第3話 第一の殺人

 人を殺して逃げているという人がいるという話を、最近聞いた。

 普通に、

「事件を起こして逃げている」

 という話だけでは、それほど、気になることはないだろう。

 それだけの情報では、まず、

「いちいち気にしない」

 ということになるだろう。

 なぜなら、

「人を殺す」

 であったり、

「強盗を犯して逃げている」

 という話であれば、

「逃げている」

 ということに引っかかって意識をすることはないからだ。

 ただの窃盗ということであれば、自分に直接関係のないことは、いちいち気にすることではないだろうが、これが、

「殺人」

 であったり、

「強盗」

 となると、

「一人を殺してるんだから、よくいうこととして、一人殺すも二人殺すも同じだといっているのと同じ」

 と思う。

 厳密にいえば、

「一人も二人も同じ」

 ということはない。

 当然捕まって、裁判にかけられると、動機であったり、殺人罪の多さであったりは、大いに関係があることだろう。強盗であっても同じことではあるが、一度その犯行を犯してしまえば、逃れることはできないのだから、そう思うと、必死になるのは当たり前ということで、

「最悪以外の発想をしてしまう」

 ということになり、結局、同じ犯罪を重ねるということになるだろう。

 一度、やったことで、度胸がつくということはある意味、同じなのではないだろうか?

 そんなことを考えると、

「犯罪というのは、重ねるごとに、感覚がマヒしてくる」

 ということになるだろう。

 かけ合わせて、求まった答えよりも、感じる思いが、

「深くなるか? 浅くなるか?」

 という違いになるのではないだろうか?

 それが、その時の心理状態でも違うだろうし、重ねて考えるということでも、変わってくるのではないだろうか?

 そんなことを考えてくると、自分が犯罪を犯しているわけではないが、

「犯罪者というものが、どういう心境に陥るのか?」

 ということもたまに考えてしまうというのも、実際には、

「ありではないか?」

 といえるのではないだろうか?

 それを思えば、

「犯罪というものが、どういうものなのか?」

 ということを、考えさせられるかのようで、不思議な感覚になるのであった。

 ただ、人それぞれということもあるようで、

「犯罪者というよりも、犯罪者について、考えたくなかったり、聞きたくないと思っている人も一定数いるだろうから、それらの人にかかわることをしないようにするのが一番いい」

