第3話 道具屋でお買い物

モンス村まではそれほど遠くなくあっという間に着いた。


「よし、それじゃあ薬と食糧を買うぞ」


ガルーダは言い店に向かった。


小さな村なので建物も数件チラホラあるくらいだった。



道具屋の前まで着いた。枝と土だけでできた吹けば飛んでしまうような粗末な建物だったが品揃えは良い店だ。



「よお。お邪魔するぜ」


ガルーダは挨拶しながら店内に入る。

それに続きシルスラもついていった。


店内は外から見たよりも広いようで様々な薬やアクセサリーなどが並んでいた。



「あらー。ガルーダちゃんじゃないの。いらっしゃーい」


店の奥から全身包帯巻きのミイラが現れた。



「しばらく顔を見せないからどうしたのかと思っちゃったわよ」


野太い声でミイラが言う。口調は女だがれっきとした男である。



「ああ、これから魔王城に行くんだが長旅になるからよ。その間、人間に襲われたときのために一応薬を買っておこうかと思ってな」


ガルーダは言う。



「そうなのー。また給料上げてくれとか言うのかしら?」


ミイラが尋ねる。


モンスターの世界も人間と同じように月々に給料が支払われる。その額は人間を襲って奪った金を魔王に上納することでその何割かを貰える仕組みになっている。


モンスターによってはそのまま魔王に上納せずに全て自分のものにしようとする者もまれにいるがすぐにバレてしまう。バレてしまった者は永久に無の空間に送り込まれてしまう。


したがってシルスラのような弱いモンスターはギリギリ生きられるかどうかの金額しか給料は支払われないのだ。



「給料はもう十分さ。今回はこいつを魔王城に連れて行こうと思っててな」


ガルーダはそう言いながらシルスラを抱き上げた。



「あらま。かわいいシルバースライムちゃんだこと」


ここで初めてミイラ男と目があった。包帯の奥に見える瞳はやはりモンスターだからか鋭いものだった。



「はじめまして。僕シルスラって言います」


シルスラは自己紹介をした。



「シルスラちゃんね。よろしくー。で、こんなかわいい子がなんで魔王城なんかに?」


ミイラ男はガルーダに尋ねる。



ガルーダはシルスラの今までの苦労やこれから魔王に翼をつけてもらえるように頼みに行くことを説明した。



「そうよね。あなた人間に必要以上に狙われるものね。よーし、アタシも何か協力してあげるわ。そうねえ、これ持っていって」


ミイラ男はそう言うと同じ剣を5本程出してきた。



「なんだこれは?」


ガルーダは首を傾げながら言った。



「人間たちはシルスラちゃんみたいな楽して強くなれるモンスターも好きなんだけど同じくらいレアな武器が大好きなの。で、これは一度に二連続で斬りつけるとこができる武器。人間にやられそうになっちゃったらこれを落として逃げるの。そうしたらきっと逃げるシルスラちゃんたちよりもその剣に目が行くわ」


ミイラ男は答えた。



「でもよ。そんな強い武器を渡しちまったら次からそいつらに殺される危険が高くなるんじゃねえか?」


ガルーダは尋ねる。



「だーいじょうぶ。これは精巧に作られた偽物だから。あなたたちが逃げるまでの間は人間にもバレないわ」


ミイラ男は笑いながら言った。



ガルーダはそれならと剣の偽物をひとまとめにして荷物にしまった。

そして元々の目的だった傷薬も買い店を出た。



「じゃあ、頑張ってね。応援してるわよ。シルスラちゃん、辛くても泣いちゃダメよ。もし翼をもらえなくてもアタシのところに来たらいいわ。バイトしてくれるなら守ってあげるから」


ミイラ男の優しさに感謝しながらシルスラは黙ってお辞儀をした。


そして二人は食糧を調達するため八百屋に向かった。

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