六 ヘビオの思い

 結局、ふたりは夕食でニャンニャンしてしまい、しばしグッタリしている。

 サア、このあとどうなる?トラが言うように、いっきに冷めるヘビオか?あるいはメグを慈しむヘビオか?サア、どっちだ?


 なんとっ!ヘビオがタオルを持って洗面所へ行った!

 もどったベビオの手には濡れタオルだあ。

 メグの身体を濡れタオルで拭いてパンティをはかせたぞ!

 自分の身体も拭いてパンツをはいた!


 アッ!ヘビオがメグをお姫様ダッコした!ベッドに運んでる!

 ベッドに寝かせてもらったメグが、チュウしてとせがんでる。

 うおっ!チュウの嵐だ!

 メグが、ナデナデ、スリスリをせがんでる。クチュクチュをせがんでる!

 ヘビオが、メグに言い聞かせる。食事のあとかたづけをしてもどると・・・。

 ヘビオがチュウして、食事のあとかたづけをはじめたぁ・・・。


 あとかたづけからもどったヘビオが、メグにひっついた!

 チュウチュウだあ!

 パンティーが舞い、パンツが飛んだ!

 おっと、ナデナデ、スリスリ!

 クチュクチュ・・・。


「アホかい!サナ、プロレスの実況中継ではないぞ!」

「だってこうでもしてないと、見てらんないよ・・・」

 とは言うものの、そんなことをしなくても見ていられた。メグから、一応のことを聞いていたから・・・。


 そして・・・、寝技が終った。

 終ってもなんてことはなかった。メグはヘビオから、大切に扱われてた。

 あたしはヘビオの思いから、メグがどうしてそこまで大切にされるのか、理由を知った。


 メグの身体の機能が理由の一つだった。くわしいことを言うといろいろ問題があるので、このことは、トラの口も封じておこう。とは言うものの、思いは口封じはできないな。

「まあ、そりゃあ、そうだ・・・。そういうことも、大いにあるぞね」

 あたしの思いに、トラは納得してる。


 そして、もう一つの理由が、メグの頭ん中と実家だ。

 ヘビオは、実家の家業を嫌っているメグと、実家に興味があるのだ。

 妙な男だと思った。コイツ二十歳だ。これから、中華の料理人になる気でいる。メグに話せば反対されるから、言いだせずにいる。


 ヘビオの思いはこうだ。

 大好きなメグがいて毎晩ニャンニャンできて、うまい料理が食えて、自分でも料理できて、自分の作った料理を、メグにも家族にも客にも「うまい」と言って食ってもらえたら、こんなに楽しいことはない、ヘビオはそう思っていた。

 そのことをヘビオはメグに言いだせない。メグが実家の家業を嫌っているからだ。だけど、家業を嫌っているメグは、なぜ、料理がうまいのだろう?

 なんでも、手際よく料理するメグは、天才と言える技術の持主だ。学ぶことがたくさんある。ニャンニャンにも学ぶことがたくさんある・・・。


「ねえ、トラ。メグがヘビオにお熱だと思ってたけど、逆だったんだね」

 あたしはトラを見つめた。トラはパソコンの画像を見たままだ。


 メグのスマホは自撮りになったまままだ。自撮りにしなくてもこちらから操作できるが、スマホの向きは変えられない。今はヘビオがふたりを撮れるようにスマホの位置を調節したため、ふたりの行動が丸見えだ。


「わしも、思い違いをしとったぞ。コイツ見た目より、マジメじゃな。

 コイツの方がメグのトリコじゃったか。そんなに良きニャンニャンか・・・」

「トラ!ナニ考えてるの?」

 あたしはトラの思いをのぞき見した。のぞき見しなくても、トラの思いはあたしに筒抜けている。


「いや、そのなあ・・・、まあ、いろいろあるでな・・・」

「ああっ!隠し事してる・・・。ふむふむ、そういうことか・・・。なるほどね。体型からニャンニャンの具合がわかるんだあ・・・。

 ほひょおっ!あたしも、具合がいいんだ!そうだろう。そうだろう・・・」

 あたしは、ひとりナデナデ、スリスリを思いだして、トラの観察眼を納得した。


「これ、何を考えておる。晩飯にしてくれんか?食うのを忘れておった・・・・」

「おっといけない。焼いた鮭がすっかり冷めちまったぞ。一度チンして、ご飯にのせるよ。待ってな・・・」

 あたしはソファーから立った。



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