第18話 エロス18パーセント! 三人は無理ぃいいいいいいいいいいいいいい!
1話~8話♥32記念爆速更新!
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一時間後。
ゴーストの多い地下ダンジョンでは、霊能力者の萌花が大活躍だった。
「ウォーターバレット!」
宙を浮かぶ半透明の人型モンスター、ゴーストに拳は効かない。
俺はこの一週間で身に着けた魔術で攻撃を加えるも、効果はいまひとつだった。
「くっ、やっぱだめか」
「魔力の水だから一応効くんだけどね。ホースの水ならまったく効果ないんだよ?」
心愛の言う通り、俺の水弾に、ゴーストは多少怯んでいる。
けれど、嫌がっているだけで、明確なダメージを与えたとは思えない。
一方で……。
「よっと」
萌花が巻物の端を手に腕を振るうと、巻物はまるでヨーヨーのように開いて伸びて、ゴーストたちを蹴散らしていく。
巻物に触れたゴーストは風に吹かれた煙のように搔き消え、効果は抜群だ。
実体を持たなゴーストに物理攻撃は効かない。
魔術も効き目が薄い。
ただし、霊なるものに干渉する霊術は効果覿面だ。
「実体のある敵がでたら心愛の魔術で倒せるし、せっかく心愛が教えてくれたのに、俺の水魔術、役に立たないかもな」
「そんなことないよ。ゴーストには効かないかもだけど、水魔術ってけっこう便利なんだよ」
落ち込む俺に、心愛が素早くフォローをいれてくれる。
「ほら、火も雷も相手を傷つけるけど水は相手を傷つけずに水圧やおぼれさせて無力化できるでしょ? 相手を傷つけずに倒したいときは水の出番なんだよ。周囲への被害も小さいし、雷撃を誤射したら大変だよね」
「ありがとな」
心愛の気遣いにお礼を言いつつ、俺は疑問を口にした。
「ところで能力の相性はなんとなくわかってきたんだけど、萌花の霊術って生きている敵には効くのか?」
「よく聞いてくれました」
待っていましたとばかりに、萌花は背を逸らし、胸元の質量が大きく揺れた。
「霊力とは霊的なものに作用する力。そしてゴーストとは肉体を失った魂だけど、魂は生きている人間にだってあるよね? だから」
通路の奥、曲がり角から人型骨格を持つトカゲ、リザードマンが顔を出した。
それを見とがめるや否や、萌花は巻物を投げつけた。
すると、素早く伸びた巻物の軸はリザードマンの胸板を殴打。
そのうろこには傷一つつかないも、何故かリザードマンは大きくのけ反り眩暈を覚えるようにふらついた。
「霊術は魂へのダイレクトアタック。物理防御力無視の強制攻撃なんだよ」
と、ややキメ顔を作って見せた。
「うぉ、すげぇな。俺らの上位互換じゃねぇか! 即死攻撃ってことか?」
俺が霊術を大絶賛すると、萌花は照れ笑った。
「なぁんてちょっと誇張。ゴーストやアンデッド系と違って、生きている魂は肉体という器に守られているから強制的に倒せるわけじゃないし、流石に完全防御力無視ってわけにはいかないんだよね。でも、極端に硬い敵だと、むしろ物理攻撃よりは通りやすいと思うよ?」
「だとしても十分すげぇよ。萌花がいれば、このダンジョンは楽勝だな」
「流石、つきしろの自慢の妹」
「そんなこと言われるとツキシロ、調子に乗っちゃうよぉ♪」
三人で笑い合いながら、リザードマンの出てきた曲がり角を曲がる。
すると、左右が断崖絶壁になった、長い通路になっていた。
左右は底が見えないほどに深い。けれど、向こう岸に渡るには、てすりもない、細い岩の橋を渡る必要がある。
「侵入者が大勢で攻めてこれないようにってことか?」
「だろうね」
心愛が同意すると、彼女の足元からカチリと音足した。
見れば、足元の床が、スイッチを押したように、一段下がっている。
「えぇっと、これってぇ……」
心愛が不安げな声を漏らすと、案の定、橋の向こう側から、巨大な岩がゴロゴロと転がってきた。
「なぁ萌花、霊術って、ああいう魂も何もない準然たる無機物にはどうなんだ?」
「フフフ」
萌花は男前に、ぐっと親指を立てた。
「それが霊能力者の弱点だよ♪」
「駄目じゃねぇか!」
「なんてね♪」
俺がツッコむと、萌花は腰の刀を抜いて加速。
神速の刃が、大岩を縦一閃に両断した。
大岩は左右に分かれて断崖絶壁の底へ落下。
難を逃れた萌花が納刀する、チン、という小気味良い音が鳴った。
「魂の無い無機物が苦手な霊能力者は一応、錫杖とか刀とか、こういうサブウエポン持つんだよ。ただし本職の戦士さんには負けるかな。いまのもツキシロが斬岩をできるわけじゃなくて、霊力で肉体と刀を強化しただけだし。でも、だからこそ霊術使いのワタシと魔術使いのお姉ちゃんが組んだら無敵なんだよ」
萌花が心愛の肩に抱き着くと、俺は思わず喉をうならせた。
「へぇ、いいなそういうの。それぞれが得意なことを活かして支え合うチームワークってやつ? 実際ゴースト系には超強いわけだし、霊能力者ってチームに一人は欲しい人材だな」
