第23話 エロス23パーセント! 録画しちゃった

22話16PV記念爆速更新!

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 幼稚園児時代。

 小柄で内気な月城心愛は、いつも男子たちにいじめられていた。

 幼稚園の方針で、妹である萌花とは別々の教室で、誰も助けてくれない。


「おいチビしろ、ここは保育園じゃないぞ?」

「早く保育園に戻れよ。ここはオレら大人の場所なんだよ?」

「ウソつきだな、噓つきの月城、ウソツキシロぉ!」


 口下手な心愛はうまく言い返せず、とにかく辛い気持ちで涙ぐみ、泣きじゃくるばかりだった。


 そこへ、空気の読めない能天気な声が飛び込んできた。


「お前心愛のこと好きなのか?」

あまりに場違いでトンチンカンな言葉に、誰もが凍り付いた。

心愛でさえ、涙目で顔を上げた。


「は? なんでそうなるんだよ!?」

「だって姉ちゃんが男子は好きな子にいじわるするって言っていたぞ。お前、心愛にちゅーしたいのか?」

「んなわけねーだろ!」


 怒鳴る男子を無視して、朝俊は心愛に尋ねた。


「心愛、こいつとちゅーできるか?」

「え、やだな」


「そっか、おい、フラれて残念だったな。かわいそうだから俺の宝物上げるよ、ほら」

そう言って、朝俊は男子の手に、セミの抜け殻を握らせた。

「いらねーよ!」

「なんだ、虫きらいなのか? でもお前は心愛にフラれて誰からも愛されないかわいそうな奴なんだから、セミの抜け殻を胸に生きて行くしかないだろ? じゃあ心愛、あっちにチョウチョのサナギを見つけたから見に行こうぜ」

「う、うん」

 心愛は戸惑いながらも、この場から離れられる口実に飛びついた。

セミの抜け殻を手に残されたいじめの主犯格、毒島は慟哭した。

「うぉおおおおおおおおおおおおおお!」

この日を境に、毒島のババ色人生は幕を開けた。


   ◆


 翌日の放課後。

 俺、心愛、萌花の三人は、競技場に設営されたステージ上で表彰されていた。


 全校生徒が見守る中、担任である日葵姉が、ニコニコ笑顔で俺らに表彰状を手渡してくれた。


「はい弟君。いっぱい頑張ったね♪ いいこいいこ♪」

「おいおい、なでるななでるな」


 12000人の善行生徒の衆目を気にせず、日葵姉は俺を猫可愛がって止まらない。


「だってぇ、弟君が可愛いんだもん♪」


 きゃっ、と可愛く笑う日葵姉。とてもではないが二歳年上とは思えない言動だ。


「じゃ、そういうわけで、今日から萌花ちゃんがランキング998位。心愛ちゃんが999位。弟君が1000位だよ。ドラゴンワイト討伐の報奨金は今朝の時点で入金済みだから、後で確認しておいてね」

