第20話 エロス20パーセント! VSボーンドラゴン

19話2PV記念爆速更新!

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「そうなんですか!? じゃ、じゃああさとし!」


 すぐに気持ちを切り替えたのだろう。

 心愛はつぶらな瞳を凛々しくひきしめ、両手をかざした。


「わかった」


 俺は彼女に触れると力を注いだ。

 心愛の瞳に淡い輝きが生まれ、彼女の体から強い魔力の波動を感じる。


「合成魔法! デトネイション!」


 心愛が両手に炎と風を生み出し、合唱。

 目の前に突き出すと、その手から紅蓮の爆炎が放たれた。


 俺の視界を業火の赫きが照らし、余波が顔を熱して目が乾いた。


 灼熱の炎と衝撃波がドラゴンワイトを飲み込んだ。

 粉々に砕けた骨の山を想像する。


 だが、水面から顔を出すようにして、巨大な火炎の壁から鋭利な頭蓋骨が這い出してきた。

 衝撃波で崩れた体も、みるみる骨が組み上がり再構築されていく。


「そんな!? 効いていない!?」

「元から骨だからネェ。ただでさえ熱には強いのに火竜ファイアドレイクの炎だから耐熱性能はピカイチだYO」


 どうやら、相性は最悪らしい。


「■■■■■■■■■■」


 ドラゴンワイトが口を開くと、喉の奥から黒煙が噴射された。

 毒ガス。違う。


 顔を炙る熱波で気づいた。

 煙に見えるそれは、漆黒の炎だ。


「キャァッ!」

「心愛!?」


 黒炎が一瞬で心愛を飲み込み、俺は彼女を抱き飛ばした。


 心愛のワンサイドアップヘアを結ぶ青いリボンが燃えて、地面に落ちるも彼女自身は無事だった。


「あさとし! だいじょうぶ!?」


 ――自分の心配よりも俺の心配か。


 彼女の気遣いを愛しく思いながら、俺は笑みを返した。


「ほぼ無傷だっての! じゃあ今度は俺の番だな、炎が効かないなら!」


 ――身体強化、20倍!


 地面を蹴ると、俺は弾丸のように地面を疾走。


 全加速度と体重を乗せた、体当たりに近い右ストレートをドラゴンワイトのスネに叩きこんでやった。


「■■■■」


 左脚を構築する骨は無数の骨片に砕け散り、ドラゴンワイトの巨体がグラついた。


「よしっ!」


 が、喜びは一瞬。

 ドラゴンワイトは長大な尾を地面に突き立て、自重に逆らった。


「くそっ!」


 舌打ちを詩ながら、俺は素早くバックステップを重ねて心愛たちの元へ戻った。


「強度と耐熱性もだけど、それ以上に再生力が半端じゃねぇ!」


 俺の感想に、霊能力者じゃ萌花が息を呑んだ。


「元から小さな骨の集合だからね。粉々に砕いても意味がないよ……ん?」


 ドラゴンワイトが大きく口を開いた。

 また黒炎かと回避行動を取ろうとして、俺らは止まった。

 喉の奥に、何か見える。


 ――あれは、人?


 ドラゴンワイトの巨大な口内、その最深部には、人の上半身の骨が引っ掛かっていた。


「まさかあれ、手記の……」


 俺が思い出したのは、ドラゴンと一緒に倒れていた、下半身の持ち主だった。

 人骨は両目の穴に青白い、人魂のような炎を湛え、そして動き出した。


「もぉおおおおおおおおいやだぁああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」


 うめき声のような、ヒステリックな悲鳴。

 一切の理性が吹き飛んだ感情の発露に、俺は動けなかった。


「なんでだよぉ! なんでオレがこんなめにあわないといけないんだよぉ! 昔からずっと辛くて苦しくも嫌な気持ちで頭の中パンパンで人生なんて全部生き地獄じゃないかぁ! ずっとまじめにやってきて好きな女の為にダンジョンに潜って、だけど彼女は死んでいてオレも食われて、オレの人生なんなんだぁ! なんでオレをいじめた連中がのうのうと生きていて他人を助けようとしたオレが無様に死んでいるんだよぉぉぉおおおお!!!!?」


