第2話 非日常

見慣れない天井で目が覚めた。上は家の天井よりもはるかに高く周りを見渡すと神殿の中のような場所だった。その中央には白く発光する球体が浮かんでいる。


僕は訳がわからなくなり、そこで一番目立っているその球体に触った、すると。


—ダンジョンマスターを個体名:御上 世界に設定されました。

それに伴い個体名:御上 世界の体をふさわしい身体に変更します。


「は?」


そんな声が頭に、外に響くと、目の前の球体が強く光だし、私の体は急激に変化した。背が縮み、胸が膨らみ、明らかにそれは男の体とは真逆の女の体に変化した。


「どうなっているんだ?」


あぁ、ついには声帯まで変わってしまったようだ。どうやら私はこの世界ではあり得ないような超自然的な現象を目の当たりにしているのかもしれない。


私は目の前の事象が嘘ではないかと、夢ではないかと目をこすってみる。でもそれは非常にもその感慨を打ち消してくる。夢にしては見ているものがリアルすぎるのだ。


「ダンジョンマスター?」


私は声が一番最初に言った言葉を発現してみる。ダンジョンとは英語で監獄というような意味をするのだが、一般的に有名なのはゲームなどで出てくるモンスターを倒したり、宝箱を発見したり、罠を避けたり解除したりとそうゆうイメージがあると思う。そしてダンジョンマスターとはゲームなどの用語でダンジョン大量に攻略したものやダンジョンを滑るものみたいな感じらしい。



少し時間が経つと


—ダンジョンマスター:御上 世界とダンジョンの同期が完了しました。これによりダンジョンの製作オプションとコアへの質問権を獲得しました。


一気に情報が入ってきた、まず私とこのダンジョンと呼ばれる空間が同期、つまり一体化したという事。コアと呼ばれるものへの質問権を得た事。そしてダンジョンと呼ばれるこの空間を自由に製作できるということ。まずはこの訳のわからない状況について知らなければならない、理解しなければならない。


「質問、ダンジョンってなに?」


—A:2020年1月1日に大量発生する塔、迷宮、洞窟、神殿姿は違えど性質は同じであり、ダンジョンの共通の目的は人の生命力を吸うことにあります。


「質問、ダンジョンマスターってらなに?」


—A:ダンジョンマスターとは、ダンジョンを運営することのできるダンジョンをすべるものです。ダンジョンマスターはダンジョンと同期しており、ダンジョンの核となるダンジョンコアが破壊されると同期しているダンジョンマスターも死にます。


「死ぬ?」


—はい、死にます


「はぁ」


どうやら私はこのダンジョンを防衛しなければ死んでしまうらしい、つまり来年の1月1日までに何とかしなければならない。怠けてあと5ヶ月あるから大丈夫とか言ってられないのだ。幸いあと数日で夏休みに突入する、その時に本格的にやろう。

 

「質問、この身体を元に戻す方法は?」


—A:現状そのからだを元の体に戻す方法は確認できません。代案として提示、その身体を客観的に元の体のように誤認させる認識阻害を実行できます。実行しますか?YES/NO。

※注意、その認識阻害は他のダンジョン内では認識阻害が解除される可能性があります。

また、それはあくまで認識阻害というだけで身体としての性質や性能は変更されません。


「YES」


—はい、実行します。


すると一瞬だけ、目の前がぐにゃりと歪曲した。


—完了しました。また、これらの認識阻害は自由に解除できます。解除したい時はコマンド“認識解除”を実行してください。また、認識阻害を発動させたい時はコマンド“認識阻害”を実行してください。



♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎


あれから色々質問した。まずはダンジョンの作り方だ、コア曰くダンジョンには種類があって、塔型、地下型、フィールド型とあるらしい。塔型は塔を登っていく形のダンジョンで、地下型は地下は降っていく形のダンジョン、フィールド型はフィールドが展開されており、そこの何処かにダンジョンコアがあると言うものだ。


一見フィールド型が不利なように見えるがそれは違う、コア曰く塔型と地下型は最終階層にコアルームを作らなけれらばいけないのだけど、フィールド型はどこでもコアルームを作れると言う利点がある。ただコアルームまで行けないダンジョンは作っていけないと言うルールがあるらしい。


私はその点も加味してフィールド型ダンジョンを作ろうと思う。


「コア、作るダンジョンの型決まった。フィールド型」


—はい、承知しました。本当にそれでよろしいですか?


「はい」


—承知しました。ではダンジョンを更新します。


目の前が歪む、周りが歪む、空間が歪曲し、変形し、天井が消えていき、空のような物が出てきた。そこからは顕著に現れる、目の前が空間が広がっていき、そこがなにもない芝生だけな空間になった、あたり一面なにもない、ただ2色で埋まった。緑と青だ、目の前には地平線が広がっており、どこまで続くかも測れない、私はこれを加工していくのだ。


「すご、こんな地平線見たことない、地平線って確か16kmまだ見えるんだっけ、そのくらいの土地を加工していくのか」


「コア、このダンジョンどのくらいの広さあるの?」


—縦18km、横22kmの合計392㎢です。


普通に1都市より大きい、都市開発をするみたいな感じかな、ワールドエディットもするし、ダンジョン内だから普通の都市ではないかもしれないけど。


よし、取り敢えず最初にやる設定は終わったから早めに家に帰らなければ、じゃないと外ではだいぶ時間が経っているかもしれない。


「コア、帰還する」


—承知しました。では、世界様のご自宅へ転移します。


空間にヒビが入る、ばり、ばり、と割れていく私はそのヒビの隙間に吸い込まれるように入ったするとそこには見慣れた景色があった。部屋のベッド、そしてベッドの近くにある電子時計は3:27と表示している。スマホでカレンダーを表示すると昨日から1日経過しており、どうやらコアなところにワープしたのは寝た直後らしい。


私は一安心するとスマホのアラームを6:40に設定して、一睡するのであった。

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