第11話 エロス11パーセント! 爆乳姉妹を訓練します!

 ★8記念爆速更新!

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 リリカとメイカさんがいなくなると、アメリナはまた、居丈高な態度で手の平を天井に向けたジェスチャーで「いいかしら」と始めた。


「ワタクシは次学部主席で、学園全体のランキングでもベスト100位以内に名を連ねるトップランカー。それに引き換え、そっちの二人はランク外でしょう? それとも、ワタクシに負けた時の言い訳要員かしら?」

「心愛、ランキングってなんだ?」


 人を馬鹿にした態度のアメリナは、口角をびきりと引きつらせた。


「アナタ、どこまで世間知らずなの……?」

「いや、あさとしは昔からランキングとか興味ないから……」


 馬鹿にされた当事者でありながら、心愛は申し訳なさそうに愛想笑いを浮かべた。


「あのねあさとし、エリジオン学園は人類の敵からの防衛力、任務遂行能力に応じて、ランキングが作られるの。各学年が2000人。それが中等部と高等部合わせて6学年だから全国生徒は12000人。そのうち、上位1000人だけがランキング入りできるの」


 隣で、萌花が補足する。


「ランキング入りしている人はランカーって呼ばれて、強豪生徒の証明になるんだよ。上位一割未満に入るんだから当然だよね」


 その説明に、アメリナは気分よく鼻を鳴らし、特大の爆乳突き出した。


「その通り。つまり、ベスト100位に名を飾るワタクシは上位1パーセントのまさにトップランカー。そこの凡民とはモノが違うわ。当然、ワタクシは次回、同じランカーと組ませてもらうわ。これで、アナタがワタクシに勝つのは不可能になってしまったわね!」


