第30話 エロス30パーセント! 護衛任務
0~7話2000PV達成記念爆速更新!
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毒島を倒した翌週の放課後。
俺、心愛、萌花、アメリナの四人は、バスティさんの助手さんが運転する車で、帝都のとある研究所を訪れていた。
「しっかし、なんで俺らが貨物の護衛なんてしないといけないんだ?」
助手さんが検問所で身分証明をしている間、俺は社内とひとりごちた。
「アラ、名誉なことですのよ。学生で外部の仕事任せられる何て、すでにプロ級の実力があるという証ですもの。まっ、トップランカーのワタクシには当然ね」
俺の体面席に座るアメリナは鼻高々だった。
一方で、その隣に座る、同じく金髪碧眼爆乳美女のバスティさんは手の平を見せて肩をすくめた。
「なんていうのは建前で、本当は、大人の戦士は前線で魔王軍と戦っているから、国内の仕事は高学生がやるのが通例なんだよNE~」
水を差されたアメリナは、ばつが悪そうに口を閉ざした。
車が駐車場に停まると、俺らは下車。
出迎えてくれた職員に案内されるがまま、貨物室へ通された。
「へぇ、ここがぁ」
果てが見えなくなりそうな程に広い、超巨大倉庫の中は、まるで動物園と博物館が合体したような光景だった。
無数の檻の中にはモンスターやその素材、そして様々な魔法アイテムが歴史的遺物が展示されている。
「ここにあるのはどれも魔王軍との戦いで前線から輸送されてきたものです。合成魔獣人のミノケンタウロス、魔法の斧、それに以前より保管していたワイトキングの杖を、より安全な場所に移動させるので、皆さんにはその護衛をお願いします。いやー、今日はランカーの皆さんに来ていただけで心強いですよ」
言って、職員の人がMR画面を操作すると、三つの輸送品を覆うように、コンテナが自動で組み上がった。かなりのハイテク設備である。
「では、皆さん、こちらのワイトキングの杖はこちらです」
職員さんに誘導されて俺らが歩き始めると、萌花が心愛に寄り添った。
「お姉ちゃん、緊張している?」
「そりゃそうだよ。それにもし悪い人が来なくても、もしもモンスターが逃げ出したら……」
ひときわ頑丈そうなコンテナの前で立ち止まり、職員さんとの会話が終わった助手さんが、俺らに向き直った。
「あはは、大丈夫だよ。このコンテナは凄く頑丈だし、僕のQRコードが無いと開かないからね」
「なんだ、良かった」
安堵の証か、心愛はワイトキングの杖が収納されているコンテナを見つめた。
「バスティさん、ワイトキングの杖って、本当にあのワイトキングが使っていたものなんですか?」
「イエス! 史上最強のアンデッドの一人と言われる、あの伝説のワイトキング、彼が使っていたものデース♪ この杖で邪竜ニーズヘッグを召喚し、世界を破壊しようとした伝説は学校の授業でもやりましたよNE?」
「はい。でも、当時の勇者に負けたんですよね?」
「エクセレント! その通りデース♪」
――ニーズヘッグ、そういえば飛行機を襲ったヤルゴットもそんなこと言っていたな。
ワイトキングは魔王軍ではなく冥府側、霊能者たちの敵だけど、魔王軍も杖を狙っているだろうか。
「じゃあミーはちょっと所長さんとお話がありますので、バイバーイ♪」
職員さんと一緒にバスティさんが立ち去ると、助手さんはMR画面を操作しながら、俺らに質問を投げてきた。
「ところで、皆さんは学園生活楽しいですか?」
「はい。まぁだいたい心愛たちのおかげですけど」
「やれやれ、友達がいるから楽しいなんて、能天気もいいところね」
アメリナの呆れ口調に、だけど助手さんは微笑んだ。
「うらやましいね。実は僕も子供の頃、エリジオンに入学したかったんだ」
MR画面を操作して仕事をしながら、助手さんはマルチタスクで語り始めた。
「正義の味方に憧れていましてね。適性は低かったけど、唯一可能性があったのが魔術師だった。それで初学生の時に試験を受けたけど落ちて、一般の次学校に入学してから独学で練習して、高学部からの中途編入試験を受けたけどそれも落ちて、だけどやっぱり諦められなくて一般の高学校、大学を卒業してから、助手として働けることになったんですよ。思っていた正義の味方とはちょっと違うけど、僕も今は楽しいですよ。だから君たちも、もしかしたら今後、思い描いていたのとは違う未来が来ても、すぐには絶望しないで欲しいです」
経験者は語る。
昔、日葵姉が経験者の言葉は素直に聞いておくようにと言っていた。
俺は、助手さんの言葉を深く胸に刻んだ。
「じゃ、僕も研究所の人とお話がありますのでこれで。皆さんは搬送準備が整うまで待っていてください」
そう言って、助手さんはMR画面を閉じて、その場を離れた。
「シノノメ・アサトシ」
