第4話

「仕方ないじゃない。この人はダメダメ商人なんだから」


「ダ、ダメじゃないですよ! そ、そんなこと言ったらアレンさんが可哀想じゃないですか!」


 メーニャだけではなく、アンデットのエレナにハーフドワーフのルネにまで励まされている次第である。


 いや、エレナは励ましてないな。普通にダメダメって言われてるわ。


 はぁ……落ち込む。


 さて、もうなんとなくわかると思うが僕はしがない奴隷商人をやっている。とはいえ、殆ど儲かっていない零細商人であるが…



 そもそも、奴隷商人というのは何かというと、昔は戦争捕虜とか、借犯罪を犯したとか、村を襲ったとか、そんな理由で奴隷になったやつを、売りに出す仕事だ。


 しかし、今宵の奴隷商人というのは、そういうのは扱わない。

まず第一に、リスクが高い。


 戦争捕虜や犯罪人といった人々は、どうしても反抗心が強かったり、あるいは、逃亡を企てたり、場合によっては主人を傷つける。


 なので、どうしても扱いが難しいし、人気も無い。


 そういうわけで、現状、奴隷商人の主流はモンスター娘となっている。


 いわば、獣人、リザードマン、エルフなんかもこの括りに入る。


 本来ならば、魔物と人間は平等であるかもしれないが、それでも根本的には魔物と人間は対立し、戦っているわけだから、こうでもしなければ、魔物は人間社会に受け入れられないのだ。


 いわゆる、苦肉の策ってやつだ。


 

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