 勝利宣言をするようにアメリナはほくそ笑むが、俺はどうでもよかった。


「別にお前に勝つ気ないしなぁ」

「ふん、負け惜しみを。ドレイタス討伐の時はちょっと見込みがあるかと思ったけれど。せいぜいそこの低能姉妹と遊んでいなさい」


 アメリナの言葉に、心愛と萌花は気まずそうに身を縮めた。


 その光景に、俺はいたずら心を刺激された。


 思わず、口の端がニヤリと上がってしまう。


「エリート様はわかってねぇなぁ」

「はい?」


「勝負ってのは、格下が格上を倒すジャイアンとキリングが醍醐味なんだよ。宣言するぜ。俺が、この二人を一週間でお前より強くしてやるよ」


「アナタまさか!?」


 アメリナはハッと何かに気づいた顔をしてから、かぶりを振った。


「ふん、あんな一時しのぎの借り物、ニセモノの力に頼る時点で負け組だわ」


 そう言って、アメリナは俺らに背を向けて立ち去った。

 いつの間にか湧いていたギャラリーは、その後ろ姿にいつまでも注目していた。


「ちょっとあさとし、なんてこと言うの!?」

「そうだよ! ツキシロたちが一週間でアメリナより強くなるとかできるわけじゃない!」


 二人の幼馴染が、エサをねだるひよこのようにぴーぴー抗議してくる姿に、俺は可愛いなぁと和んだ。


「まぁまぁ、そこは訓練次第だろ。とりあえず、放課後俺と訓練場な」


 俺が悪い笑顔を見せると、二人は顔を見合わせた。


   ◆


 放課後。

 俺らは外の訓練場に来ていた。


 周囲を高い盛り土とコンクリート壁に囲まれたそこは飛び道具を使っても周囲に危険が及ぶことはなく、生徒たちが自由に訓練をしていい場所になっている。


 青空の下、他の生徒たちも剣や槍、魔術を駆使して、戦闘訓練をしていた。


「わぁ、みんなすごいなぁ」


 周囲の生徒たちの戦闘風景に、心愛は感心と気後れがないまぜになった溜息を漏らした。


 心愛の言う通り、訓練場を利用している生徒たちはレベルが高そうに見えた。


 放課後も真面目に自主訓練をしている以上、彼ら彼女らは皆、トップランカーを目指すガチ勢なのだろう。


「ねぇアサトシ、ツキシロたちを強くするって、何かあてはあるの?」

「まぁな、じゃあ軽く俺の能力から説明するぞ」


 心愛がまばたきをする。


「あさとしの能力って、回復と肉体強化だよね? 魔王軍をパンチで倒したんだよね?」


「ちょっと違うな。面倒だからそこそこ内緒だけど、俺の能力は命属性。能力は命の安定と回復、そして生命力のストックだ」


 周囲に聞き耳を立てている生徒がいないことを確認してから、俺は二人に明かした。


「普段の余剰体力を貯めておくことで、戦闘中はほぼ無限に全力運動ができる。さらに消費体力を二倍、三倍にすることで身体能力をそのまま二倍三倍にできるんだ」


「すごぉい、便利な能力だね」


 心愛はうれしそうに明るく褒めてくれた。

 久しぶりに会った幼馴染は、やっぱり可愛く魅力的だった。


 初学生時代はあまり意識していなかったけど、三年間、離れていたことで心愛のような女の子の癒し効果を実感する。


「そして四つ目の能力が、他人の命を強化することで、一時的に能力を底上げすることだ」


「強化魔術ってこと?」


「いや、強化系魔術は威力を上げるだけだけど、俺のは能力そのものの熟練度が上がるんだ。試しに心愛、ちょっと手ぇ借りるぞ」


「ふゃっ!?」


 俺が手を握ると、心愛はふわりと頬を染めて、萌花は小さなガッツポーズを作った。


 ――こいつは何に勝ったんだろう?


「よっ」


 俺が力を籠めると、心愛の青い瞳が淡い輝きを放った。


「あ、お姉ちゃん目ぇ綺麗」

「え? え? つきしろ、どうなっちゃったの?」


 可愛くあわてふためく心愛を鑑賞しながら、俺はお願いした。


「心愛、いま練習中だけど使えない技を見せてくれ」


 俺のお願いに、心愛はためらいがちに頷いてくれた。


「う、うん。えっとね、知っていると思うけど、つきしろの力は魔術で、いま、同時に二つの魔術を使う練習をしているの」


 心愛が右手を開くと、ライターのように小さな火が灯った。炎はまたたくまに膨れ上がり、バスケットボール大の火球になる。


「そうすれば牽制と攻撃が同時にできるんだけど、ランカーさんじゃないとこんなのできるわけ……え?」


 心愛の左手には、手の平大の白い竜巻が回転していた。


「えっ!? 嘘!? つきしろ、使えている!?」

「凄い! お姉ちゃんそれどうやっているの!?」

「わかんない! やろうとしたらできたから。なんで!?」


 戸惑う心愛は、そこでふと何かを思いつくようにして、目を丸く見開いた。


「もしかして、えい!」


 心愛は両手を合わせて、火球と竜巻を合成。


 両手を前に突き出すと、巨大な爆炎が巻き起こった。


 膨大な業火のうねりに、熱波が俺の顔を炙り、轟音は周囲の音を静寂に変えた。

振り返れば、生徒たちの視線を集めていた。


 心愛は鳩が豆鉄砲を食ったような顔で、ぽかーとんと固まっていた。

 漫画なら、額から鳩時計がくるっぽーしていることだろう。


「え? え? いま、これ、つきしろがやったの?」

「おう。効果は15分。だけど激しく能力を使うと短くなるから気を付けろよ」

「ん? まってアサトシ」


 萌花が俺の肘をつかんできた。


「アサトシの言っていたツキシロたちをアメリナよりも強くするって言葉の意味は分かったけど、15分おきにツキシロたちを強化するのって難しくない?」


「違うよ。この能力の真骨頂は、先の実力を体験できることだ」

「「?」」


 姉妹の二人がそろって頭に疑問符を浮かべると、本当にまったく同じ顔がふたつならんでいておもしろ可愛かった。

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