第33話 あれ? 山田くんと田中くんじゃないですか!

 今、現在俺と正孝の席の横では、ピンクの髪を馴染ませた……

 美少女とそのお友達がちょうど席に座って仲良くお話をしている。


 どうやら俺たちには気付いてないらしい……


「なぁ、お前横見ろよ……」


 俺は正親に横を見るように促す。

 正孝も横を見ると大変びっくりした顔をしていた。


「なんで……月野さんたちが……しかも横!?」


「それは……元々中川さんたちはここの「モオン」に遊びに来てて、その、そしてばったりあった的な……」


「そうなのか……」


「待たせたな! 正親と海人!! アタシはうどんを食べることに決めたぞ!」


 そう、俺と正孝が話していると、食べるものが決まったその金髪の正孝の幼馴染は、告げた。


 そう、彼女が言った途端……横にいるクラスメイトたちがこっちを一斉に見た。


 ……ふんぐ! バレた!!

 別にかくれんぼをしているわけではないのだけど


「あれ? 山田くんと田中くんじゃないですか!」


「やっほ〜山田くん! 田中くん!」


 そう、中川さんと月野さん以外の二人のクラスメイトが俺に言う。


「はい……こんにちは」


 俺はそうぎこちない挨拶を返した。


 すると……俺の耳元に中川さんがやって来て


「あれ? そこの人は誰?」


 彼女は不思議そうな顔してそう聞いて来た。

 


 なんで……どうしたんだ? 中川さん?

 俺は中川さんの今の態度にちょっと疑問を感じた。



 だからどうしてそうなる……


 俺は状況を説明しようと話そうと思ったら、何故か……


「せっかくならそこ三人わたしたちと同席しない? わたしも雫と鈴音の友達っていう山田くんと田中くんに一回話してみたかったからさ!」


 クラスメイトの女子が俺たちに呼びかけたことにより、俺たちは中川さんグループと一緒の席に座っていた。


 俺はみんなに状況を説明する。


「なんだ〜! 田中くんの幼馴染か〜〜!! 私月野雫って言うの!! 仲良くしようね!!」


「うん? ああ、よろしくな!」


 そう、月野さんと金髪の子は話す。


「ねぇ! あなた、名前はなんて?」


 そう中川さんが金髪の子に聞く。

 そういえば……俺も名前知らないな……


「あ、あたし! あたしの名前は橘結菜たちばなゆいなだ! よろしくなみんな!」


 そう元気よく言った。

 そうか……彼女は橘さんと言うのか……


 それからは雑談が進み……

 俺たちは何故か中川さんグループと一緒みんなでご飯を食べた。


 それからというものの、橘さんは月野さんに引っ張られてあっちのグループと一緒にどこかへ行ってしまった。


 今、現在、俺と正孝は二人でポツンと席に座っている。

 そんな中、正孝が聞いてくる。


「なぁ?」


「なんだ?」


「今日は疲れたな、まさか結菜と会うことになるとは……」


「うん……そうだね、橘さんはその……この辺とかに住んでないの?」


 俺は昔、正孝からどっかに転校してしまった幼馴染と聞いていたからそう聞いた。


「それがよ……転校してから音沙汰なしだったからな……まぁ、一応親同士は、連絡取ってるみたいだが……それがよ、いきなり今日現れてビビったっちゃうーか、いやマジでビビったよ!」


 そう、ため息混じりの言葉を漏らす。


「もしかしたら……こっちに引越して来たりしてね……」


「まあ……その可能性もあるか……」


 俺と正孝はそう談笑していた。


「あのさ、正孝……お前、最近、私立金森学園物語やってる?」


「ああ! それなら昨日ちょうどやったぜ! あ、そうだ! なんかあのゲームアプデかなんか来たか? なんか新ヒロインみたいなのが追加さててよ! 名前なんだったか?」


「お前もか? 中川さんがヒロインじゃなくなってたのは……」 


「あん? 中川さんって誰だ? さっきまでここにいた中川さんか?」


「違うよ……あのゲームの元々いたヒロインだよ」


「うーん? そんなキャラいたっけか?」


 おいおい……


「それで正孝……中川さんが出てくるパートにその吉沢って人が出てきていたんだよ……なにあれ? 新キャラ?」


「さあ? 俺もさっぱりわからん」


 ……やっぱりか……俺も昨日プレイしてわかったんだけど……

 中川さんが出てくるパートなどが、全部吉沢って人と差し替えられている。


「まぁ、真相は俺たちにはわからないからな! まあ、気楽に行こうぜ! 海人!!」


 俺と正孝はそう談笑を続けた。



 ーーそして、俺と正孝は「モオン」の中をうろうろして、それぞれ家に帰った。


 俺は家の鍵を使い、ドアを開けて家の中に入った。


「やっぱり……まだ帰ってきていないか……」


 どうやら、中川さんはまだ帰ってきていない……

だから、家の中には誰もいなかった……


「さてと、今日買ったこの「アニマルクエスト」でもやりますか!!」


 俺はゲーム機にアニマルクエストのソフトを差し込む。そして、ゲームをスタートした。  



 ーーしばらくして、彼女、中川さんが帰って来た。


「おっかえりー!! じゃなかった! ただいま〜!!」


 そう中川さんが元気よく挨拶をした。


「ねぇ! ねぇ! 今日また私にお友達が出来たよ!! えへへ、嬉しいな」


 そう彼女が報告して来た。


「それはよかったよ……ところで中川さん……その友達って橘さん?」


「うんうん!! 結菜さ! 今度うちの学校転校してくるって……」


「えっ? そうなの?」


 これは後で、いや、すぐさま正孝のやつに知らせてやらなきゃ……



 ーーそして、次の日


 俺と彼女は家の掃除をしていると、俺のスマホに一件のメッセージの通知が入った。


「な! なんだって!?!?」


 そこには……どうやら、

 今日お父さんとお母さんがうちによるらしい……


 やばい! やばい!! どうしよう!?

 この中川さんと暮らしている今の状況をどうやって親たちに伝える?

 いや、本当にどうする!?

 てか、まず、この事を伝えて理解してもらえるのか!?


 俺は思考をぐるぐるさせていると横でキョトンとしている中川さんに今の状況を伝えた。


 俺はその事を中川さんに伝えると、中川さんもやばいやばいどうしようと、一緒になって騒いでいた。


「そうだ! 私、一回このお家出るよ!」


「でも、中川さんどこに!?」


「どこか、その辺ぶらぶらしてるよ!」


 そう言って、彼女は家を出ようとした。

 するとまたメッセージがやって来た。


「中川さん……どうやらそれは、もう無理らしい……」


 そのメッセージには今、マンションの下にあるからオートロックを開けてくれ……

 そう書いてあった。


「くっ! どうする! 一体どうする!」


 俺はどうする事もできず、とりあえず中川さんに「寝室の部屋に、隠れて!!」

 そう言って、彼女を寝室の部屋に行かせた。


 そして、オートロックを開けて、親がエレベーターを使い、

 俺の家のインターホンを押す。


 俺はドタバタしつつ、おそるおそる、家の部屋のドアを開けるのだった。



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