「おう」


 ドライな俺と違って、萌花はガチガチに緊張していた。


「うそ、ツキシロ、ランカーになっちゃった……」


「うそじゃねぇよ。言っただろ。一週間でお前らをアメリナより強くするって。アメリナを差し置いての表彰とランカー入り。約束は守ったぜ」


 俺が歯を見せて笑うと、萌花はぽっと頬を染めた。


「う、うん♪ よかったねお姉ちゃん」

「そう、だね……」


 萌花とは違い、なんだか心愛は表彰状がすぐれなかった。

 拍手を浴びながら俺ら三人は退場。

 ステージから降りると、俺はすぐに声をかけた。


「どうしたんだ心愛? ランカー入りして気後れしているのか?」


 俺の問いかけに、心愛は慌てたように手を左右に振った。


「ちち、違うよ。あさとしのおかげでランカー入りできてうれしいよ! でも、ね」

彼女は寂しそうに、亜麻色の髪をなでた。

ふだん、青いリボンでワンサイドアップにしている彼女の髪だが、今日はストレートに下ろされている。


「あさとしからもらったリボン、燃えちゃった。ごめんね……」


 被害者なのに、心底申し訳なさそうに目をしめらせる心愛。

 そのいじらしさが可愛くて、つい甘やかしたくなってしまう。


「じゃあ報奨金出るし、俺が新しいのプレゼントするぞ」

「え? そんな悪いよ」


「でも水魔術を教えてもらったお礼もあるしよ」

「それは強くしてもらったお礼でしょ?」


「いいだろ別に。お礼のお礼。お礼のお礼のお礼って、どんどん互いにお礼を返し合っていけば。そういう関係が、友達って言うんじゃねぇの?」

「でも、やっぱりいいよ、つきしろ、あさとしにしてもらってばかりで……」

「お姉ちゃん」


 遠慮がちな心愛らしく、彼女は控えめな声で断るも、横から萌花が耳打ちした。

 萌花が何かを囁くと、心愛は瞳を固めてから、ぽ~っと顔を赤くした。

 それから、両手をもじもじと股間の辺りでこすりあわせ、青い瞳で俺を見上げてきた。


「あの、ね、じゃあ、甘えても、いい?」

「いっぱい甘えろ」


 どうやら、何か萌花がいい感じのことを言ったらしい。

 萌花は腰元でちっちゃくガッツポーズをした。

 こうして俺らは明日、街でデートをすることにした。


   ◆


 翌日の土曜日の午前九時。

 俺は街の駅前公園で待ち合わせをしていた。


 一緒に行けば良いと思うも、萌花が待ち合わせじゃないと気分が出ないと言い張り、この形を取った。


 ちなみに、この場所を指定したのも萌花なのだけれど、なんだか雰囲気が妙だ。


 噴水の周りにいるのはカップルばかりで、みんな、互いの手を恋人つなぎにしたり、腕を組んだり、抱き合ったりしている。


 少数ではあるものの、中には人目もはばからずキスをしているカップルまでいた。

 男一人きりの俺は大変肩身が狭く、居心地が悪い。


 今朝、萌花が男子は約束の15分前集合が鉄則。とメッセージを送ってきたので、余計に辛い。


 自分にだけ見えるAR画面を開くと、約束の時間まであと5分。


 長めのカップ麺一つ分の時間でこの地獄から解放されると思うと、頑張れそうな気がする。


 なのに、そこで萌花からテレビ電話がかかってきた。


「あ、アサトシごめん、実は――」


 背後のドアが開いて、下着姿の心愛が現れた。


 色はおとなしめの白いものだけれど、ブラは下半分しか覆わないハーフカップブラで、見間違いでなければ腰からリボン状のひもが垂れている。


「ねぇ萌花、今日の下着これで、え!? それテレビ電話!? ちょっ、消して!」


 Gカップをハーフカップブラから飛び出しそうな勢いではずませながら心愛が接近。


 テレビ電話が切れた。そして。

【録画を終了しました】


 どうやら、テレビ電話は自動録画する設定になっていたらしい。入学祝で買ってもらったデバイスなので、初期設定のままだった。


 AR画面を操作し、ストレージを開くと、下着姿の心愛が巨乳をはずませながら走って来る姿が大画面でリプレイ再生し続けた。


 ――ッッ!


 心愛の名誉を想うなら、この動画はいますぐ削除すべきだろう。

 だけど、俺の若さゆえの欲望が、それを阻んできた。

 悪魔のささやきが万策を尽くして、動画の保存を正当化してくる。


 それでも、俺はあらん限りの理性を以って、ごみ箱マークを押した。

 画面に、本当の削除するかの確認ダイアログが表示された。


 【キャンセル 削除】の二択、引き返す最後のチャンスに、だけど俺は鋼の意志力で削除に触れようとした。


 直後、新着画面が表示。ダイアログが消失した。

新たなメッセージ。


『ごめんアサトシ、お姉ちゃんの下着選びに時間がかかっちゃって。10分遅れくぁwせdrf』

『萌花が変なメッセージ送ってごめん忘れて』


 俺は握り拳をぐっと固め、全てのウィンドウを閉じた。

 もう、激情と言っても差し支えない欲求に勝てるだけの精神力が、俺には残されていなかった。



 15分後。

 可愛い私服に身を包んだ心愛と萌花が到着。


「ごめんねあさとし、準備にてまどっちゃった」


「お願いだから謝らないでくれ。ほんとまじで」


 開口一番、俺に謝罪してくる心愛を、俺は心の底から拝み倒した。

 心愛は不思議そうに首を傾げた。


 ――この服の下って、ハーフカップブラにヒモパンなのか?


 せっかくの可愛い私服なのに、俺は自然と妄想して、恥ずかしくなった。


「あれれ? もしかしてアサトシってば、カップルだらけの公園にいて変な気分になっちゃった? よかったね、両手に花で」

「ふゃっ!?」


 俺より先に、心愛が狼狽した。


「こら、心愛をからかうな」

「え? ワタシお姉ちゃんをからかったつもりないんだけど?」


 萌花は本気の困惑顔を見せた。

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漫画【くノ一桃果たべごろです?】がヒロインが全裸を男子に見られる展開があって良かったです。

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