第32話 下着ドロのフォックス
「お困りのようだな」
子どもでも解るくらい悩んだ姿を見せているメアリーに、声が掛かりました。
「……申し訳ありません、どちら様でしょうか?」
礼節を重んじる者が多い城内では聞く事がない、どこか乱暴な物言いにメアリーが顔を向けると、やはり見覚えのない男が自分を見詰めていました。
あまり城勤めが似合いそうにない、どこか獰猛さに似た荒々しさを感じさせる男です。
「ああ、スマンスマン。俺はこの間から城で勤める事になったフォックスってもんだ。アンタには妹を襲おうとした変態野郎か下着ドロって言った方が解り易いんじゃないか?」
飄々と、それこそ世間話でもするかのようにフォックスは話しますが、その内容は世間話などとは大きく掛け離れていました。
「なっ!」
メアリーは勢いよく立ち上がると、今にも殴り掛かるんじゃないかというくらい敵意を剥き出しにしてフォックスを睨み付けます。
「ちょい待ち。アンタの妹である騎士の嬢ちゃんですら勝てなかった俺に、戦場を駆け抜けた経験どころか剣すら持った事無さそうなアンタが勝てる訳ないだろ? こういう時は悔しくても逃げて復讐の機会を待つもんだぜ」
そんなメアリーの様子に怯むでもなく、まるで子どもにでも突っ掛かられたかのような軽い口調でフォックスは注意します。
「ぬけぬけとよくそんな事が言えますわね。それも私があの子の姉と知っていて……」
メアリーは腹立だしさを隠さない口調で吐き捨てると、一層、視線を強くしました。
言っている事が正しく感じるだけに、余計に悔しかったのです。
「……悪かったと思ってるから、こうして依頼を請けたんだよ。アンタらがムテキンの事を調べるのを手伝い、危険から守ってやってくれっていう依頼をな」
そんなメアリーから目を逸らして、フォックスはバツが悪そうに呟きました。
その態度は今までの飄々としていたモノと違い、どこか叱られた子どもを思わせる素直さと申し訳なさを感じさせます。
「……下着泥棒の言う事を信用出来ると思いますか? そもそも、誰がそんな依頼を出すというのです?」
やや毒気を抜かれながらも、それでもメアリーは油断せずフォックスを睨み続けます。
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コピペミスしてしまい、この話だけ極端に文字数が少なくなってしまいました。
申し訳ありません。
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