 と思っている人には、敢えて話さないようにはした方がいいのかも知れない。

 人を殺すと、昔には、

「時効」

 というものがあった。

 と言われるが、それは、

「時効というものが一つだ」

 と考えているからだろう。

「昔でいうところの、人を殺せば、時効は15年」

 と言われていたものだった。

 実際には、15年の時効にもいろいろなパターンがあり、殺人罪で手配されたから、15年で時効を迎えるわけだが、一番代表的なこととして、

「海外にいる場合は、その間、時効の経過は停止する」

 というわけだ。

 日本で、

「見つからないように、潜んでいればいいが、海外に潜伏していれば、経過は停止する」

 つまりは、

「海外に15年いた場合は、まだ、時効までに、15年ある」

 ということと同じである。

 それは、

「日本の捜査権が、海外には及ばない」

 ということで、例えば、犯人の受け渡しにしても、

「条約を結んでいる国でなければ、逮捕引き渡しはできない」

 というものであったりと、結構いろいろな制約があるからであろう。

 さらに、時効というものは、

「殺人罪」

 だけに存在するわけではなく、それ以外の、ほとんどあらゆる犯罪にも適用されると言ってもいい、その中で、殺人罪のような、

「凶悪犯」

 と呼ばれるものは、時効というものを撤廃するということになったのだ。

 法律で、

「昔はあったが、今はない」

 というのも結構ある。

 憲法などのように、

「国民の総意の半分」

 などという必要はない私法と呼ばれるものは、

「三権分立の一点である、立法によってゆだねられる」

 その立法というのは、国会議員に当たるので、

「彼らが法律を作っている」

 ということで、大変な役目である。

 ただ、そういう意味で、

「国民が選挙で、国会議員を選んでいるのだから、そういう意味では、国民の総意といっても過言ではないだろう」

 ということだ。

 刑法の中で、

「昔はあったが、今はない」

 というものとして、気になっているのが、

「尊属殺人」

 と呼ばれるものであった。

 これは、一言でいえば、、家族や親せきなどの、自分に近しい相手を殺した場合などをいうわけで、その場合は、

「罪が増幅される」

 というものであった。

 親を殺せば、最低でも無期懲役などと言われていた時代があったくらいで、大日本帝国時代の、

「家族主義」

 といってもいいような時代であれば、ありえることだが、今の、日本国の民主主義においては、

「法の下の平等」

 ということで、家族だろうが、赤の他人だろうが、それで罪の量刑が変わるというのは、考えてみれば、

「おかしなことだ」

 といえるだろう。

 確かに、昔の、

「先祖代々続いてきた家」

 などという、いわゆる、

「家長制度」

 と言われるようなものがあった時代、そして、

「男尊女卑」

 と言われていた時代は、家長である、

「父親」

 つまりは、大黒柱が、中心だった。

 ただ、法律的には、親が子供を殺しても、子供が親を殺しても、何親等かということで、ひとくくりにされ、それを、

「尊厳」

 という言葉で大切なものという考えの下、そんな形で言われるようになっていたのだが、さすがに、時代に合わないということを言われるようになってきた。

 この、

「尊厳殺人というのは、父親が娘を蹂躙していて、娘が、このままでは殺されると感じたことから、親を殺した」

 ということに対しての、

「尊厳殺人」

 というものを認めるか?

 ということが問題になったのだった。

 もちろん、昔から、

「尊厳殺人」

 という制度はおかしい。

 と思っていた人も多いことだろう。

 それは、

「誰もが思っていたことかも知れない」

 とも、思えることで、

「大日本帝国の時代から、疑問を抱いていた人も多かったことだろう」

 それを思うと、この問題は、

「男尊女卑」

 という問題にもかかわってくる。

 今は、

「男女雇用均等法問題」

 ということで言われているのだろうが、

 20世紀の終わりころから、

「個人情報保護問題」

 あるいは、

「ストーカー問題」

 などと一緒に、一種の、

「コンプライアンス問題」

 と総称していえることのようになってきたのだ。

 そのどれも、昭和の頃には、あったかも知れないが、ほとんど言われなかっただろう。

 ストーカーというのは最近言われるようになっただけで、昔から、

「好きな女に付きまとう」

 あるいは、

「家を特定したくて、尾行する」

 などと言われることは、あっただろう。

 ただ、

「罪にならない」

 というだけで、本当は、被害者は泣き寝入りであったり、相手の気が弱ければ、睨みつければやめてくれた時代だった。

 今のように、粘着質になると、

「誰もがやっている」

 という錯覚に陥り、気が強くなるのか、ストーカーというものは、一向に減らないどことか、エスカレートしてきて、それを正当化しようとする意識が芽生えてしまったのかも知れない。

 ストーカー問題は、本当に今に始まったことではなく、下手をすれば、相当昔からあったことなのだろう。

 さらに、

「男女雇用均等法」

 という問題になると、そのせいなのか、

「いってはいけない」

 というような、一種の、

「放送禁止用語」

 というような類のものがあるではないか。

 本来なら、別に問題のないことであっても、慣習として、

「いってはいけない」

 ということになってしまっているようなことである。

 これが、身体的な差別用語であれば、

「倫理的にまずい」

 ということになるのだろうが、

 それ以外のことで、一ついえば、

「大東亜戦争」

 なども、まずいということになっているが、何がまずいというのだろうか?

