神様の憂鬱-17(番外編) 世界創世神側から見たエーレタニア
「ナビ56562よ。また世界を放棄した神が出てしまったぞ···。最近、『離神率』高くね?」
「そうですね〜。募集の仕方がまずいんですかね~」
「なかなか好条件なんだけどなぁ~。自分の思いのまま世界を創れるなんて、究極の面白さだと思うんだけどなぁ~」
「よくスカウトに行く地球って世界だと、休み多くて楽で収入多い仕事が人気らしいですよ~!」
「その世界観のまま神なんてできるわけないけどなぁ~。よし!勧誘がダメならちょっと強引に連れてこよう!帰れないと知ったら嫌でもやるんじゃね?」
「それはそれでさらに自暴自棄になって放棄されるんじゃないかなぁ~?」
「しかし、
「じゃあ、ボクが『自発的に』神になれるようにやってみるね~」
「そんな手があるんだな!?よし!行ってこい!」
ボクの名前はナビ56562。まぁ、名前なんてないにも等しいけどね!世界創世神とさっきまで話してたけど、ボク自身は分身なんだよね~。
分身って言っても意識はまるっきり別なんだよね~。ちょっと言葉通りのイメージと違うだろうけど、そういうもんなんだよ。気にしたら負けだね!
今、神々の世界では『離神率』が高くて放棄された『空家』が増えてて荒廃していく世界が多いんだよ。空家ってのは未完成の世界において、世話する神がいない世界を指す言葉だよ。
ボクがよく行く地球って世界は数少ない完成されて神の手が離れた世界なんだよ。世界が完成して神の世話が必要なくなると、別の世界の神に就任してリフォームしたり、完成した世界に住み着いたりするんだけど、地球の神って変わり者で、『外部から干渉されないよう見守ってる』だけなんだ。
だから、地球から神候補を連れて行く時には許可を得なくちゃいけないんだ。もう慣れちゃったけどね~。
「こんちは~!今回も1人連れていきたいけどいいかな~?」
「おや?にゃーちゃん。いつも大変だなぁ~。いいよ~。いっぱいいるからどうぞどうぞ〜」
もう顔なじみになっちゃったから、ボクの事を『にゃーちゃん』って呼ぶんだよ。
ちなみに最初は手続きが大変だったんだよ!
『勧誘の場所・日時・方法・緊急連絡先を明記して書面で提出』って言われたんだよ!?承認されるまで時間かかっちゃったよ~!
さて、地球の日本って国の某所に顕現した。と言っても神になる素質のある人以外見えないんだけどね!
さ〜て!『勧誘して説明して、承諾を得て神になってもらおう!』作戦開始ぃ~!
勧誘場所はココ!アーケードの入口だっ!人通り多いから、神候補は見つかりやすいはずだね!ボクが作ったチラシを配って、内容を承諾してくれてコードを読み取ってアクセスしたら神になるって方法だ!これならなってくれる人が逃げる事ないよね~。
さ〜て、配るぞ~!
しばらくしたら、以前勧誘した人が来た!断られたけど、今回は···、あれ?怒ってる?
「またやってんのか!?人を騙す事しやがって!!いい加減にしろ!!もう2度と来んな!!バカヤロー!!」
あらら、前回勧誘しちゃったのを引きずってるなぁ~。まぁ、キミじゃなくても他にも候補いるからね~。
しばらくチラシを配ろうとすると、1人チラシを受け取ってくれた!?イターーー!!すぐに説明して神になってもらおう!
って思ったら、あらら···。無視されちゃったね···。まぁ、チラシもらっただけいいか。他にもいるだろうしね~!
昼過ぎ。
勧誘した結果はさっきの1人だけだったね~。まぁ、初日にもらってくれただけ良しとするか!
さ〜て!帰ろうか!と思ったその時だった!『チラシのコードにアクセスした!』って情報がビビビッとキターーー!!神様ゲットだぜ!
急いで神々の世界に戻ったら、さっきチラシをもらった人が放心状態で突っ立ってた!
「やあ!神々の世界へようこそ〜」
ここからエレくんとたーのしーエーレタニアの世界創造が始まったんだよ~!
さて、このエレくんは文句が多いけど誠実に世界創造を着々と進めてくれた。この時点で神としては立派だね~。
こちらが提案した事に対して、ちゃんと精査した上で決断を下していた。すべてが成功したわけじゃないけど、思い切りがすごいし即断即決だ。失敗を恐れずに果敢にチャレンジするのはすごいね~!
ただ、責任感が強すぎるのは良くなかったなぁ~。神狼族の件は全部抱え込んじゃって見届けちゃったもんなぁ~。他の世界では日常茶飯事なんだけどね。
あと、ボクがコツコツヘソクリして貯めたGPを奪ったんだよ!?今までバレたことなかったのに~!あぁ~···おもちゃ作れないなぁ~。空中庭園はヘソクリでコツコツ作ったボクの最高のおもちゃだったけど、別世界の神に乗っ取られた挙げ句、消滅させられちゃったし···。
2つ目を作ろうと思ってコツコツ貯めてたんだよ!?ひどくない!?
そしていろいろあって···。
エーレタニアは完成し、神の手から離れることになった。
ここまで完成にこぎつけられる神はほとんどいない。大半が失敗してしまう神の業務を完遂させられたのは、ハッキリ言って偉業と言っても差し支えないほどだ。
エレくんは神を辞めて人としてエーレタニアに降りた。ボクが手配した家に対して不満をぶち撒けていたね~。ヘソクリ取り上げられて腹いせにちょっとチープな作りにしたんだけど、これでも破格の対応なんだけどなぁ〜。
さて、ボクは次の『空家』に入ってくれる
『ボクと契約して神様になってよ!』
神様の憂鬱 完
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