オープンワールド•ダンジョン

水瀬 若葉

第1話 日常

鳥の声、人の騒音、全てに憂鬱を感じていた。横を覗くと学校の窓際の特権である外をいつでも眺められる。そこには住宅街と一般的な学校の光景が広がっていた。


「はぁ」


こうやって何もしなく、学校でだるそうに一人で入れるのもボッチの特権だ。側から見ると僕は陰キャというものに分類されるのであろう、ここは私立である程度の民度があるのでいじめのようなことは起きないが誰からも接されないし接しようともしない。この陰キャである欠点というのは誰からも頼られないのは勿論のこと、誰かに頼ることができないのだ。


形だけでも友達がいれば、利害関係的なので宿題や課題の確認などの面倒なこともできたのかもしれないが、それがないので全て一人でするしかない。つまり責任分散ができないのだ。先生の話を聞き忘れても友達は居ないのだから聞く相手がいないし、先生に聞く勇気もない、そんなところだ。それゆえ僕は先生の発言の一つ一つはちゃんと聞くし、大事だと思ったことはメモするか頭に残しておく、そうすることが“陰キャ”である僕の箱庭学校でのやることである。


「よし、じゃあ少し早いが号令をやってくれー」


「起立、例」



あれから二、三十分たったころだろうか、HRホームルームが終わり、僕は帰路に立っていた。


人が集まるところが苦手なせいか音を隠すために持参したヘッドホンをつけて音楽をつける。つける音楽は最近ハマっているボカロの楽曲だ。ボカロというのは機会音声が歌う歌の事で昔からさまざまなユーザーに愛されている音楽の一種だ。僕は他の、外の音を雑音として消すかのように、外に漏れないほどの音量で最大までした。こうすると安心してられた。


ヘッドホンを長時間していると耳が痛くなる。耳がずっと押さえつけられている状態なので耳が疲れるのだ、無論スマホもずっと見てるので目も疲れるが。徒歩20分ほど歩くと僕は家に着く、家と言ってもマンションなので一軒家というわけでは無いのだが、私立に行けるということもあり無論親は裕福なのだが、その中でも僕の親はどこからそんなお金がくるの?っていうレベルでお金を持っているので、高校からでもこういうそこそこセキュリティ性の高いマンションを感じてくれる。そのおかげで僕は高校からというもの一人の時間を満喫できる。


その代わりと言っては何だがある程度の成績を義務付けられている。学校の成績が悪くなったら、それはもうこの家から離れなければいけない。そうならないためにも最低限数学、国語、英語を成績上位にしなければならない、ほかの科目は普通でもいいから。


「ただいまぁ」


そういっても誰も『おかえり』とは言わない、なぜなら誰もいないから、この日常が嬉しいような寂しいようなそんな複雑な気分にする。お小遣いで猫や犬といった動物を飼うのも検討しようと思ったが、ここが動物禁止のマンションだったことを思い出して諦める。


買ったは買ったとしてこれからどうしようというのか、成績は維持しているとは言え来年から大学受験に入る。そんな中猫や犬などを飼っていても、世話は大変だし、犬は散歩も必要になる。当然受験中にそんな時間は取りたくない、それに動物は最初に躾をしないと大変だと聞く、トイレじゃない場所で糞尿をしたりとか、食い散らかしたりとか、そういうことが考えられる、果たして僕にちゃんとした躾はできるのだろうか?答えはNOだ、そんな時間も暇もない、それに一人暮らしだと学校の修学旅行に行った時などに世話ができない、流石に猫を修学旅行に持っていくというのは論外だし目立つ、親戚や親族に面倒を見てもらうとしても迷惑がかかる。これらの理由で僕は諦める。それにここは動物禁制だ、それ以前の問題でもある。


部屋に着くと制服を整えてハンガーにかける。私服に着替えると、米を炊飯器に1号いれ水もそれに合わせて入れる。そして、やわらかめで炊く、炊き終えるまで40分ほど時間がかかるそれまでに風呂に入って、他の副菜や主菜などを作るとする。


「ふぅ、落ち着く、、」


湯船に浸かっていると落ち着くものがある、体全体が暖められてリラックスしているのだ。僕は先に体を洗ってから風呂に入る派なのでもう洗っている、い●髪というシャンプーがお気に入りだ、なんか髪が修復されるらしい、だから僕の髪は傷んだらしていないのかもしれない。


風呂を上がるとドライヤーを頭にかける、僕の髪は短いので4、5分で乾く。


今はご飯が炊けるのに間に合うように料理を作っている。今は親子丼を作っている、鳥もも肉、卵、玉ねぎなどを用意し、ほんだし、さとう、みりん、料理酒、醤油を準備して作り始める。先に調味料と切った玉ねぎを入れ中火で2分ほど煮る、やり終わったら、一口代の肉を入れ3分ほどしたら、溶いた卵をいれてかき混ぜる。そしたら蓋をし30秒待てばご飯に乗っかる部分ができる。


—ピーピーピー


「っお、ご飯炊けた。」


僕は丼用のお椀にご飯を入れ慣らし、先ほど作ったやつを乗っけた。


「いただきます」


「おいし、」


暑くてほくほくのご飯に固まった溶き卵と一体化した鳥もも肉が本当に美味い。



ご飯を食べ終わると、歯磨きをした。歯を磨き終わったら、ベットに入り寝る


「おやすみなさい」


僕の意識は暗転した。

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