 元々、あの言葉は、戦争が始まる時、それ以前の、シナ事変から合わせて、

「大東亜戦争」

 という言葉で、閣議決定されたのだ。

 しかも、その理由が、戦争の大義名分であり、スローガンであった、

「大東亜共栄圏」

 というものの建設を目指したものだったのだ。

 そもそも、

@大東亜共栄圏」

 というのは、

「当時の東アジアが、欧米列強から、植民地支配を受けていたので、そこから東アジアを解放し、そこで、アジア独特の、協和による新秩序の建設という意味での、大東亜共栄圏というものの建設」

 という意味で、

「八紘一宇」

 というスローガンにて、他民族も、兄弟であるかのような秩序を考えていたのが、

「大東亜共栄圏」

 というものだったのだ。

「大東亜戦争」

 という言葉は、その大東亜共栄圏建設のために、まずは、アングロサクソンをアジアから駆逐するということが第一の目的だったのだ。

 だから、大東亜戦争という言葉を使うと、

「植民地支配をしていた自分たちを駆逐する」

 という大義名分だったので、

「戦争の大義が日本にある」

 ということになっても、国際裁判などでは、裁く理由がなくなってしまう。

 だから、

「勝てば官軍」

 ということで、

「敗戦国である日本に、大義名分を残さない」

 ということで、占領下では、

「大東亜戦争」

 という言葉の使用は禁止されたのであろう。

 結局、

「戦争犯罪人」

 という形で、裁判が行われ、日本の統治が終わると、基本的には、

「大東亜戦争」

 という言葉を使ってはいけないということはなくなった。

 しかし、左翼団体なのか分からないが、

「日本は、戦争に負けた国で、戦争を引き起こしてはいけない」

 ということから、過去の事実をもみ消そうという意志からか、今でもなぜか禁句のようになってしまっている。

「実際に戦争があった事実と、そのスローガンまで忘れてしまっては、完全に本末転倒ではないか?」

 ということになるのではないか?

 尊属殺人のように、

「昔はあったが、今はない」

 という法律の中に、あたかも、

「男尊女卑」

 という発想が絡んでいたというものがあった。

 これは、戦後になって刑法から、削除されたものであった。

 この法律は、実は、昔は、

「ほとんどの国に存在した」

 といってもいい法律であった。

 という意味で、

「法律から削除されたのは、日本が結構早かった」

 といってもいいだろう。

 ただ、これは、

「日本という国が、民主化したことで、すぐになくなった」

 といってもいいが、逆にいうと、

「それまでがひどかった」

 といってもいいかも知れない。

 その法律というのが、いわゆる、

「姦通罪」

 と言われるものであった。

「姦通」

 つまりは、

「婚姻している人が、他の異性と関係を結んだ」

 ということで、一種の、

「浮気」

 であり、

「不倫」

 というものである。

 ただ、不倫というものすべてを法律で裁くのであれば、いいのだが、日本の姦通罪というものは、一種の、

「片手落ち」

 といってもいいだろう。

 あきらかに、

「男尊女卑だ」

 と言われても仕方のないことであり、ということは、

「男性が姦通した場合には、罪にはならないが、女性が姦通した場合には罪になる」

 ということだったのだ。

 これはさすがにあまりにもひどい法律である。

 大日本帝国において刑法が成立してからずっとあったものだろうから、それこそ、半世紀以上存在した法律といってもいいだろう。

 だから、

「民主国家になったから、削除された」

 というか、

「こんな法律が存在するだけで、民主主義というのがおこがましい:

 といえるほどではなかったか。

 実際に、他の国でも、時代が進むうちに、

「時代がそぐわない」

 ということで、

「削除対象になり、消えてしまった法律だ」

 といってもいいだろう。

 2000年近くまで、まだそんな法律が存在していた国もあるくらいなので、国によっては、

「民主主義といっておいい加減なものだ」

 と思うかも知れないが、女性だけに適用されるというような、男性にだけ都合のいい法律は日本だけだろう。

 そうなると、

「逆に、この法律は、正しい」

 といえるのではないだろうか?

