無いらしく、コンテナにめり込んだまま、虎の子の杖から手を離しても拾おうともしない。


 床に転がる杖が、芦山田の敗北を告げていた。

だが。


「安心しろ。殺しはしねぇ」


 うつろな目にわずかな安堵を浮かべた芦山田に、俺は冷淡に告げた。


「言っただろ? 死ぬより辛い目に遭わせてやるってなぁ!」


 全ての憎しみを込めて、俺は鉄拳を腹に叩きこんだ。


「げぼぁぁ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ッッ!!」


 拳越しに、潰れた内臓に力を注ぎ、あえて死なないようにしてやった。


「これ以上殴られたくなかったらとっとと、あれを閉じろ!」


 俺は芦山田の頭を鷲づかんで、無理やり頭上を見せた。


●タイトル募集

 本作の新タイトルを募集します。タイトルの権利は私、鏡銀鉢のものになり、お礼を払えるわけではありません。ですが採用されたタイトルがありましたら、一挙二話掲載などの形で還元できたらと思います。

 こっちのほうが多くのカクヨム読者の目に留まる、というのがありましたら是非!

 キャッチコピーでも構いません!

 カクヨムでエロやエロハプを求めている人はこういうのを見たら読むと思うというのがあればコメントなどにお願いします!

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 モブから始まる探索英雄譚 アニメ1話9話の爆乳女神召喚シーンが良いです。

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