第16話 エロス16パーセント! わたしのパンツと一緒に洗わないで!

1話~2話♥8記念爆速更新!

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 夕食の間、心愛は終始無言でうつむき、真っ赤な顔でじわじわと涙を流していた。


 それは夕食が終わったあとも同じで、顔が桜色の萌花になぐさめられている。


 これではどっちが姉でどっちが妹かわからない。


「ほらお姉ちゃん。せっかくアサトシと再会して最初の食事なんだから。過ぎたことをいつまでも引きずらないで、ね」


「ぁぅ、ぁぅ……見られちゃった、あさとしに、つきしろの、だらしないぜい肉だらけのたるみきった体……」


 ――あれはぜい肉じゃないだろ。たるんでもいないし。


 とは、口に出せなかった。


「ほ、ほら! ワタシだってアサトシに、お、お尻モロ出しだったんだからぁ!」


 姉を励まそうと、萌花は自身もダメージを受けながら無理やり明るい声を出した。


「わたしはおっぱいの、しかもさきっちょまで見せちゃったもん」

「あの、俺やっぱり帰ったほうが」

「帰らないでッッッ!」


 萌花は鬼気迫る怒声を俺に叩きつけてきた。


 俺は無言で座りなおした。


 そして萌花はころりと表情を変えながら猫なで声を奏でる。


「それにほとんどうしろばかりだったから本当に大切な場所は見られていないし」

声を潜め、耳元でささやいた。


「お姉ちゃんがお尻とおっぱい不自然に育ちまくったのにまだ…………だけ…………なのはバレていないから」


「ふゃっ!?」


 心愛はぴくんと顔を上げると、もじもじと視線を彷徨わせてから、妹に耳打ち返しをした。


「ほんとう? ほんとうに、わたしが…………だって、バレていない?」


 涙交じりの色っぽい哀願声に、萌花はおのが私腹を肥やすために一家破産を目論む大正時代の悪徳高利貸しのように悪い顔をした。


「だいじょうぶだいじょうぶ、バレていないから。まだ挽回できるから。アサトシの好感度を十分に稼いで恋に盲目なアバタもエクボになってから打ち明ければOKOK」


「ぁぅ……ぁぅ」


 心愛はちらちらと俺の顔色を窺ってきて、それから両手を絨毯に着けて、這うようにして俺に迫ってきた。


 心愛の愛らしい顔が、それも、赤く涙ぐむというこれ以上ないほど色っぽい表情で目の鼻の距離まで近づいてくる。


 その状況に、俺は心臓が高鳴りながら身を硬くした。


 ――ダメだ、心愛のことを、よこしまな気持ちでしか見られない!


「あさとし」


 なのに、心愛はためらいがちな声を、絞り出すようにして言った。


「あのね、つきしろのはだか……へんじゃなかった?」


 鼻の奥に、血の匂いが充満した。

 背中に大量の汗をかきながら、俺も精一杯の声を絞り出した。


「へ、変じゃないし、すごく、きれいだったぞ……」

「ふゃっ……ふゅぅ……」


 心愛は驚いたように体を跳ねさせてから、反応に困るように視線と顔の向きに悩んでいる様子だった。

 でも、しばらくしてから、はにかむような可愛い笑みを見せてくれた。


「うそでもうれしいよ。ありがとう、あさとしはやさしいね」


 ――嘘じゃないんだけどなぁ。


 ただし、それを証明しようとすると、俺の名誉とか、性癖とか、色々と失うものが多すぎるので口にはできなかった。幼馴染の尊厳よりも自分の体裁を優先する俺は最低の男である。


「あっ、そういえば話は変わるんだけどさぁ!」


 萌花は手を叩き、あまりにも強引に話題を変えてきた。


「アサトシって命属性以外の魔術は使えないの? 火とか雷とか」


 溺れる者は藁にもすがると言うように、無理やりすぎる展開に、だけど俺は乗っかった。


「使えないな」

「でも魔力をストックしおけるってことは魔力はいっぱい持っているんだよね?」

「量だけはな」

「じゃあお姉ちゃんから魔術、学んでみない?」

「でも俺、適性ないんだよなぁ。初学生の検査でオールE判定だったの知っているだろ? お前らは霊術と魔術でB判定だったけど」


「やるだけやってみようよ」

「う~ん、そこまで言うなら」


 本当にやる気なんてない。

 ただ、話題を変えるためのその場しのぎだ。


「ほらお姉ちゃん教えてあげて」

「うん」


 まだほんのりの桜色の頬を俺に向け、心愛はおずおずと俺にレクチャーを始めた。


「まず、命魔術は使えるんだから、基本的な魔力の使い方は知っているよね?」

「おう」


「じゃあ、一番簡単な水魔術を試してみよっか。人体は半分以上水だし水は毎日ふれているから。イメージじゃなくて実感、体感を想像しやすいの。適性が低い人でも、水魔術だけは使えるって人は多いよ」