「ッッ……」


 まるで人生に絶望しきった社畜を思わせる、ヒステリックな悲鳴。


 だけど、その言葉に、俺は感じ入った。

 俺はまだ十代のガキだけど、世の中の理不尽は知識として知っている。

 憎まれっ子世に憚る、ということわざの通り、世の中は理不尽の塊だ。


 この人の無念を考えると、それだけで胸が辛くなる。

 だけど、どんなにかわいそうでも、俺には彼を助ける力はない。


 己の無力を痛感しながら、俺は優先すべき彼女たちを意識した。


「ウォーターストリーム!」


 俺は両手を前に突き出すと、いま使える最大出力で水魔術を放った。

 水の砲弾ではなく、ホースの水を何十倍にも太くしたような、極太の鉄砲水。

 だけど、ドラゴンワイトは水圧を意に介さず、癇癪を起すように突進してきた。


「きゃっ!」

「WOW!?」

「駄目だ! 細い骨だから水の抵抗がすくねぇ!」


 俺らは横に跳んで素早く回避。

 目の前を猛然と駆け抜けるドラゴンワイトとの戦力差に歯噛みした。

 骨だけで身軽なせいか、巨体に似合わない俊敏さだった。


「そうなるとまともにダメージが通るのは……」


 一人、萌花がお札代わりのカードを投げた。

 白い光の球体に包まれたカードが顔面に当たると、ドラゴンワイトはわずかに怯んだ。


 けれど、すぐにまた体勢を立て直し、口から漆黒の火球を放ってきた。

 相手がだれかなんて関係ない。


 行き場のない感情のまま、ただ目の前のものを破壊してやりたいと言う衝動を具現化したような漆黒の業火。


 それをカードの結界で防ぎながら巻物を構える萌花。

 その姿に、精神的余裕は少しも感じられない。


 ――相性はいいけど出力不足ってところか


「萌花! お前の一番威力の高い技でも駄目か!?」


「ドラゴンワイトなんて神仏の力を借りないと無理だよ!」

巻物をヨーヨーのように伸ばして牽制しながら、萌花は叫びかえした。


「俺が手伝っても駄目か!?」

「それなら時間をかければなんとか! 一分足止めして!」


 ――一分。アメリナの三倍。ならイケるだろ。


「わかった! なら頼んだぜ萌花!」


 再度肉体を強化してから、俺はドラゴンワイトの足首を回し蹴りで砕いてやった。


「■■■■」


 ドラゴンワイトの巨体が傾き、バランスを調整する間に、萌花の手を握った。

力を送り込む。

 彼女の瞳に淡い光が宿ったのを確認してから俺は再びドラゴンワイトと対峙した。


 ドラゴンワイトの砕けた足首は再構築が終わり、向こうは突撃体勢に入ろうとする。


「さてと時間稼ぎの時間だ。こういう時こそ水魔術の出番なんだけどな」


 水圧の効かない敵に泣き言を言っても始まらないと、俺は60秒間殴り続ける覚悟を決めた。


「ん、待てよ?」


 そこで、俺はある考えに行きつく。

★本作のタイトルは予告なく変わる場合があるので、フォローをおススメします。

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 アニメ【キミと僕の最後の戦場二期】の1話のお風呂タオルシーンが素晴らしい。

 ヒロインのロングヘアーでおっぱいの先端を隠していると思い出す。

 私の初期作品にショートヘアのキャラがほぼでなかった理由は、ロングヘアーだと全裸シーンを描いても髪で隠せるからイラストかしやすいのではないか、という浅はかな考えからでした。

 もう12年も前の昔の話ですね。なつかしい。

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