極彩色の大森林①
まるで巨大な
そして、そこに林立する大樹は、それぞれが鮮やかな色彩を備えている。
澄み切った空のような青に染まった葉や夕日のような淡い茜色の幹、波打つように地面に大きく露出した根の色も赤、白、青と変化に事欠かない。
緑の葉に茶色の
しかし、それはごく
――
この近辺では最大級の
「まさか、ここに来れるなんて……」
特異な経緯ではあるものの、本来であれば手の届かない
「来ただけじゃ何も意味はねえ。成果を出さないとな。地図は?」
「そ、そうでした……えっと、これです。現時点で判明したところまで更新はされているとのことでしたけど、まだ全体の六分の一程度ですね」
そのアオナを軽く
「しかもそのほとんどが、警備隊のいる検問所を通ってすぐの南側付近だろ? それが、ぐるっと回り込んだ北側が探索開始地点になったのは良いことだな。他の会社がいるんだっけか?」
「そうですね。前回の競売でキタノ
案件の契約の際に手渡される書類は、落札した側の控えとなる他に諸条件も記載されている。
それには、探索の目的および目標や案件の期限、そして場合によっては探索の開始場所の指定など特殊な条項も含まれる。
今回は、キタノ
「探索の浅い場所ってのは、新しい発見の可能性が高まるからな。俺等にとっちゃありがたい。その代わりに、情報が少ない分危険性も高くなる。公開されているここの生物の情報は頭に入ってるよな?」
「はい、大丈夫です!」
「よし、行くぞ」
それにより発生しうる有事に心の準備を整えた二人は、揃って
そのまま
「……よし、進もう」
「……はい」
素早く周囲の安全を確認したコウマは、
枝葉が陽を遮り、
そして、太刀の
それに従って、アオナも懐中電灯をつけると、もう片方の手を銃のグリップにかけてコウマの後を追う。
外からではただ華やかに感じられた景観も、中に入ってしまうとすっかり
それに加えて、辺りに漂う
「俺が指差す方を警戒してくれ」
「はい、わかりました」
進む中でその影響を感じ取ったコウマは、自身の指先にアオナの意識を集中させる。
それによって無意識のうちに空気に
「コウマさん、あそこに影が……!」
「武器を準備。数と形は?」
「数はひとつ。形は、四足で長い牙のようなものがあり、全長三メートルほどです」
「……レインボアと仮定して、一応は突進に備えるぞ。ただ、このままやり過ごすのが優先だ」
その対応もあって、二人は敵の影を見逃すことなく
しかし、こちらから仕掛けることはしない。
アオナが影を目にした方向を注視しながら、コウマ達は慎重に歩を進める。
「ブルル……!」
そうして進む
明らかになったその影の正体は、カラフルな色の
鼻の横から伸びる一対の牙は、赤黒い色を基調とした重い色彩をしている。
四本ある
「やっぱりレインボアだったか……今なら、問題なく通り抜けられそうだな」
「そうですね」
その生物は、コウマの想定通りレインボアと呼ばれるこの
優れた
そのまま察知されることなく二人は無事にその場を切り抜けると、また奥へと進んでいく。
「ウオオオオ……!」
「ギャアッ! ギャア!」
「ブルルルゥ!」
しかしながら、そのまま順調にとはいかなかった。
それは、単純な広大さだけではない。
温暖な気候と豊かな植生により、
ただ、それは自然と侵入者に敵意を向けるものの数も多くなることになる。
気付けば、それらのけたたましい声が四方八方から届くようになっていた。
そのうえ、
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