 どうして、削除になったのか分からないが、日本と同じように、他の国も、

「民事不介入だ」

 ということであろうか。この事件は刑事というよりも、民事に近いような気がするので、どこまでが問題なのか、曖昧な気がしてくるのであった。

「人を殺して逃げている人がいる」

 という話を聞いた。

 女人がどんな人なのかということを、街の人は、ニュースを見て、

「怖いなぁ」

 と呟いてが、それだけである。

 気にはなっているのだろうが、実際に恐怖はそこまでない。その状況は感覚がマヒしているのか、それとも、

「オオカミ少年」

 のような感覚なのだろうか?

 殺されたのは、20代の女性で、どうやら、

「元カレ」

 という男に殺されたという。

 女の人は、自分の部屋のベッドの上で殺されていたようだが、

「顔見知りの犯行であることには間違いない」

 ということであった。

 警察は、さっそく、捜査本部を設け、殺人事件として捜査していた。

「胸を刺されて死んでいて、凶器は胸に突き刺さったまま、その凶器からは被害者の指紋しか検出されなかったのだが、それは、苦しみから、ナイフを抜こうとしたのか、掴んだまま絶命していた」

 ということのようだ。

「殺害されている様子を見ていると、被害者に対して、かなりの恨みを持っている人間ではないかと思えますね」

 と捜査員の一人である、桜井刑事が報告した。

「どうしてそう思うんだ?」

 と聞かれて、

「かなり胸を深くえぐられている上に、それでも、またこねくり回すかのように、しているんです。絶命だけが目的なら、そこまではしないと思うんです」

 というと、

「なるほど、しかし、犯罪に素人な人間だったら、そこまでしないと絶命しないと思うんじゃないか?」

 と本部長がいうと、

「そうかも知れませんが、鑑識の人の話では、えぐっている時、すでに絶命している可能性は高いとのことでした」

 という。

「なるほど、そういうことか。それなら分からなくもないかな?」

 と本部長も考えた。

 この事件は、先日に発生したことで、通報があったのが、深夜くらいのことだった。

「オートロックがかかるマンションの一室で、深夜、仕事から帰ってきた一人の女性がその部屋の前を通りかかった時、勢いよく水が流れる音がして、しかも、その部屋は不自然なことに、少しだけ扉が開いていた状態になっていた」

 という。

「管理人を急いで呼んできて、合鍵で開けようとするが、チェーンがかかっていて開かない。二人は、一度、管理人室に、工具を取りに行って戻ってきて、ワイヤーを切ろうと扉を開けると、今度は普通に開いたのだった」

 そして、中に突入すると、そこで、女性の他殺死体が見つかったということだったのである。

 急いで警察を呼んだ。鑑識や捜査員が、無言のまま、そそくさと初動捜査を行っている。

 鑑識の話では、

「被害者の死因は、胸を刺されたことでの、出血多量のショック死。死亡推定時刻は、死後、約3時間くらいということだったので、午後10時から11時の間くらいではないかということであった。もちろん、詳しい内容は、解剖しないと分からないということであった」

 捜査に入った桜井刑事は、第一発見者である女性に話を聞き、管理人を呼びに行き、部屋にチェーンがかけられていたこと、そして、少し工具を取りに行くのに、現場を離れたこと、そして戻ってくると、部屋のチェーンは外されていたこと。

 そのあたりの一連の話を時系列で話した。

 この話は、管理人の話とも一致しているので、信憑性があるのは分かっていたのだ。

 被害者は、部屋の住人に間違いなく、名前を、

「山岸かづき」

 という女性で、年齢とすれば、35歳だということだった。

 第一発見者の女性は、自分で、みずきと名乗った。

 スナックに努めていて、その源氏名だという、

 管理人の話では、

「かずきさんは、かなりの社交的な方で、いつも出掛ける時、声をかけて行ってくださります」

 ということで、管理人から好かれていた。

 しかし、

「死んだ人のことを悪くはいいたくないのですが、殺されたかづきさんという女性は、ほとんど挨拶もしません、お出かけの時目が合っても、すぐにそらそうとするので、こちらとしても、感じ悪さしか感じたことがありませんでしたね」