「へぇ。じゃあ待ってろよ、水、水、水」

「はい水」


 いつの間にか、萌花が水を張った洗面器を持ってきてくれた。

 俺は左手を水につけて、右手に魔力を送った。


 水の映像を思い浮かべるのではなく、五感で、体感で水をつかみながら、魔力を変化させていく。

 すると、右手の平で、ぷるぷると水滴が震えている。


「あ、見てお姉ちゃん」

「よかった♪ 成功したよあさとし♪」


 さっきまでの赤面はどこへやら、心愛は両手を合わせ、すっかり笑顔になってくれる。


「おー、初めて魔術成功したな。ちょっと感動だわ」


「じゃああさとし、あとはこれを毎日続けて、魔力を水に変える変換効率を上げたり、一度に使える量を増やそうね♪」


「ああ。心愛の期待に応えられるようせいぜい頑張るよ」


 心愛の笑顔に合わせて、俺も歯を見せて笑った。

 心愛とのきまづい雰囲気が消えて、俺はほっとした。


   ◆


 東雲朝俊が帰った後。

 心愛は下着を次々、洗濯機に放り込んでいた。


「今日は危なかったなぁ。あさとしに、つきしろがこんなえっちな下着をしているってバレちゃうところだったよ」


 彼女の手にしているのは赤いヒモパンに、黒のTバックパンティ。そしてブラジャーはカップこそ巨大でありながら、布地そのものは小さく派手な刺繍が施されていて、セクシー女優がエロ本撮影で身に着けて居そうな印象を受ける。


 同年代の子たちが、年々大人っぽい服を身に着ける中、小柄で童顔な自分の容姿が恨めしかった。


 だけど、ある日カタログで目が留まったヒモパンを履いて学校に行くと、自分がちょっと大人になったような、自信が持てるような感覚があった。


 戦士を育てる学園では、女子の制服はスカートだだが、中に短パンやブルマ、スパッツをはくのが当たり前で着替えの時でもクラスメイトに下着を見られることはない。


 そのため、エッチな下着を身に着けることは、心愛の密かな生きがいになっていた。


 秘密を知っているのは、妹である萌花だけだ。


「あさとしって、どういう下着が好きなんだろ?」


 頭の中で、朝俊がセクシーランジェリー姿の自分に欲情し、襲い掛かるという都合のいい妄想をして、心愛はかぶりを振った。


 ――わたし、なんてイケナイことを考えているんだろう。そんな下品なの、嫌われちゃうに決まっている。あさとしにバレる前に、早くこんな下着卒業しないと。ダイエットして、お尻とおっぱいも小さくしないと。


 ヒモパンとTバックパンティを洗濯槽に落として、次の洗濯物を手にして、心愛は固まった。


「あばっ」


 彼女が手にしたのは、朝俊の青いボクサーパンツだった。


「あ、あさとしのパンツ……」


 顔は赤く震え、息は荒くなり、目と口は開いたまま塞がらない。


「一日中、あさとしのあさとしをつつみこんでいた……それってもう実質あさとしの……そのものと言ってもいいんじゃ……」


 思春期由来の好奇心と欲求にむくむくと湧きあがる。

 甘い悪魔の誘惑に、心愛は額に汗をかきながら抗いつつも、頭は必死に正当化する理由を探していた。


「せ、洗濯物の汚れ具合をチェックするのは、必要なことだよね?」


 顔の毛細血管が広がるのを感じながら、心愛は自分に言い聞かせた。

 汗でわずかに湿った布を両手でもてあそび、前から、後ろからためつすがめつ、観察していく。


 ふと、悪魔の甘美な声が聞こえてくる。


 ――一番汚れているのはどこかな?


