第13話 ヒスイの門番再び

三人は町長の教えで門番たちのところまで戻ってきた。


「お、あんたたちもう買い物は済んだのか?」


痩せた鬼が尋ねてきた。



「ここに来たのは買い物というかスカル隊長に会うために来たんですよ」


そう言ってシルスラが事情を説明した。




「なるほどねえ。で、結果はどうだった?」


痩せ型の鬼は腰をかがめて聞いてきた。



「だめです。話も聞いてもらえてないですよ。だから次はルビタウンに行くらしいんでそこで話をしに行くところなんです」


シルスラは残念そうに言う。



「ねえねえ、町長さんが言ってたんだけど門番さんたちはルビタウンの場所知ってるんでしょ?」


キッドは聞く。



「知っているがただで教えるわけにはいかないぜ。なあ?」


痩せた鬼は太った鬼の方を向き話しかける。

太った鬼も頷く。


おそらく見返りとして大金を求めているのだろう。



「だと思った。じゃあ、はいこれ」


そう言ってキッドは紙袋を太った鬼に手渡した。



「おおー。これは。こんなにいいんすか?」


太った鬼は雄叫びのような声を出し紙袋の中に手を入れた。

中身はドーナツだった。



「さ、教えてもらおうか?」


門番のところへ行く前ガルーダはこうなるだろうと予測してドーナツを買っていた。大金を払うよりは断然出費は安いと思ったからだ。



「馬鹿馬鹿しい。そんなもんで俺たちを釣ろうとしてるのか?」


痩せた鬼は呆れた。



「ルビタウンは、ここから、北東に、行ったところにある、山の中腹にあるっす。あ、でも、行く前に、なんかお土産、持って、いった方がいいっすよ。スカル隊長、酒が大好きで、特に、バッカスって町にある酒は、すごい好き、らしいっす。ちなみに、バッカスは、ここから西にある町っす。でも、人間の、町だから、盗んで、くるしかないっすね」


太った鬼はムシャムシャしながら言った。



「バカ野郎かお前は。何、懇切丁寧に説明してやがる。脳みそまで脂肪でできてんのか?」


痩せた鬼はポカポカと太った鬼を叩き続ける。



「でもそのお酒取りに行ってる間にスカル隊長いなくなっちゃうんじゃ?」


キッドは心配した。



「それなら、大丈夫っす。スカル隊長、あそこの、温泉が、大好きだから、しばらくは、いると、思うっすよ」


ドーナツをほうばりながら太った鬼は話す。



「まだ分かんないみたいだな。お前、次の給料なしな。あとこれも没収だ」


痩せた鬼はドーナツの入った紙袋を太った鬼からひったくる。



「そ、そんなあ。勘弁っすよー」


太った鬼はようやく謝る。



「お前、今から腕立て、スクワット一万回な。そしたら許してやる」


痩せた鬼は怒っている。



「ひ、ひえー。鬼だー。酷いっす」


「お前も鬼だろうが」


鬼たちのやり取りがまた続きそうだと悟った三人は情報も仕入れたところでそそくさと町を後にする。



「さ、早いところバッカスに行って酒を手に入れちまおうぜ」


今まで渋々シルスラの意見に従っていたガルーダが進んで言った。



三人はバッカスの町を目指し飛び立った。

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