第2話 エロス2パーセント! 魔法少女はロリ巨乳!

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「ボクはリコリス・ブライド、勇者だよ」


 デスクワークでもするように淡々とした無感動な口調に、俺はハッとした。

 いつの間にか、彼女に誘われるようにして俺も舳先にいた。

 目の前の美少女に、慌てて自分を取り繕った。


「お、俺は東雲朝俊、エリジオン学園の学生だ」

「あー、あの養成所の生徒か。ボクがいない間、キミが乗客を守ってくれたのかい?」

「まぁ、な」


 興味がなさそうな、業務連絡のような語調。


 だけど、彼女の魅力はまるで変わらない。


 彼女は、今どきの高学生には珍しく、化粧をしていなかった。


 化粧もアクセサリーも衣装も、笑顔すらない。


 手に握るのは、勇者の証である聖剣ドラゴカリバーという、剣身と柄が同じ長さの長柄剣だ。女の子が持つにはかなりゴツイ。


 それでもなお、彼女は圧倒的かつ完璧な美少女だった。


 まさに、【真正】の美少女、と言ってしかるべき存在だ。


 そうして俺が彼女に美しさに注目していると足元がガクンと揺れた。

 飛行機が安定を失い、高度が落ちているのだ。


「ふん、何かあったみたいだね」


 眉を微動だにせず、リコリスは無感動に飛行機のコックピットを覗き込むと、MR画面を展開させた。


「文字見えている? 着陸できそう?」

「ダメだリコリス、機長は毒を受けている」

「ああ、今見えている。苦しそうだけど、動けるみたいだよ」


 犠牲者がいないこと、そして着陸の希望が見えて、俺は拳を作った。


「なら!」


「でも操縦はできそうにないね。副操縦士もギリギリ、それに……足が出ないらしい。胴体着陸は危険だ。このサイズなら機体重量は100トン。ボクが足になる。キミは行けそう?」


 テキパキと業務を片付けるように話を進めるリコリスに、俺は頷いた。


「裏技を使えばな」

「じゃあ使って」


 言ってから、リコリスは穴の開いた天井へ駆け、声を張り上げた。


「機体を軽くするから! 全員前半分に集まって!」


 リコリスが聖剣を頭上に掲げると、意図を察した乗客が慌てて前に駆け込んだ。


「破ッ!」


 次の瞬間、リコリスは聖剣を一閃。旅客機は主翼より後ろを丸ごと失った。

 尾翼を含む飛行機の下半身が青い海に墜落し、呑み込まれていく様は少しゾッとさせられる。


「じゃあ行くよ」


 リコリスは聖剣を背中に担ぐと、空を駆けるようにして飛行機の背中から下へ滑り降りた。


「勇者って空を歩けるんだな。じゃあ俺は」


 天井の穴から客室に戻った俺は、リコリスの作った切断面近くに着地した。

すぐ後ろは外で、眼下の青い海が超高速で流れていく光景は凄まじかった。


「じゃあ、俺も足になりますか」


 ――身体強化……倍率限界!


