神様の憂鬱-06 世界の完成の暁には···?
「では、あなたがなぜこの空中庭園搭乗に応募したのか?をお聞かせ願えますか?」
「はぁ!?家族を守るために決まってるだろうが!?遊びじゃないんだぞ!?こんな当たり前な事を聞くためにこんなところに呼んだのか!?」
「い、いや。神の兵器に乗るのだから、人となりを知りたいのでね。え〜っと、どういうポジションをご希望ですか?」
「砲手に決まってるだろぉ!?聞かれるまでもないわ!!早く乗せてくれ!あいつらをぶち抜いてやる!!」
「ちょ!?ちょっと待って!?気持ちはわかるけど落ち着いて!」
「これが落ち着いてられるか!?今にも家族がやられそうなんだぞ!?神だかなんだか知らんが、もっとマジメにやれよ!!」
「わかった!わかったから!ナビくん!転送してあげて!」
「はいなー!ホイッと!」
···ふぅ~。これで30人送り込んだ。みんな殺気立ってて面接どころじゃないんだよなぁ~。オレが神だなんて、『そんなの関係ねー!』って勢いだよ···。
まぁ、家族を思う気持ちはわかるけどね?
本当は履歴書書いてもらって書類審査したかったんだけど、文字書けない人がほとんどだったので断念してしまったんだ。···今思えば、音声入力可にしておけばよかったなぁ~。
応募人数がとんでもない数だったので、ナビくんにピックアップしてもらった人を面接したんだが、結果はさっきの通りだ。
···もういいんじゃね?戦争が終わったら全員強制転移で追い出しちゃえばいいか!
こうして精神をすり減らしながら、残りの200人を選抜して送り込んだ空中庭園は、まだ動いていない。使い方を学んでいる最中だからだ。
しかも、空中庭園の『起動ボタン』はオレの目の前にあるんだ。···さりげなく隣に『自爆ボタン』まで用意してるのはナビくんのロマンか?普通は『非常停止ボタン』なんだけどな。間違って自爆させたらGPがもったいない···。
ちなみにボタンセットはもう1セットあって、それはナビくんの目の前にあった。
オレとナビくん2人がボタンを押すことで起動する仕掛けだ。···これもナビくんのロマンか?
さて、どうやら時は来た!
「準備できたよ。エレくん!起動承認を!」
「···わかった。···空中庭園!起動!承っ!認っ!!」
バンッ!!!
オレは目の前の起動ボタンを、某勇者王の長官のように叫んで思いっきり叩いた!
···一瞬、自爆ボタンを押しかけたのは内緒だ。危なかったぁ~。
「了解!空中庭園!起動プログラム、ドラーイブ!!」
バンッ!!!
ナビくんは某勇者王のオペレーターみたいにノリノリで、オレと同じく起動ボタンを思いっきり叩いた!
モニターには浮遊大陸から分離した空中庭園が少しずつ高度を下げながら、地上へと近づいていった。
ははは!みんな驚いてるな!?では、せっかくなのでこのためだけに用意したスピーカーから、神であるオレ直々に宣戦布告してやろう!
「どうだ、これ(空中庭園)を見てどう思う?」
空中庭園の下部にあった膨大な数の砲台を見た別世界からの侵略者たちは
「すごく···、(空中庭園が)大きいです···」
空からは空中庭園からの容赦ない砲撃が、地上からはドラゴン族と神狼族を始めとした討伐部隊が侵略者たちを葬っていった。
ほぼ殲滅だな···。とんでもない兵器をナビくんは用意してたんだなぁ~。
地上では侵略者たちを倒したことで歓声が上がっていた。
···ふぅ~。オレが創った住民たちが喜ぶ姿を見てホッとしたよ。
しかし、別世界からの侵略者は1度だけではなかった!!
「オラァーー!!テメエの神のせいであたいらの世界は壊れたんだーー!!この世界も壊してやるぅーーー!!」
「散々奪うだけ奪いやがって!!この世界も奪ってやるぅーーー!!」
···時はまさに世紀末な感じで、さらに別世界から略奪されそうになったものの、空中庭園の威容に恐れおののき、何事もなくお帰りになった世界もあったよ。これが本来の武器の目的って、どこかで武器蒐集が趣味の有名なお坊さんから聞いたことがあるな。
もちろん、立ち向かってくるのもいたな。こちらも容赦なく撃っちゃったけどな。
···ホント、何してくれてんねん!って文句言いたいよ!オレの前の神によ!!
12回にわたる侵略をすべて壊滅させることに成功し、防衛ボーナスGPが入ったな。でも···、もう勘弁してほしいぞー!
「ナビくん···。ファイアーウォールみたいな防壁って張れないか?」
「張れるけど、とんでもないGPが必要だよ?」
「どれぐらいだ?」
「100万GP」
「···は?」
「だから、100万GPいるんだよ~。今が2500GPだから、引きこもるんだったら相当頑張らないとね!」
「···やってられるかぁーー!!」
「わーー!?どうしたのさ!?」
「もう嫌だァーー!!貧乏GP生活の上、侵略されまくってそのたびに住民から罵声を容赦なく言いたい放題言われるんだぞ!?神様なんだから感謝してよぉーー!こんなに頑張ってるのにぃーー!!」
「エレくん···。よしよし!エレくんは他の神に比べてよく頑張ってるよ。侵略だって、考えようによっては他にない魅力が『エーレタニア』にあるって別世界でも知られてるからだよ。もっと胸を張りなって!エレくんはよくやってるんだから!」
「うぅ···、ナビくぅ~ん···」
「エレくんの気持ちはわかった。一応
「割引?それって何をするんだ?」
「神を辞めて、この世界に住んじゃうって方法。世界がほぼ完成してしまって、神の力を人々に渡してしまうんだ。そうすることで、神の管理が終了してエーレタニアは閉じられる。悪意のあるものがエーレタニアに手出しできなくなるんだ」
「···それって、今は未完成だから侵略を受けるって事か?」
「そう。これはね?『世界を完成させるため』にやってるんだ。その世界に住む人々が自立して、神の補助なしに運営できるようになったら、神の役割は終了なんだよ。完成させる手段の一つに侵略があるんだよ」
「エーレタニアはまだ未完成なのか?」
「エレくんのおかげで85%まで達成できてるよ。100%になったら、エレくんの仕事は終わり、このエーレタニアの住人として暮らすことができるんだ。そのためにはいい世界にしないと
「わかったよ。いい世界にしないと、神を辞めた時に苦労するんだな!だったら、とびきりいい世界にしてやる!!」
「そうそう!その意気だよ」
こうして、オレはナビくんにまんまとノセられて世界をさらに発展させていったんだ。
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