第2話 勝ち点一つで優勝 ?
私たちチームの最終戦が終わり、私は体育館の外に出ると、「やれやれ」という感じで夕暮れ間近の明るい西の空を見ながら、一人のんびりベンチで煙草を吸っていました。
「2部落ちはなんとかまぬがれたし、おまけに決勝リーグまで進む、なんておまけもついたのだから、私の2ヶ月間の逃亡というチョンボも帳消しになるかな。」なんて、自分一人で大会終了の安堵感を味わっていました。
→ 拙著「思い出は一瞬のうちに」
しばらくして体育館へ戻ってみると、館内の空気は大会最後の試合の熱気で奮えています。
両校のほぼ真ん中、試合コートから15メートルほど離れたところまで近づくと、案の定、立教と中央の試合です。
「ハハーン、これが最終決戦か。今年の優勝は立教か中央どっちかな。」なんて思いながら眺めていると、私から数メートル前で観戦中のキャプテン中村が、後ろに立つ私に気づき、ニコニコしながら走り寄ってきます。「先輩 ! この中堅戦で立教が勝つと、私たちが優勝なんですよ。」なんて、とんでもないことを言う。
「ええ ! なんだ、そりゃ ?」
「勝ち点一つの差で ! 喜喜喜・・・。」と、まるでスキップでもするかのような足取りで仲間たちのところへ戻っていきました。
勝敗表を見ると、確かに先鋒・次鋒・三方まで立教に○がついている。
しかし、予選リーグからの累計なのか決勝リーグだけなのかわかりませんが、勝ち星一つでウチが優勝なんて、そんな「うまい話」があるものなのか、と私はまだ半信半疑でした。
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