すると、大人の目が無くなった途端、アメリナは俺に挑発的な言葉を向けてきた。
「聞いたわよ。この前は街で怪人を倒したそうだけど、どうせリリカ殿下のおかげでしょ? 今回の任務に選ばれたのは、それが評価されただけであることをお忘れなく」
どうやら、職員さんからトップランカーとひとくくりにされたのが気に食わないらしい。
だとしても、そんないちいち突っかからなくてもと、彼女のプライドの高さに呆れてしまう。
すると、助手さんの悲鳴が聞こえてきた。
「たた、大変です! ミノケンタウロスが、魔法の斧で暴れています!」
「「「「えぇっ!?」」」」
俺らはそろって驚きの声を上げた。
「ここは僕に任せて、みんなはさっきの場所に向かってください!」
狼狽しきった助手さんに頷いて、俺は駆け出そうとした。
「わかりました。急ぐぞみんな!」
「「うん!」」
「いえ、ワタクシ一人で十分よ」
アメリナは素早く強化外骨格イカロスを起動。
量子化されたイカロスを実体化させながら高圧的に告げた。
「はっきり言って、足手まといだわ。アサトシと協力すればそれなりなのは認めるわ。けど、数分おきにインターバルが必要な人を戦力の計算には入れられない。アナタたちはワイトキングの杖を護衛していなさい」
突き放すように告げて、アメリナは飛翔。コンテナの上を高速飛行した。
だけど、そういわれたからと言ってはいそうですかとはいかない。
「ここ、任せてもいいですか?」
「もちろんです。僕も元エリジオン志望のプライドにかけて、ここは死守します!」
自分の胸板を叩く助手さんの姿に、俺は信頼を置いた。
「頼みましたよ!」
そうして俺は、心愛と萌花の二人を連れて走り出した。
コンテナや保管物でできて通り道を駆け抜け、ミノケンタウロスのコンテナの場所へ向かう。
すると、巨大コンテナをひっくり返したり、叩き壊すような轟音が聞こえてくる。
とあるコンテナを曲がると、悲惨な惨状に奥歯を噛んだ。
そこは血の海だった。
赤く染まった床の上に、何人もの警備員の体が転がり、その中央で、頭がウシ、胴体が人、下半身が馬のモンスター、ミノケンタウロスが、巨大な斧を手に暴れていた。
俺らの姿に気づいたアメリナは、コンテナの上からライフルを構えて声を張り上げた。
「足手まといだと言うのがわからないの!」
「この状況でそんなこと言っている場合かよ!」
「■■!」
こちらの事情などお構いなしに、ミノケンタウロスは寮手持ちのバトルアックスを振るった。
すると、豪風が吹き荒れ、アメリナはわずかに怯んだ。
――あの斧は風魔術を使えるのか。
「っ、このっ、おとなしくなさい!」
アメリナの放ったレールガンがミノケンタウロスの斧を弾いた。
続けて、俺が心愛と萌花の肩に触れて力を注ぎ込むと、萌花がカードを投げた。
白い光の玉に覆われたカードを、斧のガードが間に合わないミノケンタウロスは脳天に受けた。
生物への霊術は魂へのダイレクトアタック。
体は無傷だが、ミノケンタウロスは明らかに消耗し、斧の先端を力なく床に落とした。
「今だ!」
心愛は両手に炎と風を生み出すと合掌。
左右の手を前に突き出すと、その手から紅蓮の爆炎を放った。
「■■■■■■■■■■■■!」
牛とも馬ともつかない、いななき声を上げ、ミノケンタウロスは炎にくるまれた。
堅牢な馬蹄が倉庫の床を戦い、巨体が爆炎から転がり出た。
その瞬間を見逃さず、アメリナの肩に浮かぶオービットが、二発のレールガンを放った。
「■■!」
電磁加速された超音速の徹甲弾がミノケンタウロスの後ろ足と腰を穿った。
自重を支えるのも辛くなった巨獣は床に転び、咳き込んだ。
息が苦しそうだ。
「どうやら、心愛の爆炎を吸い込んで、肺を火傷したらしいな。お手柄だな、心愛」
「そ、そんなことないよ」
心愛が照れ笑うと、アメリナが詰まらなさそうな顔をした。
「ふん、ワタクシ一人でも十分だったのに」
可愛い憎まれ口を叩くアメリナを、心愛はスルーした。
「そうだ、それよりも早く助けを呼ばないと。まだ助かる人がいるかもしれないし」
「ああ。生きていれば俺の力でなんとかなるかもしれない」
俺が手近な警備員の体に力を送り込み始めると、心愛は離れた場所で倒れる人へ駆け寄った。
すると、萌花が疑問を呟いた。
「あれ? 確か魔法の斧って、二本なかった?」
刹那、コンテナの影から二頭目のミノケンタウロスが姿を現した。
その手に握られた斧が、心愛の頭上に振り上げられる。
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アニメ ポケモンジェネレーションズのカンナがセクシーだと思うのは私だけだろうか。
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