第11話 門番
老婆の小屋を出発した三人は上空を飛んでいた。
すると一際目立つ大木が見えてきた。
「お、あれがばあさんが言ってたヒスイの町だな」
ガルーダがそう言い高度を下げ始めた。
ヒスイの町は大木をくり抜いてできた町だ。
周りが森に囲まれており農作物も豊富に採れることもあって住民は比較的豊かな生活を送っていた。
「ガルーダさん。怪我の具合は本当に大丈夫ですか?」
シルスラは心配した。
「ああ、大丈夫さ。あのばあさん大した腕みたいだぜ。全然痛くない」
ガルーダの翼派すっかり元通りになっているようだ。
そして町の入り口に降り立った。
「さ、着いたぜ。早くスカル隊長を探そう」
三人は足早に町の中へ向かっていく。
すると、
「待て。何者だ。あまり見ない顔だなあ?」
鎧を着た痩せた鬼のようなモンスターに制止される。
どうやらこの町の門番のようだ。
「え、あ、僕たちはこの町に用があって」
シルスラはおどおどした様子だった。
「何の用があるんだ。怪しいな」
痩せた鬼は疑いの目をシルスラたちに向ける。
「まあまあ、今バザー開かれてるからそれで来たんじゃないっすか。それにどう見てもこいつらモンスターだし襲ってきたりなんてしないっすよ。弱そうだし」
もう一人の鬼が飄々と言った。こちらは痩せた鬼とは対照的にかなり太っていた。
「ん、たしかにそうだな。よし、お前ら通って良いぞ。しっかり楽しんでいけよ」
太った鬼の言葉で痩せた鬼は先ほどまでの疑り深い様子とは打って変わりあっさりと言った。
「帰るときドーナツ俺に持ってきてくれてもいいんすよ?」
太った鬼は三人に向かって言った。
「バカ。これ以上太ってどうすんだ。今度こそクビになるぞ」
痩せた鬼は太った鬼をポカリと殴る。
「痛えっすよ。勘弁してください」
鬼たちのやり取りは続く。
「おい、行こうぜ。あれ以上あいつらのコントなんて見たくない」
ガルーダは呆れた様子でスタスタと町の中へ入っていく。
二人も鬼とガルーダを交互に見ながら着いていった。
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