かもめ食堂/群ようこ

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ヘルシンキの街角にある「かもめ食堂」。日本人女性のサチエが店主をつとめるその食堂の看板メニューは、彼女が心をこめて握る「おにぎり」。けれどもお客といえば、日本おたくの青年トンミひとり。ある日そこへ、訳あり気な日本人女性、ミドリとマサコがやってきて、店を手伝うことになり……。普通だけどおかしな人々が織り成す、幸福な物語。

(裏表紙より)

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“どこにいても、その人次第なんですよ。その人がどうするかが問題なんです。しゃんとした人は、どんなところでもしゃんとしていて、だめな人はどこに行ってもだめなんですよ。”──p162


『かもめ食堂』の主人公、サチエの言葉です。

「ここではないどこかに私がもっと輝ける場所がある!」と、思っていた時期がある自分にとても刺さります……。

 ここではないどこかではなく、まずここで輝ける努力をしなさい、と過去の私に言いたい。笑


 サチエはこのセリフ通り、しゃんとしています。

 フィンランドのヘルシンキで一人始めた食堂にお客さんがまったく入らなくても、サチエは宣伝したりアピールしません。

 看板メニューのおにぎりが不人気でも、フィンランド人の口に合うようなアレンジはせず、鮭、おかか、昆布のメニューを貫きます。(一応試作はしますが)。サチエには自分の決めたスタイルがあるから、焦らず腐らず、今やるべきことを淡々とこなすのです。


“人生すべて修行”──p10


 というお父様の教えが身についているのもあるのでしょう。

 そのサチエの姿勢があるからこそ、のちのかもめ食堂の繁盛につながっていくのだろうなぁと思います。


“なんとかなりますよ。まじめにやっていれば。どんなお店だって最初っから、どーんと人が入るわけじゃありません。正直にやっていれば、ちゃんとどうにかなるんです”──p90


 真面目にコツコツ。結局これに尽きるんですよね。

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