第35話 ヒロインとOINEグループ

 今日はまた母さんが俺の家にやって来た。

 自分の今使っていないスマホを中川さんにあげるためである。


「本当にありがとうございます!!」


 中川さんは、母さんにお礼を告げる。


「そうだ、後で母さんと一緒に携帯ショップ行きましょうか! 鈴音ちゃんにあげたそのスマホ……電波とか諸々今は入っていないから……」


「はい! ありがとうございます」


 どうやら、彼女と俺の母さんで携帯ショップに行くらしい……


 俺はどうしたかと言うと、一人でお留守をしていた。

 理由は俺が行く必要もないと感じたからだ……別に中川さんも母さんがついているなら安心だし……

 そういえば……もう、八月すぎてるんだよな……


 俺はスマホの書いてある日にちを見てそう思う。


 八月と言えば……八月二一日……そう、中川さんの誕生日である。

 直接本人に聞いたわけじゃないが……ゲームの中の誕生日が八月二一日だったので多分そうだろう……


 なにか、彼女にをしてあげたいな……せっかくの誕生日なんだから……中川さんにいつものお礼をしたいし


 そして、テレビを見ていると、中川さんと母さんが帰ってきた。


「ただいま〜山田くん!」


 そう、挨拶する彼女はなんだか、嬉しそうだった。

 すると、俺は早速彼女にこの世界のスマホの使い方を教えてあげた……

 とは言ってもこの世界のスマホは、中川さんのいたあっちの世界のスマホとあんまり操作方法が変わらないので、教える事も少なかった。


「これが、いつも山田くんたちが使っているOINE?」


「そうだよ……OINE入れて、設定終わったら言って、月野さんとかに知らせるから……あ、あと、月野さんには携帯直ったって事にしといて」


「うん、わかったよ」


 そして、彼女はOINEを入れて、設定諸々完了したところで俺に言ってくる。


 俺はスマホのOINEQRコードを見せて、彼女はそれを読み取る。

 そして、友達に「すずね」が追加される。


「えへへ、初めてのお友達! 山田くん!! 追加っと!! この世界での初めての友達もこのOINEの中の初めての友達も山田くんえへへ! なんだか山田くんが初めての友達で私嬉しいな!!」


 そう彼女は喜んで自分のスマホ画面を俺に見せてきた。

 なんだろう……俺と最初の友達になっただけでそんなに嬉しいのかな……

 それから俺は月野さんに中川さんの連絡先を教えて、中川さんと月野さんは晴れて直接連絡ができるようになった。


「えへへ! ありがとう山田くん……」


 彼女は、俺に礼を言いつつ、OINEに没頭していた。中川さんなんだか嬉しそうだな……

 俺はそんな彼女を見て微笑んだ。


 そして、しばらく時間が経った頃だろう……俺のスマホと中川さんのスマホが同時に鳴った。

 スマホを見ると何やら……しずくさんがグループを作りました! なんて文字が……

 

「グループ? これって、OINEグループの事?」


 中川さんが不思議そうに声を出した。

 てか、俺の所にも通知が来たってことは……俺と中川さんが入っているグループってことか?

 一体なんのグループだ? 勉強会は終わっただろう……本当になんだ?


 そして、俺はそのメッセージを開く。

 そこにはグループ名にプールと書かれていた。


 そうか……これは、プールの!


「このグループの名前……プールって書いてあるけど……これプール行くためのグループ?」


「そうだよ」


 おそらくプールに行くためのグループだろう……それに、グループに入っている……月野さんと中川さん以外のこのゆいなって人はまさか……


「ねぇ? 中川さん……この結菜って人もしかして?」


「うん! 結菜は、結菜だよ!!」


 うん! 若干返答になっていないが……結菜は、結菜だろう!!

 俺はこの結菜が正孝の幼馴染の橘さんであることを理解した。だって確か正孝のやつが橘の下の名前結菜って言ってたからな……


「てことは? その、橘さんも俺たちと一緒にプール行くことになったんだね!」


「うんうん!! あと、雫が田中くんも誘っといてだって……あの二人幼馴染だからせっかくなら誘ってあげようよって言ってたから!」


 なるほど確かに正孝を誘うのはありだな……ていうよりもしかして正孝が来なかったとしたら俺と女子三人ってことだろ……そんなの俺には耐えかねる……俺は彼女にそう言われて、正孝の事をグループに追加した。


 正孝は状況が理解できずに、俺に鬼OINEメッセージをして来たが、とりあえず落ち着け、そうメッセージして、俺は正孝のメッセージを放っておいた。


「それじゃあ……中川さん……今度水着買ってこないとね!」


「うん……そうだね」


 そう彼女は笑顔を馴染ませた。

 水着か……中川さん洋服もなんでも似合うから……きっと水着も似合うんだろうな……


「じゃーね!! また来るから! 鈴音ちゃん、海人!!」


「ああ! いろいろ助かったよ……母さん」


 さっきまでキッチンで何かをしていた母さんは時間になったからと家に帰宅した。

 本当に母さんには助かった……



 ーーあれから何日か経ち俺は今、月野さんと中川さんと共にショッピングモールを歩いている。


 理由は中川さんの水着を買いに行くためだ……

 俺は月野さんが来るのなら、行かないと言ったのだが、月野さんに半ば強引に連れて来させられた。


「あの……俺、ここに来る必要ありましたかね?」


「うんうん! そんな堅苦しい事言わないの! 山田くん!!」


「わかりました……」


 俺は前を歩いている月野さんにそう言われた。

 まぁ、彼女がそう言うならいっか……


 そして、中川さんと月野さんと俺は歩いてほどなく水着の売っている店に到着した……


「それじゃあ……俺他の店で浮き輪とか見てくるからさ……終わったらメッセージしてくれたら駆けつけるから!」  


「ちょっと待ちたまえ! 山田くん! いいのかな? せっかく可愛いわたしと鈴音の水着が見れるんだよ! ほらほら! ここでわたしたちと一緒にいたら水着が見れるんだよ!」


「いや……遠慮しておきます……」


 俺は月野さんに引き止められて突っぱねた。なんだか緊張しちゃうから……

 なので俺は水着の売っているお店についていかず、二人に礼を言って、浮き輪が売っている店へと足を運んだ。


「うわー! なんか浮き輪色々な種類があるな〜〜!!」


 俺は浮き輪の種類の多さについつい言葉を漏らした。


 確か……昔浮き輪を持っていたのだが家の中でこの前浮き輪を振り回していたらぶっ壊れてしまったからな……新しく買わないといけなくなった……全く本当に俺は何をしてるんだろう……


 

 ーーそれから俺は水泳ゴーグルと浮き輪を買い終わると、同じく水着を買い終わったであろう……二人と合流した。


「ねぇ、二人とも! プールとても楽しみだね」


「うん!! 私プールとか行くの久しぶりだからとっても楽しみ!!」


 二人はプールに対する感想を言った。


 ーーそして、数日が経った頃……俺たちはプールに向かって行くのであった……

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