「あびゃっ!?」


 自分のすべきこと、してしまっても言い訳が立つことを妄想して、心愛は頭痛がするほど頭が過熱した。


 ――ダメ! それはダメ! そんなことしたら、つきしろ、変態さんになっちゃう! そんなの、絶対あさとしに嫌われちゃう! 


 心愛は、溢れる乙女回路を総動員して、理想を思い描いた。



 ある休日、昼下がりの公演を、朝俊とふたりで並んで歩く。


 自分は清楚な格好で、頭には白くて大きな帽子、手にはランチバスケットを持っている。


 愛する朝俊と優しく清らかに微笑みながら、互いの小指同士を絡めたささやなか恋人繋ぎ。


 そしてベンチでお弁当のサンドイッチを広げて、公園の噴水を眺めながら、他愛のないおしゃべりをしながら、鈴を転がすように笑いあう。


 すると自分が囁く。


「あさとし、ほっぺにケチャップついているよ」


 それを指でそっと取りのぞき、ぺろりとなめる。

 自分のはしたなさに頬を赤らめ、白い帽子を目深に被りながら恥じる自分。

 すると朝俊が語り掛けるのだ。


「心愛」


 彼の力強くも包容力のある優しい指が自身の頬をなでると、そこには赤いケチャップが。


 それをなめとり、朝俊はウィンク。


「お前もケチャップ、ついてるぞ」


 その一言にますます赤くなる自分のあごに手を添え、朝俊は顔を近づけて、気が付いたら互いのくちびるが――。



「お姉ちゃん何しているの!?」

「あぶぁああああああああああああああああああああああ!」


 心愛は天に絶叫した。


「なな、なに萌花!?」

「いや、何って、実の姉が朝俊のパンツを握りしめながらトリップしていたら心配になるでしょ?」


「ト、トリップなんてしていないもん! もぉ、じゃああさとしのパンツは萌花が洗ってよ!」


「いいですよぉ。お姉ちゃんに任せていたらどんな性癖開いて警察のお世話なるかわからないし。そうしたらワタシのお姉ちゃんとアサトシをくっつけてアサトシを義理のお兄ちゃんにしよう作戦も台無しになっちゃうもん」


「性癖なんて開きません!」


 ぷんすか起こる心愛の前で、萌花は洗濯機に他の下着、洗濯物を次々入れていき、水と洗剤を入れていく。


 その工程に、心愛はなんだか大切な見落としを感じた。

 そうして萌花がスイッチを入れると、洗濯機の水が回り始めた。


 水の中で、心愛のヒモパンやTバックパンティと、朝俊のボクサーパンツが絡み合った。


「ッッ!? ダメェ! あさとしのパンツと一緒に洗っちゃイヤァアアア!」


 洗濯槽に手を伸ばす姉を、萌花は体を張って止めた。


「いやもう回しているから! お姉ちゃん落ち着いて!」


「ダメ! ダメ! だめぇ! あさとしのパンツが、あさとしのオチン、ごくん、包み込んでいたパンツが、あさとしとつきしろのパンツが絡み合って、混ざり合って、こんなの関節エクロスだよぉ! あさとしのパンツは手洗いさせてぇ!」


「お姉ちゃん落ち着いて! その言葉だけ切り取ったら凄いこと言っているから!」


 互いに爆乳を押し付け合いへし合い、GカップとIカップの脂肪が千変万化する、全おっぱい国民垂涎の光景が繰り広げられる。



 そこへ、忘れ物をした朝俊が玄関のドアを開けた。


「ああそうだ、俺の服だけど自分で洗濯――」

「離して萌花! あさとしのパンツは! つきしろが手洗いするのぉおおおおおおおおおおおおおおお!」


「…………ここ、あ?」

「あぶゃっ!?」


 心愛と朝俊の目が合い、二人は硬直。


 同時に萌花の拳が天翔けるような閃きを見せ、二人の頸動脈に一撃ずつ加え、意識を刈り取った。


 が、後日、都合よく記憶を忘れるはずもなく、二人はちょっと以上に気まずい感じになった。


 ――このふたりがくっつくの時間かかりそうだなぁ……。


 萌花はめちゃくちゃ呆れた。

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漫画【アンゴルモア博多編】の37話が巨乳の女武将のセクシーシーンがあっておすすめです。

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