第9話 モンスターばあさん
「誰なんじゃおぬしらは?」
三人は同時に声がした方を見た。
そこには腰まで傷んだ白髪を伸ばした背丈の低い老婆が立っていた。伸びきった髪のせいで表情まではわからなかった。
「ひっ、お、お化けーー!」
先ほどまではしゃいでいたキッドは悲鳴をあげた。
「あー、騒々しいのう。モンスターがなに言っとるんじゃ」
老婆はうんざりした様子だった。
「なあ婆さん、あんたモンスターか?」
ガルーダが老婆に聞く。
「どこにこんなプリチーなモンスターいるかい。ワシはちゃんとした人間じゃわい」
老婆は今度は怒った様子になる。
「まあプリティーかどうかは置いておくとして。なんで人間なのに俺たちを見て驚かないんだ?」
平然としている老婆を見てガルーダは不思議に思った。
「フン。おぬしらの目を見ればわかるよ。人間を襲うことなんてできない腰抜けだってね」
老婆は挑発的だ。
「おいおい。あんまり舐めない方がいいぜ。俺たちだって怒りの感情はあるんだ」
ガルーダは言った。
「わかっとるわ。誰だって好きで襲ってるわけじゃないんじゃろ。魔王の命令なんじゃろ?」
老婆はガルーダに言う。
「へえ、人間のくせによう知ってるみたいじゃないか」
ガルーダは驚いた。
「この前、怪我をしたモンスターを治療したんじゃがそいつが言っておったよ。本当は人間と共存したいとな」
老婆はそう言いながらガルーダの翼を見つめた。
「まあ今はこんな世の中じゃ。なかなか難しい願いじゃろうがな。どれおぬし怪我をしているね。ワシに見せてごらん」
老婆はガルーダに近づく。
そして何やら念じ始めた。
「おいババア、何しやがった?」
ガルーダは慌てた。
「そう暴れるでない。ほれ、見ておれ」
するとガルーダの翼が微かに光り始めた。
「ん、痛みがどんどんなくなっていくぞ。どういうことだ?」
ガルーダはそう言いながら傷を負った翼をバサバサと動かしてみた。
「これで一晩経てばまた飛べるようになるさね。今日はここで泊まっておゆき」
老婆の言葉に甘え三人は一泊していくことにした。
その夜は老婆がとったキノコや山菜のグラタンがもてなされた。味は絶句するほどの美味だった。
腹一杯に平らげたあと皆それぞれ寝床に入った。
床に布を引いただけだったが全員疲れもありあっという間に寝てしまっていた。
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