「まぁ高位の霊術使いになると神仏の力を借りて神通力とかポルターガイストとかで物理的な破壊力を発揮できる人もいるんだけどね」
言いながら、萌花が一歩、橋を渡ると、足元が大きく揺れた。
「ん? 今のは?」
足元の橋に蜘蛛の巣上の亀裂が広がり、橋が崩落した。
「トラップじゃなくて、普通の経年劣化かよ!?」
突然の無重力間に支配されながら、俺ら三人は落下した。
「ふたりとも捕まって!」
萌花は巻物を職種のように伸ばして使い、俺と心愛を引き寄せた。
そうして、俺らが萌花の腕に捕まると、彼女は両手で印を結んだ。
「千手観音経! オン・バザラ・タラマ・キリク・ソワカ オン・バザラ・タラマ・キリク・ソワカ オン・バザラ・タラマ・キリク・ソワカ 舞空術!」
「おぉ」
「わぁ」
突然、萌花の落下速度が減速。
萌花という名のパラシュートにぶら下がるようにして、俺と心愛は彼女と一緒に減速した。
「凄いな萌花! 今日は大活躍じぇねぇか!」
「ごめんアサトシ、それにお姉ちゃん」
「ん?」
「やっぱ三人は無理ぃいいいいいいいいいいいいいい!」
「「えぇええええええええええええええええええ!?」」
俺らの落下速度は減速するも、十分とは言い難く、なかなかの速度で落下していった。硬い岩の床は、もう眼下すぐだった。
「ウィンドブロウ!」
髪、間を容れず、心愛が真下に風魔術を放つ。
その反動で俺らは床に激突する直前で急減速。
足がしびれる程度の衝撃で着地出来た。
「ふぅ、あっぶね、ふたりがいなかったら転落死だったぜ」
俺が大きく息を吐き出すと、二人は申し訳なさそうに苦笑いをした。
「まぁ、つきしろたちがいなかったらそもそも罠にかかっていなかったんだけど」
「あはは……」
「まぁまぁそう言うなよ。それより、ここってどこなんだ?」
周囲を見渡すと、舗装はされていない、ごつごつとした岩肌に覆われた天然の地下空間だった。
周囲に明かりはないも、古代ダンジョンの特徴として岩そのものがうっすらと発光しているので、目を凝らせば周囲の状況はわかる。
「はわっ!?」
心愛の悲鳴に首を回すと、そこには巨大なドラゴンの骨がその身を横たえていた。
一瞬、ドラゴンゾンビのようなモンスターをイメージして、俺も身構えてしまった。
けれど、すぐに警戒を解いた。
「大丈夫だよ心愛。ただの死体だ」
「バスティさんがこのダンジョンに瘴気はないから、アンデッドはいないって言っていたでしょ?」
「あ、そっか」
萌花の説明に納得した心愛は、ひとりささやかに赤面した。
「随分古い骨みたいだな。なんで死んだんだ?」
俺が好奇心で近づくと、萌花が声を上げた。
「アサトシ、こっちに人の骨が落ちているよっ」
萌花に呼ばれた壁際に足を運ぶと、そこには下半身が革製のズボンに包まれた骨が転がっていた。
「これは……」
足元に落ちていた手帳を拾い上げると、俺はおもむろに開いた。
うす暗い中、なんとか目を通していると、心愛と萌花が俺を挟むように集まって来る。
彼女達に、俺は手記の内容をかいつまんで説明した。
「どうやら行方不明になった女の人を探しに来たらしい。この人はその女の人のことが好きで、だけど捜索隊を出してもらえなかったみたいだな。それで自分で助けるために命がけでダンジョンに潜った」
「ロマンチックぅ」
「本当にその人のこと好きだったんだね」
ドラマみたいな展開に、二人はきゅんと声を高くした。
「だけど女の人はもう死んでいて、この人はドラゴンに追いかけられるハメになったらしい」
「えぇっ!? かわいそう!」
「現実ってつらいなぁ……」
「『私はいまドラゴンから逃げるため、この部屋に逃げ込んだ。だがここもいつ見つかるかわからない』で、終わりだな。ここから先のページは真っ白だ」
「でも、ドラゴンも倒れているってことは、相打ちだったのかな?」
首をひねる心愛に、俺は頷いた。
「だろうな。もしもドラゴンが生きていたら下半身も残っていないだろうし。一糸報いた、と考えれば浮かばれるのかもしれないけど、やっぱ可哀そうだな」
当時の彼の心境を想像して、俺はなんだかしんみりとしてしまう。
二人も同じなのか、何も言わず、黙とうを捧げるように押し黙った。
「よし、じゃあこのドラゴンの骨を持って帰ろうぜ。ついでにこの人の骨も。こんなところでのざらしよりも、帝都の集合墓地で供養してもらったほうがいいだろ」
「そうだね」
そうして、俺らはドラゴンの頭蓋骨を運び始めた。
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ダンダダン、アニメ一話いきなりヒロインが下着姿で戦っていたり、2話から出るヒロインの祖母がピチピチで爆乳で谷間丸出しだったり、見る価値ありです。
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