第2話


 私の仕事が終えて、私たちは学園近くのカラオケ店へと向かっていた。


「ねぇ?和斗くんと早乙女さんは幼なじみっていうのは聞いているのだけど、どう言った関係かまだ聞いたことないのだけど、教えて貰えないかしら?」

「あ、それ私も思ってたんだ。他の子よりも和斗くんの接し方が違うなって思ってたの。」

「うーんどう言ったらいいのかな?僕からしたらなんで僕なんかが牧菜と幼なじみに慣れたのか未だに不思議なんだよね。」

「あら?私では幼なじみは不服というの?悲しいわ。5歳の時に凄く沢山遊んだのに、酷いわ。」

「ええ!?そんな親密な関係だったの!?」

「ちょっ!牧菜そんな言い方したらみんなが勘違いするだろ?」

「そうね。子供の頃は私に付きっきりで勉強して運動やらでこき使われたものね。まぁでもそのお陰で今の貴方がいるのだから、私としてはよくやったわね。なんて思うわ」


 そういう私は、ふふと微笑みながら皆に顔を向けると言葉も忘れて呆けるのが分かって面白くて笑ってしまう。


 それに対して双子の妹の美咲ちゃんが呟く。


「ほんとに仲がいいんですね。羨ましいです。」

「私も早乙女さんの事はお母さんの事で聞いているので分かってましたが、なるほど和斗さんはその会社のお抱えさんなのですね。」

「流石ね。江田明菜えだあきなさん。それと上の名前じゃなくていいから気軽に呼んでくれる?それに系列も同じなのだからこれからは親しくしてくれると嬉しいわ。」

「そうね。付き合いも長くなりそうですし、なら、私も明菜でいいですよ。」

「そう、ありがと明菜」

「――なんか二人だけずるいんだけど!!私達も混ぜてよ。」


 そういって飛び込むように私たちの間に入ってくるのは、このムードメーカーで動くのが大好きな2番目のヒロインこと橘千晶たちばなちあきだ。


 そしてそんな先程羨ましいと行った子はこの中で一番小さいであろうヒロイン、福森美咲ふくもりみさきちゃんそしてそれとは対照的で見た目はそっくりだが一部が妹よりも大きい女の子が福森美奈ふくもりみなという。


 そんな愉快なハーレム主人公を囲う面々の中に最も長く関係を築き上げている私は、こう思う。


(よくここまで育てたよ私はほんとに物語で出てきそうな主人公っぷりに涙が止まらないよ。あ、あくまで心の中でだけどね。)


 そう誰に向かってかは分かる無いが一応ツッコミを入れつつ、私たちは街中で注目を浴びながら目的地へと進んでいく。


 そんな私は、今の周りの視線をみながら共に歩くヒロインと主人公くんに呟く。


「そういえば、みんなは視線には強いみたいですね?和斗といてもきにしていないようですが?」


 私がそう言うとみんなが、今更だよねなんていって答えてくれる。


「まぁ多少は気にはなりますが、今更ですね。容姿とかお別格なんて当たり前の所にいましたし、どれだけ取り繕っても私は和斗さんと共にいたいと思えますから。」

「私たちは、その和斗くんがあの時私たちの事をちゃんと見てくれたから、こうなんて言うの?こんな男の子もいるんだなって思って目が離せないというか…そのなんといいますか。」

「う、うん私も和斗くんといれるならって思っている、よ?」

「私はね。単純に和斗くんの顔が好みだったから、誰にも渡したくないと思っていたから、警戒はしてるけど気には止めてないよ。」

「ふーん、出そうよ?和斗?」

「え?あ、いや…なんて言うか。その…ありがとう////」


 なんかちょっとしたイタズラみたいになったけど、結果として寄り深く彼女たちのことをしれたんじゃないかな?なんてイベント消化したみたいな感覚で考えていたら、千晶が私に降るように告げてきた。


「なんかみんなの思いを暴露されたけど、それはいいとして牧菜は和斗くんのことどう思っているの?私たちはそこが知りたいなぁ〜何せ8年?ぐらい付き合いのある中なんでしょ?馴れ初めとかないの?」


 そう、仕返しなのかそう行ってくる。千晶に対して私は


「そうね。掛け替えのないパートナーとは思っているわよ。まぁ恋愛感情があるかと言えば、うーん今はまだないわね。まだまだ頼りないもの。養ってあげたいと思わせられたなら考えなくもないけどね。」


 私はそう言って微笑みながらみんなに応える。それを聞いた和斗は


「そ、そうだよね。流石完壁超人なだけあるよ。求める値がどうすればいいのか分からないレベルだけどね。」

「そうね。少なくとも私と4教科同じ点数を取ったら男として見てあげなくはないわね。」


 そう言うと、みんなが「流石にそれは無理なのでは?」なんて考えてるような顔で苦笑しているかけど、私が育てたんだからそれぐらい行かないと私は悠々自適な生活を送らせてあげないぞ。なんて思う


 だけど、なぜそんな考えに至っているのかは今の私は知らずにいた。


 体が変わって男の時の感覚が薄れているのかそれとも和斗を、ここまで育てた責任と私に芽生えた母性なのか分からないが、そう思っていったことには少なからず、この時の私はそうとは考えていなかっただろうと思えた。

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