 全身にチカラを使ってから、俺は切断面をつかみ、鉄棒からぶら下がるようにして機体からぶら下がった。


 前方ではリコリスが機体の腹をつかみ、ぶら下がっていた。


 眼下に迫る空港、コンクリートの駐機場。


 数十トンの重量が時速数百キロで着陸する運動エネルギーを二人で受け止めるため、俺はチカラの出力を限界以上に高めて備えた。


 みるみる高度が落ちて、ついに俺らの足が地面に触れた。


「ッッッ!?」


 人生最大の衝撃と抵抗感が足を貫通した。

 靴は一瞬で引き裂けて、足裏の皮膚がコンクリートを削る未知の感覚。


 耳をつんざく擦過音と両足の筋肉が千切れそうな負荷に耐えながら歯を食いしばると、飛行機は徐々に減速しながらも空港へまっすぐ進んでいく。


「「とまれぇえええええええええええええええええ!」」


 いつの間にか、俺とリコリスは同時に叫んでいた。

 そして、ついに飛行機の先端が空港のガラス張りの壁面に激突。

 ガラス製の壁面に蜘蛛の巣上のヒビが走った。


 つまりはそんな程度。

 つまりは……。


「止まったぁ……」


 俺は気を抜くと、リコリスが肩越しにこちらを振り返った。


「ありがとう。キミのおかげで助かったよ」

「ッ!?」


 その顔は先ほどまでの無機質なソレではなく、感情の火が灯った、無邪気な笑みだった。


 超然とした少女が見せる無防備な笑顔の魅力は底なしで、俺は心臓の高鳴りを抑えられなかった。


「お互い様だろ。リコリスがいなかったら俺は死んでいたさ」


 互いに笑みを交わしてから機体を横に下ろす。

 すると、リコリスは再びビジネスライクに淡々と告げた。


「じゃあボクは次の仕事があるから。インタビューは面倒だから全部キミがやったことにしてくれるかい?」


「え、それはちょっと、手柄の横取りじゃんか」

「気にしなくていいよ。あの程度の敵、むしろボクのアベレージが下がるし。じゃ」


 俺の返事も聞かず、リコリスは地面を蹴ると、その勢いのまま、空へと消えた。

 まるで子供向け特撮ヒーローだと呆れてしまう。


「東雲朝俊様」


 突然、後ろから大人びた声をかけられて振り返った。

 目の前にはさっきの幼女と、その保護者らしき女性が立っている。

 その背後では、飛行機から次々乗客が下りていた。


「この度は貴殿のおかげで助かりました。貴方の功績を、姫殿下はいたく感謝しておられます」

「姫殿下?」


 ものものしい口調に、俺は首をかしげると、隣の幼女ちゃんが背中に手を伸ばした。


 ぱちんと何かが外れる音がすると、ぺたんこなお胸がどたぷんと勢いよく膨らんだ。


「え?」


 悩まし気な揺れに目を奪われる間に、幼女ちゃんはサングラスを外した。

 その顔に、俺は声を上げた。


「あの、まさか……」


 絶世の美幼女は両手でスカートをつまみ、僅かに腰を落とし、気品漂う会釈をした。


「初めまして。わたくし、マジカレイド王国第二王女、リリカ・フォン・マジカレイドと申します」


 その隣で、女性が膝を折り、深くかしづいた。

 俺も、つい真似をしてしまう。


「ふふ、いいんですよアサトシさんは命の恩人ですし、マジカレイド臣民ではないのですから」

「そうです、代わりにこの専属侍女メイカが頭を低くします」


 と言いながら土下座をせんばかりに身をかがめ、リリカ姫のスカートの裾もよりも低く頭を下げた。


 その視線が微妙にスカートの中に向けられている気がするのは、俺の見間違いだろう。


「いや、でもリリカ姫ってさっきニュースで」

「あれは影武者です」

「あ、そういう。でもなんで俺の名前を?」

「それはわたくしから説明しましょう」


 メイカさんは立ち上がると、MR画面を展開した。


「姫様は貴方と同じエリジオン学園に入学する身。安全確保のため、全学生のデータは頂いております」


 画面に映る生徒名簿と顔写真の一覧を目にしながら、俺は個人情報保護って何だっけと思った。


「それより、貴方がエリジオン学園の生徒なら魔術を使えるのは納得ですが、姫殿下の体調を治したのはどういう力なのでしょうか? 回復魔術は魔力で細胞を活性化させて治癒力を高めるので、アレルギー症状、乗り物酔い、神経過敏症などには効かないはずでは?」


 メイカさんの質問に、俺は気を取り直して答えた。


「あー、あれですか。あれは回復魔術じゃなくて命っていう俺の固有属性ですね。効果は生命の安定と備蓄、それから……」


 そこまで言って、俺は言葉を飲み込んだ。


「いや、詳しくは割愛します。それよりも学園に行かないと遅刻しますよね」


 俺が自分の手荷物を取ろうと飛行機へ向かおうとすると、そこにはカメラやマイクを持った記者たちが人垣を作っていた。


「一言いいですかー!?」

「君が乗客を救ったんだよね!?」

「敵は魔王軍と聞いていますが本当ですか!?」


 突然の質問攻めに、俺はたじろいでしまう。


「いや、あの、メイカさん!」


 首を回した先にあったのは、幼女を小脇に抱えて全力疾走するメイカさんの白状な姿だった。


「わたくしは姫殿下を学園に送る使命がありますので! 失礼いたします!」

「メイカさぁあああああああああん!」


 視界の左右から取材陣が現れ、完全にメイカさんを見失った。

 周囲を完全に囲まれてしまい、逃げ道を絶たれた。


 ――リコリスのやつ、これが嫌だったんだな。


 彼女に深く同情しながら、俺は肩を落とした。

 どうやら、学園には入学そうそう遅刻確定らしい。

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 トラブル神Yは言った。ヒロインの裸を見ていいのは主人公だけであると。

 ハレンチ神Nは言った。ヒロインの裸は晒してこそ価値が出ると。


 ヒロインの裸を主人公以外の男が見てもいいかどうか、これは永遠のテーマであり解釈違いを起こすと血で血を洗う抗争が勃発し死山血河が築かれる。


 だから私は思った。


「晒し用ヒロインと、主人公用ヒロインを作ればいいんじゃね?」


 その手があったか。

 というわけで本作では事前に晒し用ヒロインは明言します。

 この子の全裸はモブ男子たちに晒されますと予告します。

 そうしたヒロインには過度な思い入れをしないようご注意ください。


 ただしこのヒロインにガチ恋したのでお願いだからこのヒロインの全裸をモブ男子に晒さないでくださいというコメントが【大量】に届いた場合はやめます。


 代わりに同じような属性の新ヒロインを作ってその子に代わってもらいます。

 また、あまりにも過酷過ぎるエロはヒロインではなく悪役たちに担ってもらいます。

 悪の女幹部たちはそのために描かれます。


 ところで関係ないけど【魔法少女にあこがれて】って面白いよね。

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