それぞれのその後
別にいた生き残りの神狼族
···ぼくはいつまで生きるんだろう?
もう、今が何年経ってるかもわからないや···。
今日も大海原を優雅に泳いでいるんだ〜。でも、ぼくはこんな姿じゃなかったと思うんだよ。多分獣人だったと思うよ?
なんで多分かって?物心ついた時はこの姿だったからね。ただ、心は獣人の気分なんだよ。ちょっとちぐはぐで最初は戸惑ったけどね~。今はもう慣れちゃった。
そういえば自己紹介してなかったね!ぼくは···、名前ってないんだよ。親もいないんだ。
親もいないってのはちょっとおかしいかな?いたんだろうけど、物心ついた時にはいなかったよ。ぼくに似た魔獣は見かけたんだけどね?おなかすいてたから食べちゃった!
今は海で過ごしてるんだ〜。ただ、ずーっと天気と海は大荒れなんだよ。もうちょっと静かにしてほしいけど、ぼくじゃどうにもならないんだよね。まぁ、ぼくの体が巨大すぎてあんまり関係ないけどね。
こんなところかな?まぁ、親も友達もいないから紹介する相手がいないんだよ。
近くを通る船に近づいたりしたこともあったんだよ。お話相手になってくれるかな~?って思ったんだけど···。近づいただけで船が沈んじゃったよ。
あぁ~!?ぼくが大きすぎて力加減ができないんだよぉ~!壊しちゃってごめんね!
それからもゆっくり近づいたりしてあの手この手でお友達になってくれないか、試しに近づくんだけど、全部失敗しちゃったよ~!
ぼくって不器用なんだなぁ~。
そんなある日。
今日も近づいてきてる船があったんだよ。最近はもう無理だろうなぁ~って思って近づかなかったけど、この船にはなぜか懐かしい気配がしたんだ!
ぼくと似たような気配がするんだ!もしかして、ぼくの仲間なのかな?···ちょっとだけお話できないかなぁ~?
そう思ってたら、ぼくのヒレの先っちょに飾りとしてつけていた船に向こうから来てくれたよ!
嬉しいなぁ~!大歓迎させてもらうよ!一緒に遊ぼうよ!今まで遊んだ事なかったんだよ!
おっ!?すごいね!魔獣をものともしないなんて!じゃあ、今度はぼく自身と遊ぼう!今日は楽しいなぁ~!
そうして飾りの船を捨てて、ぼくの姿を見せてあげた。おぉ〜!?この銀髪の女の子!!
ぼくと雰囲気が一緒だよ~!やっとぼくの仲間に出会えた!!
さあ!思いっきり遊ぼう!!楽しむぞ~~!
···あれ?逃げちゃった?ぼくの姿見て驚いちゃったかぁ~。確かにあの子と大きさが桁違い過ぎるからなぁ~。お友達にはなってくれないのかぁ~···。
がっかりしてたらまた戻ってきてくれたよ!?嬉しいなぁ~!さあ!ぼくと遊ぼう!
ん?なにか撃ってきたね。あれって魔法ってやつかな?ぼくのブレスっぽいのもあったし、雷っぽいのもあったけど痛くもないなぁ~。
でも、こんな経験は初めてだ!もっと遊ぼう!追いかけっこだね!今度はこっちからいくよ~!
ぼくは追いかけながら口を開けてブレスを久しぶりに放った!
あ〜!?避けられちゃった!これって次撃つのに時間かかるから、その間はぼくの魔獣で遊んでもらっておこう。暇つぶしにはもってこいだよ~!
楽しいなぁ〜!こんなに遊んでもらったのって初めてで、ぼくは大はしゃぎしちゃったね!ブレスをいっぱいいっぱい吐いたよ~!全部避けられちゃったけどね。
だいぶ追いかけ回したら、いつの間にかいなくなっちゃったよ。どこいったんだろうね?
でも、楽しかったなぁ~!また遊んでほしいよ~!
それから時はさらに経った。
あの時と同じ気配がまたしたんだよ!しかも今回は3人いるよ~~!!
これは楽しめそうだね!!大急ぎでその船に向かったんだ。そしたら、とんでもない威力のブレスがぼくに飛んできたよ!?
思いっきり当たっちゃったけど、痛くなかったね。びっくりはしたけどさ。
そう思っていると、次はぼくの頭で大爆発が起きた!!もちろん、痛くなんてないけどね。
この魔法の魔力って懐しい気がするよ!?嬉しい気分になってきたら、今度はさっきの2発の魔法よりさらに威力が高い魔法が飛んできた!?
うわっ!?ぼくの体を押し返してきた!?ぼくって結構大きいのにすごい魔法があるんだなぁ〜!
そんな事を考えてたら船が見えなくなっちゃったよ···。
あぁ~。今回はあんまり遊べなかったなぁ~。でも、ぼくと似た気配が3人いたって事は、他にもいそうだね!
次はいつ遊べるかなぁ~?
解説
この子は本編10-12話と12-13話に登場した超巨大魔獣です。
親は父が過激派で、ドラゴン族との間に
この子は神狼族過激派の研究所で人工授精で培養されて産まれてしまった実験体だったのです···。
産まれた時は神狼族でしたが、物心つく前にトランス状態にさせられて魔獣に変身してしまい、それからは海で住んでいます。父親は手出しができませんでした。
ちなみに母親はこの子に食べられてしまってます。
そんな子なので、魔獣を生み出す能力に加え、ドラゴン族のようにブレスを吐けます。
また、莫大な魔力を保有しており、いるだけで台風を作ってしまうほど魔力を常時放出しています。
共有能力は『存在感知』。
周囲の神狼族の位置情報を共有どころか一方的に把握できるため、本来なら狩りにおける指揮官向けの能力でした。
このため、ハルちゃんたちが近づいたら寄ってきてしまいました。
誰にも存在を知られない、手出しできない神狼族として、今日も大海原でのんびり過ごしています。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます