極彩色の大森林④
「
しかし、何らかの現象があると察していたコウマは、抜かりなく事態に備えていた。
辺りを
「ブルルルッ!」
それにさらに
そうして出来上がった穴から、連続的な爆発が
「
「わかりました!」
その射線上にいたコウマだったが、襲い来る爆発を氷を足場にして軽やかにやり過ごす。
そして、行動の観察から始まりこれまでの攻防の中で大体の情報は把握できたと判断したらしい。
コウマはアオナに指示をすると、協働してその獣に猛攻を仕掛ける。
「ブルルルウッ!」
アオナの放った銃弾が足の自由を奪い、様子見をやめたコウマの斬撃は
「ブルルルッ――!」
「悪いな」
抵抗を続ける獣だったが、それも
「この牙を取ったら行くぞ。集まってきてる」
そうして地面に転がった獣の頭部から一対の牙を
先程の戦闘の中で獣が発生させた爆発の音のせいで、周囲がざわつき始めていた。
たまたま単独行動する新種の生物と
一旦場所を移して、同じように余裕を持って調査を行える相手を探す方が確かに良いだろう。
「ここからは地図なしだ。マッピングしながら行くぞ」
「はい」
それから、コウマ達は地図上で空白となっている区域に本格的に入った。
これまでと同じく、コウマの指差しに従って警戒を続けるのは変わりない。
ただ、
「……書き終わったか?」
「はい、大丈夫です」
その手元を見てみると、地図の空白部分に新たな地形が描き込まれていた。
案件の目標にもあった
それを繰り返していき、徐々にだが確実に
「……何か、より色味が増してきましたね」
その過程で、木々の枝に実る果実や根元に生える菌類の姿が多く見られるようになってきた。
それらの大多数は食用に適していて、
しかし、比較的危険の少ない
「肉食が多くなってきたってことだろ。つまりは、大型で気性の荒い奴らばっかりってことだ」
「やっぱり、そうですよね……」
だからこそ、アオナも成果に
それらを
「ゴオオオォォォォ……」
そんな矢先に、地を
「……この鳴き声、資料にあった生物のどれにも当てはまらないですね」
「ああ、新種と見ていいな。立て続けに、運がいい」
それを耳にした二人は、早速その声の方に向かって進路を変えた。
林立する木々の合間を抜けて、大きく露出した根を乗り越える。
そうして、先程の声が
「……コウマさん。あれ何でしょうか?」
不意に立ち止まったアオナが、前方を指差しながらコウマに問いかける。
「……何もないじゃん。何かあったのか?」
その指の先を追ったコウマだったが、そこには周囲と変わりない派手な色彩の森が広がっている。
「何って……
「いや、何を言って――ッ!」
それでも
「
ほぼ同時に、上空から腕が振り下ろされる。
枯れ木のように細く、肌の色にも生気がない。
それにも関わらず、コウマの
「あれ? 私、何を……」
「こっち来い、敵だ!」
しかし、割られるまでのほんの
そして、事態を飲み込めずに
それから
「すいません。私、また迷惑を……」
「別にいい、俺だって気付かなかった」
「コウマさんがですか? 一体何が……」
「匂いだ。俺の見立てだと、これを
そこでコウマの説明を聞き、はじめてアオナは森に入った直後からしていた
「そんな……その敵の
「だといいがな。……ほら、来たぞ。アイツだ」
その影響に
「ゴオオォォ……」
全長は七メートルほどで、枯れ木のような
その
そして、その色味のない全身がいやに強調する背中の
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