白い大蛇
コロンビアの森林には、人知れずの大蛇がいた。そいつは、その太い胴体でワニを絞め殺して丸呑みしていた。ある日、景久を中心とする古生物学者の団体がコロンビアの森林にやってきた。景久は、とうとうその大蛇を見つけてしまった。
「真っ白な大蛇!金運が爆上がりしそう!でも寝ているみたい。大きさからして、ティタノボアの生き残りかも」
景久は辺りを見回した。ちょうどいいタイミングで、ほかの古生物学者が来た。古生物学者たちは大騒ぎした。
「あれ見てくれ!約6000万年前の南アメリカにいたとされる、ティタノボアではないのか?」
「本当だ!大きさからしてそうだな」
「でもあんな奴を怒らせたら、俺たち絶対丸呑みされるだろ!近づかない方が良いって!」
「私なら近づける。あなたたちは後ろに下がっていればいい」
「古川さん!マジで言ってるんすか!?」
「私は、メガロドンにダンクルオステウス、モササウルス、そしてスピノサウルスまで手懐けた。この大蛇も同じことになる」
「分かりました。私たちは下がってます」
古生物学者たちは逃げるようにして走っていった。景久は大蛇に近づいていった。大蛇は、ついに目を覚ましてしまった。その瞬間に、景久は魔法をかけた。大蛇は川から出ると、景久にすり寄った。
「わしを起こしてくれたんだな。お前は古生物学者か?」
「そう。他にも古生物学者がたくさんいたけど、怖がって逃げちゃった」
「みんな、勘違いしすぎなのじゃ。わしのような大蛇が、人間を襲ったところで腹の足しにもならない。だから、ほかの人間たちの所へ連れてってくれ」
「みんな、分かってくれるかしら?」
「わしが、人間達にわかってもらえるよう努めるゆえ」
景久はうなずくと、歩き出した。大蛇も、地面を這って追いかける。しかし、大蛇はかなりノロマである。
「先に行って、わしが来ることを人間たちに伝えよ」
景久は了解した、と言うかのように走りだした。
「大蛇を手懐けることに成功した。もうすぐ大蛇はここに来る」
古生物学者はまたもや騒ぎ出した。今度は喜びの騒ぎである。
「あのティタノボアが生きていたんだ!古川さんが発見するのは、これで5回目。古生物との出会いに恵まれた人なんだな」
「もしその子に日本に行きたいという意思があるなら、行かせるしかない」
ほどなくして、大蛇が現れた。森林はもっとどよめいた。
「俺達の国に来てくれないか?ここよりずっと治安も良いし、白い大蛇は絶対もてはやされる。金運が上がる蛇としてね」
「では、その国に参ろう。ここからどのくらい離れている?」
「船で行くから、かなり時間はかかるし、地球の反対側くらい」
「その国に行くからには、何か貢献しなくては。何かできることはあるか?」
「考えておこう」
一方静岡では、またもやニュースがデカデカと報道されていた。
「白い大蛇発見 古川景久氏」
「その大蛇とやらは、ここに来るのだろうな?」
「金運が上がりそうだ、とここら辺の人々が言っている。1ヶ月もすればくるはずだ」
「その子は、いわゆるアルビノ種という子かしら?」
「であろう。金運関連の神社から、来てくれとでも言われそうだ」
1ヶ月後。白い大蛇が本当に静岡にやってきた。
「わしは、蛇塚隆弘と名乗る。人間たちには覚えてほしいもんだ」
隆弘が静岡にやってきて以来、静岡市、いや、静岡県の財政は黒字になっていったとさ。そして、日本一金持ちな都道府県になったそうな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます