コル、商隊に戻る

 整調者ピースメーカーの任務を無事完了させた僕は、父さんが護衛している商隊に戻ることにしたんだ。


 もちろん、リナとは結婚するよ!でも、リナはしばらく冒険者をやるらしいからね。4人チームで動くから、僕が行っても邪魔だろうしね!


 そうそう!整調者ピースメーカーの任務完了の時に褒賞として魔力量を神様がくれた。さすがに全部じゃないけど、それでも以前の20倍ぐらいはあるんだ。かなり余裕があるからありがたいね!


 あと、お金はイスピ女王様からいただいた。すごい金額だったけど、良かったのかなぁ~?王都防衛に成功したのはアキさんたちだったんだけどなぁ~?



 さて、そんな事を考えてたら父さんが護衛している商隊を見つけた!事前にルートを聞いてたからね。追っていけばどこかで会えると思ってたんだよ。


 そして、僕は商隊の上空で、2周してから着陸した。『ビクトリーロール』って言う飛行らしいよ。アキさんから聞いたんだ。



「おおっ!?コルか!?帰ってきたんだな!?」


「隊長!ただいま戻りました。無事任務完了してきました!」


「神託でわかってはいたが、こうして元気そうな顔を見れて良かった!···いや、世界を救った英雄だから敬語の方がいいな。コル様、無事のご帰還、お喜び申し上げます」


「ちょっと!?待って下さい!普段通りにして下さいよぉ~!恥ずかしいですぅ···」


「ははは!スマンスマン!さて、こんな話はどうでもいいな。コランさんに顔を見せに行ってこい!」


「はい!」



 あぁ~、からかわれちゃったよ〜!今ならリオさんの気持ちがわかるよ。僕の場合はどうやってごまかそうかな?ちょっと考えないと···。


 1番最後方の馬車には父さんがいた。僕たちは飛べるから、1番後ろから見張る方が効率いいんだよ。



「ただいま!父さん!」


「コル!よく無事に戻ってきたな!···お帰り」


「父さんと約束した通り、こうして無事に任務完了して戻ってきたよ」


「辛かっただろう?これからしばらくゆっくりできるのか?」


「うん。でも···」


「でも?···どうしたんだ?何かあったのか?」


「僕···、リナに結婚を申し込んじゃったんだ」


「···そうか。と言うことはリオさんも了承したのだな?」


「···うん。父さん、一人にしてしまいそうで、ごめんね」


「気にするな。それに、以前にも言っただろう?ずっと父さんと一緒ってのもダメなんだぞ?いつかは一人でもやっていけるようにならなきゃいけないってな」


「···そういえばそうだったね」


「だから気にするな。子どもが親から離れて巣立つというのは、素晴らしいことなんだからな」


「うん。ありがとう!」


「ははは!しかし···、コルも立派になったなぁ~。まさか、世界を救った整調者ピースメーカーになってしまったんだからなぁ~」


「ははは。あれは今思うと勢いだったなぁ~。でも、後悔してないし、いい経験にもなったよ」


「そうか。どれぐらいここにいられるんだ?」


「1年ぐらいかなぁ?しばらくリナは冒険者業やるって言ってたからね。落ち着いたら呼んでくれるって」


「じゃあ、それまでは一緒だな。商隊の護衛中に訪れた町で気に入ったら、そこにリナさんと住んだりとか考えたらいいからな」


「そ、それは···。そうだね!どんな暮らしになるかなぁ~!」



 しばらくは父さんと護衛する事になったんだ。リナと一緒に住む家ね···。どんなのがいいかなぁ~?子どももたくさん欲しいから、部屋は多いほうがいいかなぁ〜?


 そんな幸せな考えをしつつ、僕は久しぶりの護衛任務に復帰したんだ。

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