 ということであった。

 それを聞いた、桜井刑事は、

「いかにも、今のマンション生活や、近所づきあいを感じさせる」

 と思い、

「やれやれ」

 と感じていたのだ。

 桜井刑事は、その話を聞いていると、

「男女間の痴情のもつれか何かではないかな?」

 と感じた。

「部屋のベッドの上で殺されている」

 ということで、ほぼすぐに、そう感じたのだった。

 司法解剖に回された被害者の詳しいことが入ってきた。

 どうやら、彼女は睡眠薬を飲んでいた」

 という。

 ただ、この睡眠薬は誰かに飲まされたものではなく、被害者の所持品で、しかも、調剤薬局の袋に入って、そこには、内服薬と書かれていて、患者の名前が書かれているが、その名前は、被害者であることに間違いはなかった。

「じゃあ、何か病気か、不眠症のようなものがあって、睡眠薬を常習していたということだろうか?」

 ということで、実際に彼女の通っていた病院を、袋に書かれている調剤薬局から突き止めた。

 処方箋があるので、元々の病院は分かるというもの、病院を突き止めると、

「ええ、彼女は不眠症ということがあって、私が睡眠薬を処方しました」

 ということで、

「彼女の主治医」

 ということで、医者に聞くことができた。

 その時医者は一緒に、

「彼女の不眠症は、うつ病からきているようですね」

 というではないか?

「うつ病?」

 と桜井刑事が聞くと、

「ええ、うつ病といっても、そこまでひどいものではなく、投薬によって、ある程度は改善できると私は思っていました。そういう意味で、彼女が定期的に病院にも来てくれるので、治るのも早いと思っていたんですよ。うつ病も難しいところで、きついと、病院に来るのもつらい人というのはいっぱいいますからね」

 という。

「彼女の場合、その病気の原因は何か伺っていますか?」

 と桜井刑事が聞くと、

「最初の原因とすると、どうやら、会社がブラックだったようで、徐々に病んでいったようです。だから、本人も最初は、うつ病という意識はなかったようで、夜眠れなくなり、さらに、何をするにも億劫になったそうです。最初は、不眠症だから、身体が動かなくなったと思っていたようですが、私から見れば、病気が元凶で、そのために、不眠症にも体調不良にもなるというもので、説明すると、彼女は分かってくれたみたいですね」

 と医者がそこまで言って、少し言葉を切ったが。

「ただ、彼女は、どうも私にはいっていない秘密があったと思うんです。ここまで素直だったら、もう少し早く、効果が出てきていいはずなんですが、そうもうまくいっていないようで、それが気になっていました」

 と医者がいうと、

「それを先生は、何が原因かお判りになりますか?」

 と言われたので、

「いいえ、主時期見当がつきませんね。そもそも、隠し事をするような人ではないと思えたのに、隠そうとするのだから、すぐにバレるのは分かりやすい性格だからなんでしょうが、そんな人が隠そうとするのだから、結構不器用なんでしょうね。それで、逆に考えられる範囲が、一気に広がったので、こっちには分からないということになるんですよ」

 と医者は言った。

 桜井刑事は、医者の話を聞いて。被害者の

「分かりやすいタイプの人間なんだ」

 ということが分かってきたようだった。

 ただ、医者の話だけを聞いていると、却って分かりにくいとことがあるのは必至で、マンションの住人や、勤め先の人の話を聞く必要があると思うのだった。

 マンションは、オートロックであることは前述のとおりだが、今の都会の生活では、

「オートロックのマンションだろうが、オートロックのないマンションであろうが、近所に誰が住んでいるかなどという関心は、ほとんどない」

 ということだ。

 隣に誰が住んでいるかということ、空き部屋なのかどうかも知らない人が多いというではないか。


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